シュールだけど共感できちゃう!動物たちの社畜な日常「アフリカのサラリーマン」

文/大島亜衣香
突然ですが、アフリカ・サバンナといえば、どんなイメージがありますか?
ライオンや象、キリンのような大型哺乳類をはじめ、多種多様な野生動物たちが生息し、日々食物連鎖を繰り返す――ある意味、生命の原点のような野生の王国と思う方も多いことでしょう。
一方で、日本的会社で働くサラリーマンといえば、社長や上司からの無理難題、容赦ない残業と減給、仕事に直接関係ない接待など、ストレス案件が毎日積みあがっている、そんなイメージがありますよね。
もし野生の王国が、日本的社会だったら?
サラリーマンとして生活しているアフリカの動物たちも、人間同様の世知辛いしがらみでいっぱいだったら?
肉食のライオンでさえ、毎日肉ばっかり食ってられるか!と、金曜の夜くらいはチェーン居酒屋のハッピーアワーで生ビールを数杯煽って、締めのラーメンで一日を終えるのが最高!と思うかもしれません。
そんなアフリカの生き物あるあると日本社会の社畜あるあるのダブルネタを面白くシュールに描いた作品がガムさんの『アフリカのサラリーマン』なのです。
後輩のトカゲくんやオオハシたちからは親しみを込めて「ライオン先輩」と呼ばれているライオン。
百獣の王として君臨している彼でしたが、日本的社会ではしがない中間管理職のサラリーマンです。野生なら捕食してしまうリクガメの社長から振られる無理難題も、社畜として仕方なく飲まなくてはならないのです。元々は食物連鎖の頂点にいたので恐れられているし、顔も怖いライオン先輩ですが、サラリーマンとなった今は家族思いの温和なおじさん。メタボを気にしつつたまにファストフードを食べたり、年頃の娘からはお父さんのあとのオフロに入りたくないと煙たがられたり、生活習慣病におびえたり、愛すべき等身大サラリーマンのキャラクターです。

クールな雰囲気と真面目な性格が相まって社内でも密かな人気があるトカゲくん。
強面のライオン先輩を立てつつ、同僚でコンプライアンスギリギリを爆走しているオオハシに振りまわされる不幸な爬虫類です。子どもが生まれそうということで子持ちのライオン先輩に相談をしますが、ライオン流子育て論を鵜呑みにして奥さんを驚かせてしまうピュアな面も。ワーカーホリック気味なので、社内のストレスチェックにはひっかかりそうです。

ライオン先輩の後輩でトカゲくんの同僚であるオオハシは、ノリで生きていて、合コンやギャンブルなんでもこいのチャラ男。
温和なライオン先輩ですら、トラブルメーカーのオオハシに振り回されています。しかしいざというときは、やはり王者ライオン。先輩が本気で怒ると、さすがのオオハシも本能的におびえます。まぁ、鳥頭なので、すぐ忘れてしまうんですけどね……。

そんな個性的な3人を中心に、金にがめついカメ社長やライオン先輩の同期でお人よしのカラカルなど、アフリカの食物連鎖とは関係ない上下関係と社畜生活が見どころなんです。



さて、春定番のサラリーマンあるある恒例行事といえば、やはり花見!
人気の桜スポットは数日前から場所を確保していなければ、レジャーシートを敷くスペースなんて取れないですよね。ましては大人数で宴会をするなら、なおのことです。桜のシーズンになると、場所取りサラリーマンに取材をしている情報番組を目にしますが、アフリカのサラリーマンたちにとっても花見は会社の大事なコミュニケーションの場なんです。
強面のライオン先輩が威嚇し、その空いたスペースにトカゲくんがさっとレジャーシートを敷くというナイスフォーメーションで場所取りは完了。オオハシはというと、日が落ちればまだまだ冷える中、夜通しの場所取りです。
そんな自分自身との孤独な戦いをしているオオハシのもとに、見た目はかわいいけれど狂暴な殺傷ハムスターがふらりとやってきます。オオハシが酒のつまみを与えると、殺傷ハムスターからお礼にカラスの亡骸が。そこでオオハシは、天才的なひらめきをみせます。それは同じ鳥類だからバレないと考え、そのカラスの亡骸に自分のネクタイを付けて身代わりにしたのです。そしてウキウキ気分で夜の街に消えていったオオハシ。翌朝、花見会場に戻ってくると、そこではオオハシの葬儀が行われていて……⁉
同じ鳥類だからって誰も気がつかないの~⁉と思わず突っ込みたくなるシュールさです。




そんなアフリカのサラリーマンたちが繰り広げる日常が10月6日よりTVアニメになって放送開始します。
世知辛くてシュールだけど、どこか笑ってしまうストーリーは、TVアニメになってさらにパワーアップ間違いなし。
アニメと合わせて原作マンガを楽しんでみてはいかがでしょうか?