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キツネさん メイキング&インタビュー 幻想的な世界を「Adobe Photoshop CC」で描く
原動力は「悔しさ」
──デジタルでイラストを描かれるようになったのはいつ頃からですか?
初めてPCでイラストを描いたのは高校生の頃なので、今から10年ぐらい前です。その頃はペイントツールを買えなかったので、フリーのペイントツールでイラストを描いていました。
──その頃はどのようなイラストを描いていたのですか?
やっぱりキャラクターイラストですね。キャラクターを上手に描きたくて、見よう見まねでひたすら描いていました。ただ、キャラクター単体だと絵がさびしいので、少しずつ背景を描くようになりました。
ちょうど『ひぐらしのなく頃に』にハマっていて、公式サイトにある掲示板に入り浸ってイラストを描いたり、「お絵描き共和国」というお絵描き掲示板にひたすら投稿したりしていたのですが、すごいイラストがたくさんアップされていて、それがもう(描けない自分に)悔しくて悔しくて(笑)。ひたすらまねをして練習しました。
──影響を受けた作家さんはいらっしゃいますか?
決定打はブラシ
──「Adobe Photoshop」を使うようになったのはいつ頃ですか?
お絵描き掲示板のツールや別のお絵描きソフトを使ってイラストを描いていたのですが、それでは表現できないものがあると感じて、大学生のときに「Adobe Photoshopを」使い始めました。最初は操作が難しくて、どこをどう触ってよいのか悩んだりもしたんですが、いつの間にか慣れてしまいました。学生だったのでアカデミック版を購入できたのはありがたかったですね。
──「表現の限界」というお話が出ましたが、具体的にはどのような部分ですか?
ゲームなどの開発時に描かれるコンセプトアートのような、いわゆるスピードペインティングというジャンルのイラストを描きたかったのですが、そのためにはブラシの種類の充実とカスタマイズの幅が必須なんです。
僕の場合、ラフにはメイキングでも紹介した六角形のブラシを使います。これがすごく便利で、六角形のブラシではいい感じに線がでこぼこして、単なる丸ブラシでは得られないラインが引けるんです。
そのほかにも、植物や岩肌は線を引くだけでそれっぽいテクスチャーになるブラシを使っています。そういったブラシを使うことで極力作業時間を縮め、描きたいところに注力する時間が作れるようになったのはありがたいです。
僕の使っているブラシの多くは海外のアーティストの方がフリーで公開してくださっているものなのですが、こういう素晴らしいブラシが公開されているというのも、メジャーなツールである「Adobe Photoshop」の強みですね。

▲初期状態のブラシのプリセットだけでも、十分すぎるほどの種類が用意されている。

▲ブラシの定義ファイルをロードすると、簡単に追加することができる。キツネさんのように海外サイトから使い勝手の良いブラシファイルをダウンロードして自分だけのブラシコレクションを作ることも可能です。
──現在は「Adobe Photoshop CC」を使用されているとのことですが、活用されている「Adobe Photoshop CC」ならではの機能はありますか?
一番は「ぼかしギャラリー」の中にある「フィールドぼかし」ですね。好きな点をぼかす機能なんですが、ピンを置いた周囲のぼかし幅を自由にコントロールすることができるんです。
僕は描く際にレイヤーをどんどん結合していってしまう描き方をしているので、最終的な仕上げでぼかしが必要なとき、この機能があるとないとでは労力が全然違います。もう絶対必要な機能ですね。

▲「ぼかしギャラリー」の中にある「フィールドぼかし」。ピンが表示され、ぼかしの範囲などを設定することで、自在にぼかしを作り出せる。
──描き方のお話がでましたが、キツネさんはイラストの勉強はどのようにされたのですか?
ほとんど独学です。大学は美術大学に進んだのですが、そこで学んだのは平面デザインと映像制作だったので、イラストについてはデッサン以外ほとんど勉強できていなくて。
僕も最初は線画を描いてキャラと背景をきっちり分けて、レイヤーをパーツごとに作って塗って……とセオリー通りの描き方をしていたのですが、線画を描くのがものすごく大変で(苦笑)。だから線画がなくてもおかしくない塗りかた、表現方法として、現在の描き方に落ち着いた感じです。
10年ぐらい描いてきたなかで、だんだんと楽なほうへ進んで行ったらこうなっ
たんでしょうね、あはは。

▲キツネさんの作業環境。