原作の表現にこだわった実写ドラマ現場を取材!『幸色のワンルーム』原作者×出演者インタビュー

少女にとって、唯一の希望となったお兄さんとの生活。社会的に許されざることだと知りながらも、狭いワンルームで芽生えたのはいびつだけれど温かい関係だった──。
そんな衝撃的な設定の話題作『幸色のワンルーム』が、この夏に実写ドラマ化!マンガならではの世界観やストーリーを、どのように映像で再現するのか。原作者のはくり先生と「幸」を演じた主演の山田杏奈さん、そして「お兄さん」を演じた上杉柊平さんのおふたりへ対談形式でインタビューを行いました。
はくり:(実写なので)もっと原作のマンガとは違う感じになるかと思っていたら、原作通りで驚きました。キャストが決まったとき、すでにふたりともイメージに近いなとは思っていたのですが、期待以上ですね! ビジュアルをしっかり再現していただいたと思います。
山田:よかった……! 安心しました。

▲ 幸(山田杏奈さん)とお兄さん(上杉柊平さん)
── 原作者のお墨付きを得られましたが、おふたりはキャラクターを演じるうえで、何か意識していることはありますか?
山田:ビジュアルは髪型だったり、頭の包帯だったりで近付けるようにしました。それから演技の際も、原作を読み直しながら表情を作っていくようにしています。
上杉:髪の色は原作通りに再現しようと思って、6時間かけて染めました(笑)。お兄さんはずっとマスクをしているので、表情はもちろんですが、座り方だったり姿勢だったりも、マンガに近づくように意識しています。
山田:原作に描かれているシーンは、ふたりの距離感とか姿勢がマンガに近いカットになるようにしてるんです。
上杉:そうなんですよ。撮影は、いつも原作と照らし合わせながら進めています。
原作に忠実に作られるドラマの現場
橋の場面でのロケにお邪魔してみると、想像以上の手数によって作られている様子を覗き見ることができました。元となったシーンはこちらです。

マンガの構図が再現できるように長時間にわたって位置の調整を繰り返したのち、衣装に着替えた状態でマンガと見比べながら再度チェック。

いざ、撮影がスタートします。


その後も細かな調整が続き、あまりのこだわりっぷりにpixivision取材班も思わず驚いたほど。出演者のふたりはもちろん、現場のスタッフさんの根気強さと熱意がひしひしと伝わってくる現場でした。
── はくり先生は、何回か撮影も見学されたんですよね?

▲ 原作者・はくり先生
はくり:はい。私がドラマのワンルームのセットに入っていったときの場違い感がすごくて(笑)。というのも、マンガ内のワンルームは幸とお兄さんだけの閉鎖的な空間なんです。そのワンルームの雰囲気がとてもリアルに表現されていたので、幸とお兄さん以外が入ると場違いになってしまうなと思いました。
はくり:正直、はじめは「アニメじゃなくて、実写だからどうなるんだろう?」っていう不安があって。でもセットもビジュアルもマンガの世界をしっかり作ってもらえたので、原作ファンの方々にも受け入れてもらえると嬉しいなと思います。

▲ 物語の核となる「ワンルーム」も、忠実に作り込まれています。
はくり:要望をきちんと聞いてもらえたのでよかったです。ドラマ化が決まった際に、方向性についてすり合わせの機会をいただき「どんな方向性にしたいですか?」と、根幹の部分から話のラストまでリクエストさせてもらえたんですよ。原作はまだ完結していないので、ドラマオリジナル展開での終着点を楽しみにしてもらえればと。
山田:ドラマのエンディングはかなり衝撃的なんですよ!
上杉:楽しみにしていてください。

── ここで原作についても、少し振り返っておければと。そもそも、この作品を描いたきっかけは何だったんですか?
はくり:前の連載が終わって次に何を書こうか迷っていたとき、もともと自分が好きな暗い設定のマンガをいくつかTwitterに投稿したんです。そのなかで1番反響が大きかったものが『幸色のワンルーム』の元になっています。
▲ 元となった「世の中いろんな人がいると言う話」をpixivに投稿し直したもの。本作のワンシーンや、キャラクターがすでに出来上がっています。
── とてもセンシティブで難しいテーマの作品ですが、どんなところに気を付けて描いているんですか?
はくり:この物語は、このふたりじゃないと成立しないということがしっかり伝わるように描いています。正体がわからない優しくてイケメンのお兄さんと、匿われた薄幸の美少女。実際にはいるはずのない、ファンタジー感があるふたりじゃないとダメなんです。この物語のメインテーマは主人公ふたりの心理描写なので、モノローグや感情の表現を細かく丁寧に描くようにしています。
── たしかに、建前と本音が複雑に交錯する展開が印象的ですよね。


