ファンの本音から紐解く「とっておきの同人誌」制作会議 with ざいんさん

文/久保内 信行 写真/三浦 一紀 編集/佐久間 仁美
一般参加のイベントで、初めて出会ったサークルに一目惚れ。すっかり作家さんのファンになってしまった……そんな思いがけない出会いが、みなさんにもあるのではないでしょうか。また、サークル参加の皆さんも、新たな出会いやファンの方に思いを伝えるために、作品作りを試行錯誤されていると思います。
鮮烈な印象の同人誌、思わず手に取る推しグッズ──。そんな描き手とファンの想いがつながる「運命の1冊」を作るにはどうすればいいの? 今回は「運命の1冊」を実現するために、人気イラストレーターのざいんさんと、ファンのうまみさんの2人に、イベントに一般参加することが多い女子2人を加え徹底会議しました!
この記事では
・ファンの心をつかむ同人誌とは?
・ファンは「描き手が伝えたい色を」を求めている!
・イベントならではの、特別な体験
・描き手の思いが伝わる作品の作り方
など、サークル出展を考えている方にとって一読の価値アリ! な内容をお届けします。
座談会メンバー紹介

ざいん 作家代表。初音ミクのイラストでブレイクした、鮮やかな色彩とアナログな質感を生かした幻想的なイラストで大人気のイラストレーター。美大時代に油絵も手掛け、絵画的なアプローチで描かれた作品は見応えがあり熱狂的なファンも多い。



表紙に隠された伏線!?読後もファンの心をつかむ同人誌

──描き手の思いがつまった同人誌が並ぶ即売会は、ファンにとっても作家にとっても心が躍るイベントですよね。これまで一般参加したイベントで思わず足を止めた初めてのサークルで、手に取ってしまった同人誌ってどんなものでしたか?
カニ (初めてのサークルでも足を止めることが)よくあります! 本の表紙やブースの雰囲気が良いと、知らなかったサークルでも自然と目がとまりますよね。
うまみ ただ、参加者の視線をどう集めるかって難しいですよね。私が最近活動し始めたジャンルはまだできてから日が浅くて、初めての人でも気になって手を伸ばしてもらえるように同人誌の表紙やポスターなどの見せ方をとても意識するようになりました。パッと見てわかるけど、中身もちゃんと気になるデザインってなんだろうって。
みりん 今日持ってきたんですけど……部分的に光沢処理がされている表紙の本があって。洗練された雰囲気と、実際に手に取って本を傾けたときにわかる光沢の仕掛けがいかにもこだわってて感動しちゃって。他にも、表紙と本文の間に挟まれた「遊び紙」にトレーシングペーパーを入れる、みたいな一工夫もグッときます。

全員 オシャレ……
ざいん こういうこだわりが強いデザインって作る側は本当に勇気がいる。これで伝わるのかなって。自分は欲しいし、求めてるけど作るときの勇気はすごく必要だよね。
カニ あと、印刷所で頼もうとすると少部数でもいきなり価格のケタが上がって、入稿期限も早くなるしで初心者にはすごくハードルが高いんですよ。
全員 そうなんだよねー(嘆息)
カニ 少部数ならコピー誌を作るという手もありますよね。自分の手をかけられて満足のいくモノが作れるかも。以前手にしたこのコピー誌は、冊子によってイラストが色違いになっていて全く違う表情に仕上がっているんです。(作家さんから)どっちにします?と聞かれて、どっちも欲しくて両方手に入れました。
カニ 最近小説ジャンルでは、表紙のデザインをデザイナーさんやイラストレーターさんにお願いする流れも増えていて、冊子のクオリティが上がってきていますよね。
うまみ 私も小説の装丁をお手伝いしたことがあって、「手に取られること」はもちろん大事で、同時にその本が「読まれた後」も大事だってことに一番気を使いました。読後にその本を閉じた瞬間に「ああ、この表紙は“そういう意味”だったんだ」って余韻が残るような、全体の空気感を伝えられる表紙ってやっぱり素敵だなって。
全員 ああー!(悦)
みりん そうです!琴線に触れる演出があると思わず買ってしまいますね。そういう出会いがあるのがイベントの楽しみのひとつなので。愛されて生まれた作品を手に入れられる幸福さってすごい。
ざいん わかります、そういうのに気づくと手元に絶対置いておきたくなる! 大事にしたくなるそんな1冊に、自分の本もなれるように頑張りたいです。
作家の目線で見た色味が、自分の手元にある喜び

