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迫力あるキャラクターを描くには?漫画家・霜月かいり先生インタビュー
パッと見て正面から迫力があったらそれでいいんじゃないかと
▲『BRAVE 10 S』第6巻表紙イラスト。
──それでは霜月先生の絵を描く時の持論、ポイントを教えて下さい。絵を描くときは何かモデルになるものを見ながら描いてますか?
いえ、よほどのことじゃないと見て描かないですね。練習の段階ではありますけど。
──練習というのは?
時間があるときはポーズ集を見ながら、クロッキー帳に描いて練習してるんです。ファッションブランドの広告も大好きでよく見ます。
人と服を美しく見せる技術はすごいな、ああいう絵を描けたらいいなと思うんですけど、見ながら描くとそのままになってしまうので、マンガを描くときは「こうすると美しい」「こんな感じはどうだろう」と想像しながら描きます。
見て描くというのはクロッキーの段階。「見たまま」にならないように、自分の中に一回落としてから描く。自分なりの絵はこうだ、って試行錯誤してます。
デビュー当時はいろんな人の絵に影響を受けていました。アメコミのベタの塗り方とかも本当に大好きで。ただ、ここ何年かは、キャラクターデザインや絵を描く時は周りに何も置かないようにして、頭のなかで勝負だ!ってやってます。だからよく見るとテキトウなところが多いんですよ。
人と服を美しく見せる技術はすごいな、ああいう絵を描けたらいいなと思うんですけど、見ながら描くとそのままになってしまうので、マンガを描くときは「こうすると美しい」「こんな感じはどうだろう」と想像しながら描きます。
見て描くというのはクロッキーの段階。「見たまま」にならないように、自分の中に一回落としてから描く。自分なりの絵はこうだ、って試行錯誤してます。
デビュー当時はいろんな人の絵に影響を受けていました。アメコミのベタの塗り方とかも本当に大好きで。ただ、ここ何年かは、キャラクターデザインや絵を描く時は周りに何も置かないようにして、頭のなかで勝負だ!ってやってます。だからよく見るとテキトウなところが多いんですよ。
──とてもテキトウには見えませんね……!
私の絵は反転するとデッサンが狂ってて、それですごく悩んで美術の先生に相談したんです。そしたら「そもそも反転する必要はないんじゃないか」ってお話をしてくれて。
日本人形ってありますよね、白い顔で唇が赤い。
あれって、唇の左右の厚みの違いをわざと描くそうなんです。そうしたほうが表情が出るからって。「あまり左右対称じゃないのが人間の顔だから、反転して変でもいいじゃないか」と。
じゃあ反転して見るのをやめよう、って。ズレてるのは重々承知してるんですけど、直しばっかりに時間かかって何もできなくなるから。
その話がなかったら、一生反転してて終わらない絵を描いてたんじゃないかなって。パッと見て正面から迫力があったらそれでいいんじゃないかと、今は思います。
日本人形ってありますよね、白い顔で唇が赤い。
あれって、唇の左右の厚みの違いをわざと描くそうなんです。そうしたほうが表情が出るからって。「あまり左右対称じゃないのが人間の顔だから、反転して変でもいいじゃないか」と。
じゃあ反転して見るのをやめよう、って。ズレてるのは重々承知してるんですけど、直しばっかりに時間かかって何もできなくなるから。
その話がなかったら、一生反転してて終わらない絵を描いてたんじゃないかなって。パッと見て正面から迫力があったらそれでいいんじゃないかと、今は思います。
これから漫画家をめざす人へのアドバイス:描いて出すのが一番

▲霜月先生の美麗なモノクロ原稿。
──デッサンの知識は必要だと思いますか?
自分のキャラに必要だと思ったら必要だと思います。私の場合は等身の高いキャラ、私が感じる美しさっていうのが人体の肉の付き方だったりするから必要なだけで、そうじゃないキャラが好きっていう人にはいらないかもしれないし。でもデッサンの知識があると応用が効くとは思います。
──霜月先生のキャラは体重を感じさせる、重量感のある絵柄だと思います。
それは私の中での美しさの結果かなと思うんです。
男性の腰の、肉の厚みとかライン、女性だったら下着にのる肉の柔らかさ、そういうものを描くにはある程度は骨格がわからないと無理なので、必要に応じてデッサンをする。どこが肉で、どこが影でとか。
あと手が苦手なのでデッサンしなきゃなと最近も思ってます。その反面「そんなこと言ってる暇があったら漫画描け」って思ったりもしますけど……。
男性の腰の、肉の厚みとかライン、女性だったら下着にのる肉の柔らかさ、そういうものを描くにはある程度は骨格がわからないと無理なので、必要に応じてデッサンをする。どこが肉で、どこが影でとか。
あと手が苦手なのでデッサンしなきゃなと最近も思ってます。その反面「そんなこと言ってる暇があったら漫画描け」って思ったりもしますけど……。
──先生の作品では衣装や小物がどのキャラも細かいですよね。
最初はそういうつもりはなかったんですが、『BRAVE 10』は毎月やってると鎌之介の衣装の細かさにイライラして「誰がこの衣装をデザインしたの!?」ってなります(笑)。あと根津甚八も刺青が入ってて「誰がこの刺青入れたの!?」っていっつも愚痴りながら(笑)。『Heaven's Love』の時も全部手描きで刺青を入れるんで「なんで入れたんだ自分……!」って。キャラクターデザインの時にテンションがあがって入れちゃうのをなんとかならないかと(笑)。でもやってしまう。
──表情を出す時に気にしてるパーツは?
口ですね。あと眉の位置。それをしくじると大変です。最近は眉の位置感覚が緩くなってて、修羅場中に大変になるっていう呪いがあります。漫画下手なので、色々悩みます。
──そんなことないですよ(笑)! コマ割りも華やかで大胆ですし。
『BRAVE 10』がアニメ化された時に、「女性らしくない描き方」って言われたことがあります。たぶんそれはジャッキー・チェンシリーズのおかげなんです。中学のときから大好きで、修学旅行で行った横浜の中華街でヌンチャクをおみやげに買ったくらい(笑)。あと映画『マッハ!無限大(トムヤムクン)』とか、アクション映画のカメラワークが大好きなんで、コマ割りはその影響かなと。

▲『BRAVE 10 S』31巻のネーム。大ゴマが効果的に使われている
──最後に、漫画家を目指している若いpixivユーザにアドバイスをいただけますか。
とにかく描けばいいと思います。描いて出すのが一番じゃないかと思います。
──人に見せたほうがいいということですか?
あと出版社さんに。漫画家になりたいなら枚数を描いて、コンスタントに出していくのが一番かなと。技法はあとからでも勉強できると思うので、これが私の作品ですってどんどん出すのがいいと思います。
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