ゲイのサラリーマンのもとに人間になりたい雷神様が落ちてきた!?人間らしさは「脆さ」と「愛」で満ちている 『雷神とリーマン』
最近、ちょっと無理している。心から笑ってない。ご飯が前より美味しく感じない……少しでも思い当たる節がある人はいませんか?そんな人はちょっとだけ、心が疲れているのかもしれません。
今回は、「くたびれ気味」のハートに効く、処方箋のような漫画・RENA『雷神とリーマン』をご紹介します。
本作品にはタイトルの通り、雷神とサラリーマンが登場し、ふたりがルームシェアをする様子が描かれています。
「男ふたりの生活、ということはBL(ボーイズラブ)漫画か……。」と食指が動かなくなった男性のみなさま、侮るなかれ!
雷神とサラリーマンのやりとりを通じて、普段は意識していなかった衣食住の大切さ、「愛」や「寂しさ」について気付かされる作品で、男性からの支持も厚い作品なのです。
出会いは突然に!部屋に不審者(=雷神)が降臨
主人公の大村は、ストレスを抱える営業職のサラリーマン。ゲイセクシャルでもある彼が失恋で元気をなくしていたところに、突然「人間になりたい」という雷神・雷遊(らいゆう)が現れたところから物語がスタートします。

△想定外の状況に疑いの眼差しの大村。そりゃそうだ。(『雷神とリーマン』一巻 p.10)
不審者だと思った雷神の本来の姿が意外と好みだった(!)ことも手伝って、雷神とリーマンという前代未聞のシェア生活が始まります。

△雷神としての本来の姿は、ルームシェアの後押しに(『雷神とリーマン』一巻 p.26)
人間の「当たり前」は、雷神から見ると不思議に満ちている。
人間社会のルールを知らない雷遊は、私たちが「当たり前だ」と思っていることを素直な目線で「なぜか」と問いかけます。彼の疑問は、衣食住のルールから、嫌でも身についてしまう処世術までに及びます。どうして愛想笑いをするのか、なぜ嫌いな仕事に行くのか、頑張るとは何なのか──。
改めて本質的な理由を問われたとき、自信を持って答えられる人はどれだけいるのでしょうか。「だって当たり前だから」「仕方がないから」……そんなネガティブな言葉で逃げてしまうことも多々あるかもしれません。
雷神様に人間の常識は通用しない!
大村にも「仕方ない」と諦めていたことがたくさんありました。なかでも根深い心の傷になっていたのは、自分のセクシャリティによって失恋したこと。雷遊は、好きな想いを告げられずに終わった恋から立ち直れない大村を担ぎ上げ、夜空へと連れ出します。

(『雷神とリーマン』一巻 p.42-43)
大村の目に飛び込んできたのは、広大な夜景の中でとても小さく見える、街のあかり。自分が小さな規模の問題に囚われていることに気づき、恋した相手を思い出してぽろりと零れた大村の本音が、夜空にそっと放たれます。



△ 雷遊の言葉に、大粒の涙が夜空からこぼれ落ちる(『雷神とリーマン』 一巻 p.47-49)
雷遊は、大村の気持ちは責める必要のない「愛」だ、と述べ、むしろ、その気持ちを誇るように諭し、大村をいとも簡単に受け入れます。
今まで誰かに言って欲しかった肯定の言葉によって、大村を縛っていた心の重荷が降りた瞬間に、思わずほろっとさせられます。
「人間である」のに必要なことを学ぶ
雷遊はルームシェアを通じて、人間らしさを学んでいきます。生きるために衣食住が必要であること、そのために人は働くことなど、雷遊の目には全ての行動が新鮮に映ります。

△ 美味しそうにご飯を頬張る2人。(『雷神とリーマン』 一巻 p.121-122)
共同生活を経て、だんだんと変わっていくふたり
人と距離を置いてきた大村が素直になっていく
社会の型に無理やり合わせてきた大村は、雷遊の真っ直ぐな言葉やぬくもりに触れ、言えなかった本音や自然な表情を見せはじめます。
そして、彼の中にも雷遊のように、自分の心に正直に生きてみたいという思いが生まれ始めます。