── うまみさんは、ざいんさんの大ファンだとお聞きしました。どんなきっかけでファンになったのですか?
うまみ 最初にざいんさんの作品を知ったのはSNSで、そのときは「好みの絵だな」と思った感じで。そのあと商業の単行本を読んだ時に絵柄に見覚えがあって「あの人だ!」と気がついて一気にファンに。作品の鮮やかな色使いだけでなく、質感というか手触りがあるような描写が好きで、細い線で描き込むのではなく鉛筆とかアナログの線をうまく使って質感につなげている点がとても好き。
ざいん デジタルで鮮やかな色彩の絵を描くと線がツルッとしがちなので、あえて鉛筆を取り込んでザラッと仕上げたりしています。デジタルの色彩なのに質感はアナログっぽくするのが面白いなと。油絵とかを描いていた経験もあるかもしれない。
──ファンとして、ざいんさんのどんな作品が欲しいですか?
うまみ 色味はもちろん、画面ごしでは伝わりづらい質感が楽しめるもの! たとえば、印刷にこだわったポスターやポストカード。あとは、イラストボードとか最高ですね。
ざいん ありがとうございます……。イラストボードは昔、印刷したイラストに1枚1枚アクリル(絵の具)や油彩で加筆した作品なんかを出品したことがあります。
3人・インタビュアー そんなの欲しいに決まってるじゃん……。

ざいん 印刷でいうと、自分は結構鮮やかな色が多いから、印刷所用の色域に変換したらガッカリしちゃうことがすごく多いんです。最初からその色合いで描くのが一番いいと思うんですけど、制作中に色を最初から制限しちゃうのはモチベーション的にもよくないし、もっと自由に描きたい。逆に、イベントで作家さんが嬉しそうに「今回、色がとってもよく出ました」って言われると、こっちまでうれしい(笑)。
みりん (ファンとしては)作家さんが見ていた色合いそのままに印刷された作品だと思うと、一層輝いて見えるというか「倍払わせてください」ってなります。
描き手もファンもイベントでしか味わえない、特別な体験
みりん 私の印象に残ったのは、同人誌の新刊とノベルティを頒布していたサークルがあって。そのノベルティが同人誌のストーリーの内でキャラクター同士を結ぶキーアイテムになっていて、キャラクターとグッズを介して繋がれる感覚がすごく嬉しくて、エモくなっちゃいました。これは絶対手に入れなきゃと。
うまみ 同人誌の内容とリンクしたノベルティは素敵ですね! ノベルティって必須じゃないですけど、本とシンクロすると作品の広がりをより感じられたりする。
みりん 本の中身だけじゃなく、外身も世界観を伝える大事な要素というか。
ざいん イベントって何かお祭り感があるから、特別なものを用意したいっていう気持ちはやっぱりありますよね。
みりん 好きな作家さんに差し入れをしたとき、いただいたお返しがお菓子と描き下ろしのポストカードで! 「神が私にプレゼントを下さった!」ってすごく興奮しました。
3人 「神が」……!
ざいん 相手に喜んでもらえると、やっぱりうれしいですよね。家に帰ってSNSにお礼とか感想を書いてくれていると「よっしゃ!」って(笑)
作りたい衝動とクオリティを両立。“思いが伝わる”作品の作り方
うまみ たとえば、公式がオンリーの3日前に新情報を出してくる、なんてこともたまにあるんですが、その告知を見たらどうしてもイベント合わせで何か描きたくなるじゃないですか。そういう時、コンビニに走って印刷して、自分で紙を必死で折ってコピー誌を出したりもするんですよ(笑)
ざいん おうちでのプリントは、その場で作ってすぐに確認できる良さってのがあって。作りたいな! って気持ちがすぐ形にできるから愛用しています。
うまみ でもおうちの印刷がうまくいかない時もありますよね、もっとキレイに出力できれば見栄えが全然違うのに! と思ったことがあります。
ざいん めちゃめちゃキレイですね、これ。こんなにしっかりと出るんだ……。作画時によく使う鮮やかな色合い(RGB)を使ったこの色合いは印刷所では出せない事が多いのですが、インクジェットプリンターだとここまで表現できるんですね。
うまみ 緑のリボンの色の出方がとてもキレイで印刷所入稿用の色合い(CMYK)との差がわかりやすい。

カニ スマートフォンの小さな画面で見てもわかりにくかった鉛筆のアナログな感じまできっちり再現していて、「こういう作品だったのか!」と紙ならではの発見があります。
みりん プリントする紙を変えるだけで、表面の感じだけでなくて手触りでも絵の印象がガラッと変わるのが面白いです……!

