ファン必見の裏話満載!『キズナイーバー』キャラクター原案・三輪士郎さんインタビュー<前編>
2016年4月にスタートし、現在放映中のTVアニメ『キズナイーバー』。みなさんはもうご覧になりましたか? TVアニメ『キルラキル』を制作したTRIGGER制作ということで、注目されていた方も多いのではないでしょうか。個性的な8人の少年少女が織りなす物語は、毎回予想がつかない展開で目が離せません! まだ観ていない方もぜひチェックしてみてくださいね。
pixivでは、そんな『キズナイーバー』とタッグを組んで公式ページを公開。関連ニュースやスタッフによるイラスト・設定資料・投稿されたファンアートなどを配信しています。
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さらにこのたび、本作のキャラクター原案を担当された漫画家・三輪士郎さんへインタビュー! 前編・後編の2回にわたり、三輪さんの『キズナイーバー』でのキャラクター原案のお仕事についてお話を伺います。
インタビュー前編となる今回は、『キズナイーバー』のキャラクターたちがどのように作られていったのか、その裏話をたっぷりとご紹介!個性豊かなキャラクターのデザインは、三輪さんの手によってどう描かれ、変化していったのか?ここでしか聞けないエピソードも盛りだくさんでお届けします。『キズナイーバー』ファンの方も、三輪さんのファンの方も必見です!
インタビュー・文:坂本 寛
日染には引きこもり設定があって、それがなぜか最終的にはドMってことに(笑)。

──まず『キズナイーバー』のキャラクター原案のお仕事は、どういった経緯で依頼されたんでしょうか?
最初はTRIGGERの方からご連絡があり、会社にお呼びいただいて。もともと面識があった方なので頼みやすかったのかなと(笑)。そのときすでにタイトルだったり現状の座組だったりは決まっていたかと思いますね。
──あらためて「キャラクター“原案”」というのはどんなお仕事なんでしょう?
まずアニメでは、企画があって、全体を仕切る監督がいて、ストーリーを作る脚本家がいて。そして、キャラクターデザインの方が企画やストーリーを元にキャラクターの設定を起こし、それに沿うように登場人物の外見を作っていく……というのが一般的な流れです。
それで、同じキャラクターでもシーンに応じて衣装が変わったりするわけですが、今回僕がやっていたキャラクター原案というのは、そのいちばん基本的な素体になるデザインを起こす役割です。
実際にアニメでキャラクターを使うにあたっての細かなデザインやバリエーションは、アニメーターであるキャラクターデザインの方が起こす形になります。
キャラクターデザインの方が原案を兼ねる場合も多いです。
それで、同じキャラクターでもシーンに応じて衣装が変わったりするわけですが、今回僕がやっていたキャラクター原案というのは、そのいちばん基本的な素体になるデザインを起こす役割です。
実際にアニメでキャラクターを使うにあたっての細かなデザインやバリエーションは、アニメーターであるキャラクターデザインの方が起こす形になります。
キャラクターデザインの方が原案を兼ねる場合も多いです。
──『キズナイーバー』はオリジナル作品ですし、こういう企画を三輪さんのキャラクターでやりたい、とご指名があった形なんですかね。キャラクターの設定は、あらかじめ決まっていたんでしょうか?
キズを共有する設定だったり、メインのキャラクターの性別やざっくりした設定はありましたが、最初はふわっとしていましたね。
一度メインとなる8人分のキャラクターを仮デザインとして出したんですが、そのころはまだお話の方向性というかジャンルもハッキリしていない段階で、探り探りでした。『キズナイーバー』ってバトルっぽいタイトルですけど、お話ができてきたら意外と普通に学園モノだったんだな、みたいな(笑)。
ストーリーが終わりの方まで見えてきてキャラクターにズレが出てきたところについては、第二段階で練りなおしというか、企画が進むにしたがって修正していく形でした。
一度メインとなる8人分のキャラクターを仮デザインとして出したんですが、そのころはまだお話の方向性というかジャンルもハッキリしていない段階で、探り探りでした。『キズナイーバー』ってバトルっぽいタイトルですけど、お話ができてきたら意外と普通に学園モノだったんだな、みたいな(笑)。
ストーリーが終わりの方まで見えてきてキャラクターにズレが出てきたところについては、第二段階で練りなおしというか、企画が進むにしたがって修正していく形でした。
──『キズナイーバー』のアニメの中で、各キャラクターには「愚鈍」「独善ウザ」「脳筋DQN」「狡猾リア」「上から選民」「不思議メンヘラ」「インモラル」というように「七つの大罪」と呼ばれるキャッチフレーズがつけられていますよね。これも企画の最初からあったんでしょうか?
最初は「7人のキャラクターが感覚を共有する」ということだけが決まっていて。具体的な「七つの大罪」の名称がついたのは、たぶん途中段階からですが、だいたい「コイツは考えずに動くタイプ」とか「女の子に手が早いタイプ」みたいな基本的な性格などはありました。

