少女たちの青春は何にだって全力！百合×部活／pixiv小説選集

生まれ持った才能はなくとも努力家であることを自負している美桜は、名家に生まれ天賦の才能を持つ紫音に憧れ能楽部に入る。美桜は優しく話を聞いてくれる紫音のことを信頼しきっており、憧れ以上の感情を抱く。しかしある日友人に二人の関係について釘を刺され、さらに稽古でミスが多いことを紫音に叱られれぶつかってしまい……。

先輩が引退し自分たちが舞台を作り上げる番になったことで、正反対の二人がそれぞれ葛藤し、それを助ける周りからの助言を通して成長していく様子はまさに青春でした！

能楽をテーマとした作品ならではの、演目や詩とかけた表現や言葉選びも素敵な作品です。

美術部員の洋子としおりは学校で行われるデッサンコンクールに参加した。帰り際に洋子はしおりを夏祭りに誘うが、人混みが苦手なしおりはその誘いを断る。そこで洋子はあることを思いつき、しおりに学校で待っているよう伝えた。「夏祭り、持ってきてあげる」

お互いに自分にないものを持っていることを認め合い、人間的な部分も美術の部分も惹かれ合う二人の関係が気持ちの良いものでした。二人だけの閉鎖的で特別な空気の中で、いつもより少しだけ素直になれるような、非日常の高揚感はまさに夏という感じがします。

陸上部の陽菜と弥生はある日共に交通事故に合い、陽菜だけが陸上ができない身体になってしまう。罪悪感によって弥生も陸上部を辞める決断をし、放課後の全ての時間を陽菜のサポートに捧げた。そんな時、後輩の有里が姿を現し、有里は陽菜に、弥生を解放して欲しいと告げて──。ただの被害者と加害者ではない二人の依存と、それぞれ負った傷から上を向けるようになるまでの物語。

罪悪感やどうしようもない事実に頼って共依存のような形になってしまう二人の、正解のわからないような曖昧な心情が、詩的な表現を多く用いて繊細に描かれています。

それぞれ自分の足で立ち上がり、再び前を向いていく姿や再会して一層感じられる堅い絆、二人の強さに感動します。