── インクジェットプリント用の紙は光沢紙以外にもたくさん販売されています。手元で仕上げることで、伝えたい色や風合いを実現できるおうちプリントは試す価値ありです! 少数からすぐに作れるので、イベント限定の特典や書き下ろしにも便利です。
WEBで公開された作品は、いつまでも見られるわけじゃない
うまみ 私は、ファンと描き手の境目があいまいなところが魅力のひとつだと思うんです。
ざいん いいものを見ると「よし自分も!」ってなりますよね。同人誌って、デザインから表紙まで自分で担当することも多いから、分業になっている商業以上にその人の作家性みたいなものが全部出るからすごく面白いと感じています。
うまみ 一般参加だった人が、サークル側になる可能性もありますしね!
みりん そうなんです、今その作品をその作家さんが描かれているのは奇跡みたいなもので。私は中高生時代に、好きな作家さんがSNSで新作の告知をされていても、イベントに行けないし、年齢制限があって買えないって思いをずっとしてきて。いざ自分が買えるようになった時には、その作家さんがすでに作品を出されなくなっていて。他のジャンルに活動を移動されたってことも多いですし。同人誌に目覚めてから実際に買えるようになるまでの空白の6年間は大きかった……。
うまみ サイトやSNSに掲載されていた作品や情報も、簡単に消えちゃうこともありますしね。最後にちゃんと手元に残るのは同人誌なんですよね。自分の作家さんを好きになったときの気持ちも詰まってる。
みりん 一生、手元で眺めていたいのに。そういう意味でも手に入れた同人誌ってホントに宝物。ときどきSNSとかで「引っ越しや結婚で、大量の同人誌の置き場所をどうしよう」っていう話題が流れてくることあるじゃないですか。「絶対捨てちゃダメ!」って言いたい。スペースがキビしいのはよくわかるんですけど、心情的には!
うまみ そうですね。自分でこだわった作品を手に取ってもらって、「この先、私もこんな本を作りたい」という気持ちを起こさせるようなものを作りたいし、そう思わせてくれる同人誌ってやっぱり好きだなと思いました。
ざいん こういう体裁だったら買う、というよりその人がやりたいものがちゃんとできたものが手に入ると嬉しいなと思います。同人誌って、作者さんが手をかけたものなので、納得できる手のかけ方をしてやると、それが自然に受け手にも伝わるんじゃないかなと思います。
まとめ
予定の時間を過ぎ、座談会はこれにて終了! としたものの、4人のお話は尽きることはありませんでした……。2時間半に及ぶ会議の結果、とっておきの同人誌を作るためには次の4つが有効だとの結論にいたりました。
1.表紙は重要なファンの入り口。美しさ+中身との連動で好感度アップを目指そう!
2.描き手が納得した色をファンは求めている。伝えたい色は納得いくまで仕上げよう!
3.イベントはお祭りだ!ファンとの特別な体験を用意して絆を深めよう!
4.Webの作品はいつまでも見られない。ファンのために同人誌として残そう!
<製品情報>同人活動におすすめ。エコタンク搭載モデルEW-M770T/TW
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エコタンク方式はカートリッジ方式に比べ印刷コストを90%カット!(※2)

※1:各色での印刷可能枚数(イールド枚数)、ランニングコスト算出方法についてはこちら。消耗品価格については、エプソンダイレクトショップ掲載価格・税別(2018年8月30日現在)をもとに算出。
※2:EW-M770T/TWのA4カラー文書のコストを、PX-M650Fと比較した場合。
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サークル参加の強い味方。エコタンク搭載モデル「EW-M770T/TW」
・自分の理想のまま、こだわりの色味が残せる!
インクジェットプリントは、デジタルイラストの作画でよく使う色域(RGB)に近い色合いを表現できるので、モニターで見ていた鮮やかな色合いをファンに届けることができます。EW-M770T/TWは二つのブラックインクを搭載しているので、文字もイラストもくっきり鮮やかに仕上がります。同人誌の表紙やポストカード、A4ポスターをこだわりの色合いで仕上げてみては?
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