△ 偽りの自分を捨て、走り出した大村。(『雷神とリーマン』一巻 p.184-185)
これまでどうしてもできなかった、自分の気持ちと素直にまっすぐと向き合うこと。大村は、雷遊に影響を受けて大きく変わり始めていました。
一方で雷遊は人の弱さと脆さを知る
好奇心が旺盛で、日々人間らしさを身に付けていく雷遊。一方で、彼もまた初めての感情に出会います。
それは、大村が出張で部屋にいない時に起きたこと。
いつも隣にいた人がおらず、食事も娯楽も一人。雷遊は突然自分が消えてしまうような感覚に陥ります。

△ 雷遊は、自分にとって大村の存在が大きくなっていたことに気づく。(『雷神とリーマン』 二巻 p.148-149)
それは彼が生きてきた40億年間で初めて出会う感情──人の精神的な脆さである「孤独」でした。
雷遊はマイナス感情の発露により我を失い、雷神としての本来の力を抑えられなくなります。帰って来た大村は自制の効かない雷遊を前に、自らの身を投げ打って彼の名前を呼び続けます。ようやく平常心を取り戻した雷遊は、人間が持つ弱さと強さに思いを馳せるのでした。
ふたりの絆を巧みに描く圧巻のシーン。ぜひその臨場感を本編で味わってみてください……!
人間と変わらない生活をする過程で生まれた複雑な感情に気づいた雷遊は「人間らしさとは何か」を一層深く考えるようになっていきます。雷遊は大村との交流によって、人とのつながりや絆を知りましたが、まだ「恋」が何たるかは知りません。これから彼がどんな風に学んでいくのか? 見守っていきたいですね。
面白さを際立たせる、細かな演出やエピソード
個性豊かなキャラクターが織りなすストーリーや小ネタが充実。
本作品の特長として外せないのが、ふたりを取り巻く人々の描写や細やかなやりとりです。真面目なシーンの合間に、テンポの良い軽快なギャグ要素がちりばめられているのもたまりません。

△雷遊の「ニンジンのいちょう切り」。惜しいです。(『雷神とリーマン』二巻 p.100)

△80年代のヤンキーのような外見からは想像できない、心優しい2人。大村家にゲームとテレビを持って遊びに来てくれたシーンなのに、この迫力……。(『雷神とリーマン』二巻 p.122)
ヤスと雅ちゃんが、雷遊に高校生らしいお年頃な話題からゲームまで教えてくれる様子は、微笑ましさ満点。その他にも、雷遊が学校に来たことで起きる、印象的なストーリーがたくさん詰まっています。これはぜひとも本編を読んでお楽しみいただきたいです!
人間らしさは「脆さ」と「愛」で満ちている。
『雷神とリーマン』には、雷遊と大村の表情がより自然になっていくのを、周りの人たちが優しく見守っている様子が丁寧に描かれています。作品を読んでいる読者の多くも、きっと同じ様な表情をしているはず。
孤独の辛さを知っているからこそ改めて考える「ごちそうさま」の意味や、身近な人と過ごすかけがえのない時間……あって当然のように過ごしていた日常がこんなに幸せで愛しいんだ! ということに気づくと、多幸感に包まれて心がすっと軽くなり、明日からもまた頑張れそうな気がしました。
最新話はpixivコミックでチェック!
『雷神とリーマン』の最新話は、現在pixivコミックで無料で読むことができます。第三章では、雷遊がついにアルバイトを開始。果たして何を学ぶのか、そして彼は人間になれるのか……!これからどんな展開を迎えるのか、大注目です!
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『雷神とリーマン』の見どころはココだ!
▼出会いは突然に!部屋に不審者(=雷神)が降臨
▼人間の「当たり前」は雷神から見ると不思議に満ちている。
▼共同生活を経て、だんだんと変わっていくふたり
▼面白さを際立たせる、細かな演出やエピソード