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人気絵師ちほさんメイキング&インタビュー!カラフルポップで繊細なイラストの秘密に迫る!

『1925』、『メランコリック』などのVOCALOID関連イラストや、ガーリーでおしゃれなデザインが話題となった『earth music&ecology Japan Label』とのコラボレーションで知られる、イラストレーター・ちほさん。
ちほさんが描く作品は、細やかな描き込みと印象的に散りばめられたモチーフ、そしてカラフルでポップな色彩がとても魅力的です。今回のpixivisionでは、その魅力に迫りつつ、ラフ〜彩色までのメイキングや、ちほさんがイラストを描き始めた意外なきっかけなどを伺いました。
ちほさんには、ピンク髪の女の子をメインに据えた、カラフルで明るいイラストを描き下ろしていただきました! まずはそのメイキングから見ていきましょう。
ちほさんが描く作品は、細やかな描き込みと印象的に散りばめられたモチーフ、そしてカラフルでポップな色彩がとても魅力的です。今回のpixivisionでは、その魅力に迫りつつ、ラフ〜彩色までのメイキングや、ちほさんがイラストを描き始めた意外なきっかけなどを伺いました。
ちほさんには、ピンク髪の女の子をメインに据えた、カラフルで明るいイラストを描き下ろしていただきました! まずはそのメイキングから見ていきましょう。
1. ラフ
構図で流れや動きを考える
最近は静止した構図の絵が多かったので、今回は元気で動きのある感じにしました。
私のイラストの線はフラットで、動きが出づらい。なので、構図や小物で流れや動きを出しています。構図のポイントは、真ん中の女の子の髪の流れや、羽根の下から生えてきている草花、雲ですね。
私のイラストの線はフラットで、動きが出づらい。なので、構図や小物で流れや動きを出しています。構図のポイントは、真ん中の女の子の髪の流れや、羽根の下から生えてきている草花、雲ですね。

ラフは、テーマや構図がぱっと決まれば、早いときは1時間くらいで描けます。悩むと2、3日かかってしまうことも……。そういう時は手を動かしながら考えます。
カラーイメージを考える
友人が結婚するので、そのお祝いの気持ちもこめて(笑)
真ん中の女の子は白ワンピース。全体的にカラフルで明るくハッピーなイメージです。
真ん中の女の子は白ワンピース。全体的にカラフルで明るくハッピーなイメージです。

2. 線画
作業工程の中で、一番時間がかかるのが線画です。2日から1週間くらいかかりますね。線画だけの作業時間としては、8時間から20時間くらいだと思います。
線画では、特に髪なんかがそうなのですが「流れ」を意識します。また、なるべくワンストロークで描くようにしていて、気に入った線が引けるまで描き直し続けます。
線画では、特に髪なんかがそうなのですが「流れ」を意識します。また、なるべくワンストロークで描くようにしていて、気に入った線が引けるまで描き直し続けます。

3. レイヤー
選択ペン+自動選択ツールで、体は体、服は服とパーツごとに選択し、レイヤーを分けます。上に重なっているもののレイヤーを選択して、その下のレイヤーを消していきます。


レイヤー分けはかなり細かいです。髪や服など、線が重なる可能性がある部分はすべてレイヤー分けしています! レイヤーの数は全部で少なくとも50。ガッツリ描くと100は超えてしまいますね。
また、レイヤーは、オブジェクト単位でフォルダ分けしています。たとえば、「人物」フォルダには身体・髪などの線画と、肌の彩色・髪の彩色を入れる感じです。
また、レイヤーは、オブジェクト単位でフォルダ分けしています。たとえば、「人物」フォルダには身体・髪などの線画と、肌の彩色・髪の彩色を入れる感じです。
4. 着色
色塗りは、作品にもよりますが3〜10時間ぐらいかかります。今回のイラストは7時間ほどでした。
人物の肌を塗る
女性の体の場合はあまり塗りすぎないように、影をつけすぎないように、というところを気をつけています。肌を塗るのが好きなので、ついつい塗りすぎてしまうのですが、濃く、細かく影を入れると固い印象になってしまうからです。(もちろん表現の仕方にもよりますが!)

