フランスではヒロアカが爆発的な人気!? JAPAN EXPOで感じたコンテンツの底力

今年で20周年を迎えた、フランス・パリで開催されるJAPAN EXPO。日本文化をテーマにしたイベントで、アニメ・マンガ・ゲームなどのポップカルチャーのほか、武術や伝統芸能を含む多彩なコンテンツを楽しめることで有名ですよね。
今回、ピクシブの出展に合わせてpixivision編集部チームも現地に参戦!
4日間で来場者25万人超・出展ブース約800件のヨーロッパ最大規模のイベントで、個人クリエイターから企業ブースまで幅広く取材を実施。華の都・パリで日本のコンテンツがどのように受けれられているかに迫ります。
◼️ 現地のトレンドをチェック
パリっ子の1番人気なコンテンツは「ヒロアカ」
日本好きが集まるJAPAN EXPOは、子供も大人も参加するまさに「日本文化の祭典」。青森のねぶたやタピオカミルクティー、剣道から和太鼓の体験まで幅広く日本のコンテンツを楽しむことできます。
また、アイドルをはじめ、アニメやマンガを愛するファンの空間というイメージを持つ人も多いはず。『NARUTO』『進撃の巨人』など往年の作品も浸透しているのですが、海外で熱狂的なファンを持つ『ワンパンマン』と共に、フランスで今すさまじい人気を誇るのが『僕のヒーローアカデミア(通称ヒロアカ)』です。
個人ブースでも人気が際立つ

ヒロアカのファンアートを扱う個人ブースも多く、取材をさせてくれたサークルによると、爆豪勝己と轟焦凍の組み合わせが特に人気があるんだとか。
「フランスでは同性同士の強い絆について理解が進んでいるため、この2人はバディ(相棒)としての組み合わせが好きなファンから熱烈に支持されています。」とのことでした。
ちなみに、フランスの個人ブースはジャンルやカテゴリでは仕切られておらず、「作家さん個人」を推したブースがメジャーな様子。オリジナル作品もファンアートもまとめて売られており、コミケというより「ファンアートがOKなデザフェス」という雰囲気です。

個性豊かなブースに並んだ作品は、ゲームのコントローラー、キャラクターを模したアイロンビーズ、ツノとアクセサリー、リアルな一枚絵からオリジナルのマンガまでとても多彩です。


▲アイロンビーズで作った作品



▲ ファンタジーから原宿系・パロディまで盛りだくさん
「リアクションがストレートで嬉しかった」

ゲーム『アズールレーン』の山城ちゃんの本をメインに出展していたのは、商業誌でも連載経験があるマンガ家・あまのがみだいさん。フランスのイベントは2回目で「海外のファンが日本のコミケに買いに来てくれることが多いので、自分たちから海外へ出向きたいと思って参加した」とのこと。
日本との違いは「現地のリアクションが思った以上に素直で『このキャラ好きなんだ!』みたいなパッションが溢れる反応が多いですね。来たかいがありました。」と新しいファン層への手応えを伺うことができました。
ちなみにコミケと違うと思った点は「ブースに小さい子が出入りする可能性があるので成人向けは最前列に置かず、2列目以降に陳列するように言われたことですかね(笑)またロリは厳格にNGですが、エロはOKな様子でした」とのことでした。
大らかな性表現に驚く

▲ 全年齢向けの作品は、等身大ポップも設置されてもっと大胆で華やか
◼️ アニメ放映前でもガンガン売れる!? 女性向けジャンルがあつい
BL界隈の人気も急上昇

数多くの女性向けのコミックスを翻訳して販売するこちらのブースの1番人気は、今期アニメがスタートした『ギヴン』。「フランスのファンは綺麗な絵柄を好むのでマッチしたかも」とのことで、アニメによってファンが増えるのかと思いきや、現地のファンはいち早く情報を得ていることがわかります。(※取材時はアニメ放映前)
「ストーリーの好みも日本の流行と変わらないです、オメガバースからハッピーな物語までなんでも読まれますよ」というコメントの通り、フランス映画に代表される「悲恋好き」というイメージは、昔の話なのかもしれません。


ちなみに、パリ市内はアニメイトのような大型の専門チェーン店はなく個人経営の店が多いため、豊富な品揃えを求めてWEBサイトかイベントで買う人が多く、たくさんの作品が一度に買える会場は熱気に包まれていました。
◼️ 意外な発見が多かったpixivのブース
さて、今までは創作界隈に触れましたがpixivの出展についても発見がたくさんありました。今回pixivブースは『サマーウォーズ』などのヒット作を生み出したスタジオ地図を共同で出展し、サマーウォーズの世界とコラボしたOZ on VRoidの紹介ムービーやイラコン受賞作品とともに、pixivでイラストの検索ができるモニターなどを提供しました。

「色松推し」などの単語はSNSで覚える

かわいいイラストと共に『おそ松さん』のアニメ3期への願いをしたためたコスプレイヤーさんは「色松推し」「一松ガールズ」など、カテゴリ独自の表現をTwitterで学んだんだとか。
「好きな作家さんをたくさん見ていたら、Twitterの自己紹介欄に書いてある共通のワードに気づきました。」……着眼点がすごいです!
サマーウォーズの力作ファンアートは監督ご本人へ

持参の水彩パレットを取り出して絵を描いていた方に話を聞くと、「スタジオ地図のアニメーターになりたい」という夢があるんだとか。鉛筆で描いたラフにペン入れした後、色付けして素敵な作品を仕上げてくれました。こちらの絵馬は後日、細田監督ご本人にお渡ししました!
また絵馬は私たちが思った以上に自由な使い方をされており「初音ミクと結婚したい」というメッセージに「頑張って」というコメントが書き足されてコール&レスポンスが行われたり、散財した人が銀行の口座番号を記すなど、ユーモアが溢れるやりとりで和気あいあいとしていました。意外な活用方法で面白いですよね。

「作家さんは、名前をアルファベットでも記載して欲しい」
しかし海外ユーザーにとって、pixivで見たい作品を検索するには実はまだハードルが高め。「このイラストを描いた作家さんが知りたいが、名前が読めない・わからない」と訪ねてきたファンもいたので、作家さんは可能な限りローマ字表記を入れておくとより多くの方が見に来るきっかけになるかもしれませんね!

▲ 好きな作品のファンアートに遭遇してハッピーな来場者をキャッチ。
◼️ 全力で楽しむ人からパワーをもらえる空間
アニメとゲーム関連はやっぱり強い
今年のEXPOは20周年というアニバーサリーイヤーで例年以上の来場数を記録し、見所は盛りだくさん。シリーズ完結編となる「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の最新映像と主題歌を熱唱した高橋洋子さんのライブで盛り上がったステージは日本のニュースサイトでも話題となりましたよね。
また任天堂をはじめとしたオンラインゲーム関連の大型ブースはたくさんの人が詰めかけ、実況やダンスが繰り広げられて大盛況でした。


あつい想いを凝縮した「祭」
フランス版コミケかと思いきや、ホラー系マンガに合わせてゾンビメイクをしたり、マンガの世界に飛び込んだような写真が撮れたり、展示や体験ブースが多かったことが意外でした。
時に興奮して、共に熱い眼差しを注ぐ ──。アナログからデジタルまで多様性に富んだお絵かき現場にも遭遇し、コンテンツを愛する熱気を改めてひしひしと体感できるイベント・JAPAN EXPOに、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。




取材に協力してくださった皆様、ブースに訪れてくれた方々に御礼申し上げます。
次回は、どこの国のオタク事情がわかるのでしょうか。乞うご期待!