▲ 「幸色のワンルーム」第1巻 p32-34のワンシーン。視線や表情が繊細に変わる様子がみて取れます。(©Hakuri/SQUARE ENIX)
── おふたりは、マンガを読んでどんな印象をもたれましたか?
山田:はくり先生を前にちょっと恥ずかしいのですが……。絵がものすごく好きですし、登場人物も魅力的だなと。幸とお兄さんという、複雑な背景を持ったふたりの関係がどうやって変化していくのか。その展開がすごくおもしろいなと思いました。
上杉:ふたりの細かい心情の変化が、表情やモノローグで丁寧に描かれているのが、すごくいいなと。だからこそ、自分が演じるうえでどうやって表現しようか、僕にとっては挑戦でもあると感じました。

山田:幸が、お兄さんに刃物を向けられても平気な顔をしているシーンですね。そこで幸の異常性とか、過去にそれだけひどい経験をしてきたんだっていうのがわかるから。すごく大切な場面だと思ったので、撮影にも心して臨みました。

上杉:実際に演じてみて気付いたんですが、幸から視線を外していたり、ひとりでいるときのお兄さんって、少し雰囲気が違うんですよ。そこにすごく惹かれたというか。演じるうえでもその差を意識しています。
── はくり先生からおふたりに、何かリクエストはありますか?
はくり:今、話してもらった幸やお兄さんへの理解は本当にその通りなので、もう自由にやってもらえれば!

── 逆に、おふたりからはくり先生に聞きたいことはありますか?
上杉:素朴な疑問なんですけど、お兄さんってご飯食べるときどうしてるんですか?マスク。
山田:それ、すごく気になります!
はくり:幸のいないところでは普通に食べてますし、マスク外してますよ。
上杉&山田:ええ〜!?
はくり:さすがに、ずっとマスクしていたら生活できないかなと……(笑)。お兄さんにマスクをつけさせたのは、身を隠している立場だから不用意に顔は見せないだろうっていうのと「はぐれもの感」を出したかったからなんです。
── 今後、お兄さんが読者の前でマスクを取ることはあるんでしょうか?
はくり:それは……内緒です(笑)。ドラマではどうですか?
上杉:内緒です(笑)。ただ僕のなかで、マスクはお兄さんが心を隠している象徴だと思って演技しているので、もしも外すときがきたら……お兄さんが心を開いた合図かもしれないですね。

── ちなみに原作は今後、どんな展開になっていくのでしょうか?
── 最後に、みなさんからドラマの見どころをお願いします。
上杉:エンディングはかなり意外性があると思います。
山田:私も脚本を読んでいて、思わず「ほんとに!?」って言っちゃいました!
上杉:絶対に忘れられない印象的なラストを迎えるので、そこへ向かっていくストーリーを楽しんでもらいたいですね。それに、毎話「最終回かな?」ってくらいの山場があるので、1話も見逃せない展開になっているかと。
山田:衝撃的なシーンの連続で、絶対に楽しんでもらえるはずです。それから、幸とお兄さんの関係がどんなふうに変わっていくのかも、注目して見てください。
はくり:ドラマにはオリジナルのキャラクターも出てきます。ビジュアルやセットの再現度の高さと合わせて、原作とのストーリーの違いも楽しんで見ていただければと思います!
はくり先生のライブ配信にも注目!
ドラマ放映に合わせ、はくり先生によるドローイング配信が決定! 日時の詳細はガンガンpixivの公式ツイッターをチェックくださいね。
原作者&キャストのサイン入り「幸色のワンルーム1巻」プレゼント
【放映情報・書籍情報】
撮影協力:CAFE&WEDDING 22
はくり先生と山田杏奈さん・上杉柊平さんサイン入りの「幸色のワンルーム1巻」を限定3名様にプレゼントします。
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