人物の髪、服を塗る
特に髪を華やかにしたい場合は、同じ場所でも複数の色を使って塗ります。逆に画面をチラつかせたくないときは、色数をしぼったりすることも。

背景や小物を塗る
草なら緑、雲なら白というように自然色を置いたあと、別の色を加えながら調整します。
今回は、全体的に暖色よりの絵なので、強い寒色を入れると目立ってしまいます。なので、青でも少し黄緑よりにするなど、絵になじむようにしました。
今回は、全体的に暖色よりの絵なので、強い寒色を入れると目立ってしまいます。なので、青でも少し黄緑よりにするなど、絵になじむようにしました。



風船を塗ったところです。最初は、これくらいの桃色の風船を中心に構成するつもりだったのですが、思った以上に強かったので、最終的には柔らかい色に変更しました。
見る人の視線を意識し、色味を調整
ピンク髪の子の持ってる花束が画面に埋もれそうだったので、そこだけ紫を入れて他の花よりも少し色を強めにしました。また、細かい描き込みが多い羽のまわりに視線が集中しすぎてしまうので、キャラクターの顔にも目がいくよう、顔まわりの花の色は少しビビットにしています。
そうすることで、髪の毛のピンクと肌の色が近くても、ぼやけた印象にならないようにすることができます。顔の周りの風船は黄色などにして明るい印象に。
そうすることで、髪の毛のピンクと肌の色が近くても、ぼやけた印象にならないようにすることができます。顔の周りの風船は黄色などにして明るい印象に。

色は塗りながら決めています。最初から色が決まっていたわけではありません。風船や花は同じ色が隣接しないよう気をつけていますね。
ちなみに、今回はテクスチャや素材は使っていません。私のイラストは線画が強みだと思っていて、ベタ塗りが多いので、絵柄的にちょっと浮いてしまうんですよね。ただ、紙の風合いを出したいときは、たまに和柄などを使います。
ちなみに、今回はテクスチャや素材は使っていません。私のイラストは線画が強みだと思っていて、ベタ塗りが多いので、絵柄的にちょっと浮いてしまうんですよね。ただ、紙の風合いを出したいときは、たまに和柄などを使います。
5. 小物を配置
バランスを見ながら小物を配置する
線画ではゴチャゴチャしていても、色を乗せるとスッキリしてしまうことがあります。その場合には、花や星などの小物を配置します。今回は縦の構図なので、花びらと星と雲の形で縦のラインを意識しています。ただ配置するだけでなく、「落下感の中にある浮遊感」が出るように気をつけました。

いろいろ描き込み過ぎたので、線画の色を変えて調整します。
背景の線は水色、ピンク、黄色などで、キャラクターの線はピンクがかった茶色です。線画レイヤーにクリッピングマスクをかけて色を変更しています。
このあと、Photoshopでキャラクター関係のレイヤーを統合し、キャラにだけほんの僅かにドロップシャドウ効果をかけました。そのあとも、細かな部分の色を変えて完成です。
※ドロップシャドウ……浮き出て見えるようにする影の効果。
背景の線は水色、ピンク、黄色などで、キャラクターの線はピンクがかった茶色です。線画レイヤーにクリッピングマスクをかけて色を変更しています。
このあと、Photoshopでキャラクター関係のレイヤーを統合し、キャラにだけほんの僅かにドロップシャドウ効果をかけました。そのあとも、細かな部分の色を変えて完成です。
※ドロップシャドウ……浮き出て見えるようにする影の効果。
6. 完成
大変だったのは髪です。三つ編みを頑張って描きました!三つ編みのちょっとバラけたところや、髪の毛束の中に空気が入ったような感じが難しかったです。納得のいく髪の線が描けるまで何回も描き直しました。

ちほさんありがとうございました!次のページでは、ちほさんがイラストを描く時にこだわっているポイントや、作業環境などを伺いました。