ドキドキすると大きくなっちゃう⁉︎ 宇宙怪獣級ラブコメ「おにでか!」

文/ひらりさ
「おにでか!」は、ときめけばときめくほど巨大化してしまう体質に見舞われた女子高生・鬼龍院花生が、愛のため地球のために大暴れする、斬新なラブコメなのです。

いったいなぜ鬼龍院さんは、巨大化してしまうことになったのか?
きっかけは、幼馴染のたけぞうからの呼び出し。かわいらしい奔放さで周囲を振り回し、たけぞうをお世話係にしたがえて、学園のアイドル的存在として暮らしていた鬼龍院さんは、実はたけぞうのことが好きなのです。
そんなたけぞうに「大事な話がある」と呼び出された鬼龍院さん、いそいそと一本杉に向かいますが、なんとそこでふたりは謎の落雷を受けてしまいます。



予想もつかない状況におちいった鬼龍院さんでしたが、落ち着く間もなく、1匹の怪獣が目の前に。何がなんだかわからないけれど、今ここで怪獣に太刀打ちできるのは、鬼龍院さんただ1人。かくして、ときめきパワーとローキックで怪獣を倒した鬼龍院さんは、「美人すぎる巨大女子高生」として、日本じゅうのアイドルになるのでした……。
愛がある限り、たたかう巨大女子高生
幼馴染との王道ラブコメかと思いきや、1〜2話からギアかかりまくりの「おにでか!」。
このあとも
・性格最悪な巨大メイドとの秋葉原バトル
・自衛隊による突然の鬼龍院さん捕獲作戦
そして
・巨大関西弁ジャージ女との対決
などなど、怒涛の展開がつづいていきます。

しかし、どんなときでも鬼龍院さんの脳裏にあるのは、たけぞうのこと。というのも実はたけぞう、落雷のときに命を落としており、宇宙生命体「コスメス」の力によって生きながらえているのです。
「本当はもう世界を救うとかどうでもいいんだ──あたしが救いたいのはたけぞーなんだ」
大好きなたけぞうの命を救うためにも、コスメスのお願いを聞いて敵を倒しまくらないといけない鬼龍院さん。彼女こそ、「ウルトラマン」の後継者でありつつも、「美少女戦士セーラームーン」のマインドを引き継いだ新時代の美少女戦士なのです。
そんな巨大な鬼龍院さんが、ずしずしとからだを動かして、動き、戦い、勝利していくさまには、純粋に特撮ドラマ的なおもしろさがあるのですが、やはり特筆すべきは、鬼龍院さんのかわいさ。

通常サイズの鬼龍院さんも「こんな子に荷物持ちさせられたい!」というオーラを放っていますが、巨大化した鬼龍院さんが、怒り、苦しみ、笑い、照れ、歯を食いしばり、安堵し、さらにたけぞうへの恋心を自覚して……と、くるくると表情を変えていくのを見ていると「くっ、さすが日本じゅうのアイドル……」「こんな女の子に守られたい!!!」と、読んでいるこちらまで、甘酸っぱい気持ちになってしまうのです。
日本の行く末とともに、かわいくて巨大すぎる女子高生の恋の行方を応援できる一作です。