▲高城千鳥のキャラクター原案の第1稿。完成形よりもツンとした印象だったようだ。彼女のキャッチフレーズは「独善ウザ」。
──今のキャラクターデザインが出来上がるまでには、かなり修正を繰り返されたんでしょうか?
ひな形を一度出してからしばらく期間が空いて、もう一度、僕が呼ばれて全キャラを見直して、それでフィックスくらいなので、そんなに何度も行ったり来たりはしていないですね。初期デザインがほぼそのまま通っているキャラクターもいますし。
一番変わったのは勝平と日染ですかね。逆に天河はまったく変わっていないです。
勝平はもっと普通の主人公っぽかったですし、日染はもともと一番背が低かったんです。初期の日染の外見がどちらかと言えば勝平にシフトして、元デブ設定が由多に引き継がれた感じです。
一番変わったのは勝平と日染ですかね。逆に天河はまったく変わっていないです。
勝平はもっと普通の主人公っぽかったですし、日染はもともと一番背が低かったんです。初期の日染の外見がどちらかと言えば勝平にシフトして、元デブ設定が由多に引き継がれた感じです。

▲日染芳春のデザイン第1稿。元デブ設定があったり、完成版デザインとはかなり異なる。
もともと日染には引きこもり設定があったんです。
最初からは出てこないんだけど、もう一人キズナを共有している人間がいることがわかり、あるとき全員が飢餓感に襲われて。それで自分の部屋で飢え死にしかかっている日染を見つける……みたいなお話で。元々はデブだったんだけど、それでやせ細って、という。
そういうお話だったはずなのに、なぜか最終的にはドMってことに(笑)。
最初からは出てこないんだけど、もう一人キズナを共有している人間がいることがわかり、あるとき全員が飢餓感に襲われて。それで自分の部屋で飢え死にしかかっている日染を見つける……みたいなお話で。元々はデブだったんだけど、それでやせ細って、という。
そういうお話だったはずなのに、なぜか最終的にはドMってことに(笑)。
──いつの間にそんなことに(笑)。
そのへんはだいたい岡田麿里さん(シリーズ構成・脚本)のせいですね(笑)。ストーリーがより面白くなる方向に進めていった結果、そうなってしまったのかなと。
あと女性で一番変わったのは仁子ですね。エキセントリックな外見というのは同じなんですが、初期の案では背が高かったんですよ。それが小さくなってロリっぽい感じに。
あと女性で一番変わったのは仁子ですね。エキセントリックな外見というのは同じなんですが、初期の案では背が高かったんですよ。それが小さくなってロリっぽい感じに。

▲新山仁子のデザイン変遷(第1稿→完成版)。ファッションの方向性は変わっていないが、身長が低くなりアクセサリーも増えて、よりかわいらしい印象に変化。
──ちなみに最初のひな形を出されたのはいつごろ?
ええと、僕が『セブンスドラゴン2020-II』(2013年4月18日発売)というゲームのデザインをやっていたころで……『キルラキル』(2013年10月放送開始)の制作が始まったくらいなので……。かなり前ですね。2011年とか2012年くらいでしょうか。
──TRIGGERの設立が2011年ですから、企画自体はもうそのくらいのころからあったような感じなんでしょうか。
そうですね。最初の提出から次の修正までしばらく期間が空いていました。
そうこうしているうちに『ジョーカー・ゲーム』のお仕事が来て、どうしようこっちが先に終わっちゃうと思っていたら、再開しますっていうご連絡が来て。
そうこうしているうちに『ジョーカー・ゲーム』のお仕事が来て、どうしようこっちが先に終わっちゃうと思っていたら、再開しますっていうご連絡が来て。
──それで放送が同時期になったんですね。でもお仕事の期間が完全にかぶっていたわけではない?
ええ。でも、DVDやBDのジャケットのお仕事は、思いっきり……。
──(笑)。でも、ご自身がキャラクター原案をしたアニメが、同時期に2本も放送されるというのはなかなかないというか、すごいことですよね。
まあ、できればもう少し時期がずれて話題が長く続いてくれたら、もっとうれしかったかもしれないです(笑)。

▲園崎法子のキャラクター原案の第1稿。表情も含め、完成形とほぼ変わらないデザインだったようだ。