「お札っぽさ」って何だろう?架空紙幣作家 oloさんインタビュー<前編>
「観察」と「再構成」の繰り返しで作品を創る
━━「◯◯っぽさ」を追求していくには、どんなスキルが必要でしょうか。
観察と再構成、ですかね。
とにかく徹底的に観察することは間違いなく必要だと思っているので、暇さえあればお札の表面をルーペでじっと見つめて「この模様ってどうやって作っているんだろう…こうかな…?」と考えています。
で、それを実際に作ってみて「ああ、紙幣っぽくなった」「いや、違うな」と。そしてまた観察をして……というプロセスを繰り返していく。
私は別の作品群として「架空新聞」や「架空ニュース動画」を作ったりもしますが、そちらでもやっていることは同じですね。
とにかく徹底的に観察することは間違いなく必要だと思っているので、暇さえあればお札の表面をルーペでじっと見つめて「この模様ってどうやって作っているんだろう…こうかな…?」と考えています。
で、それを実際に作ってみて「ああ、紙幣っぽくなった」「いや、違うな」と。そしてまた観察をして……というプロセスを繰り返していく。
私は別の作品群として「架空新聞」や「架空ニュース動画」を作ったりもしますが、そちらでもやっていることは同じですね。

▲丁寧にファイリングされた紙幣と、折りたたみ式のルーペ。
━━「観察」と「再構成」。oloさんほどのレベルに達するには、どんな努力をすればいいでしょう。
「再構成」に必要な要素をつかむためには、まず観察対象のサンプル数が多いことが大事な気がします。
例えば、千円札1枚渡されて「『お札っぽさ』を発見しろ」と言われてもサッパリだと思うんですけれど、C千円札とD千円札とE千円札(※)と、二千円札とか歴代五千円札とか他のお札もばーっと拡げて、それらをひとつひとつ丁寧に・つぶさに観察して、ついでにその辺にあったドル紙幣を見て……
私の場合、それでやっとひとつふたつ特徴が思い浮かぶ、という感覚です。
※C千円札とD千円札とE千円札 … 千円紙幣のデザインの呼称で、正確には「C号券」「D号券」「E号券」と呼ばれる。
例えば、千円札1枚渡されて「『お札っぽさ』を発見しろ」と言われてもサッパリだと思うんですけれど、C千円札とD千円札とE千円札(※)と、二千円札とか歴代五千円札とか他のお札もばーっと拡げて、それらをひとつひとつ丁寧に・つぶさに観察して、ついでにその辺にあったドル紙幣を見て……
私の場合、それでやっとひとつふたつ特徴が思い浮かぶ、という感覚です。
※C千円札とD千円札とE千円札 … 千円紙幣のデザインの呼称で、正確には「C号券」「D号券」「E号券」と呼ばれる。
━━とにかく、たくさんの対象を丁寧に観察しないことには、再構成もできないということですね。なるほど。
メイキング:「彩紋」風模様の作り方
Illustratorを使ったoloさん流「彩紋」メイキングをご紹介します!
波線を重ねあわせてパターンを作る

まず適当な長さの線を引いて「効果」 →「パスの変形」→「ジグザグ(滑らかに)」を適用し、波線を作ります。
作った波線をコピーして、少しずつ位置をズラしたり幅を変えてペーストしたものを重ね合わせていき、模様のベースを作ります。
作った波線をコピーして、少しずつ位置をズラしたり幅を変えてペーストしたものを重ね合わせていき、模様のベースを作ります。

パターンブラシに模様のベースを適用

作った模様を「新規ブラシ」 →「パターンブラシ」として登録します。
模様をパスに適用してメッシュ化
パスで描いた線や丸に、パターンブラシを適用したものを用意し、「オブジェクト」→「エンベロープ」→「メッシュで作成」を選択して、「エンベロープメッシュ」を設定します。


模様を変形させる

メッシュに設定されたコントロールポイントを上や下に伸ばして、変形させます。

変形した模様を繋ぎあわせて試行錯誤

変形させた模様を並べてみたり、再度パターンブラシ化して丸や星形のパスに適用してみたり、試行錯誤していきます。即興だったので、今回のものはあまり格好良くならなかったですね……(笑)。そういうものでも、部分的に取り出すと使えたりもします。
出来上がった彩紋はストックしておく

色々試す中で「彩紋っぽいな」というものがうまく作れたら保存しておき、架空紙幣のデザイン時に使います。
実際の紙幣の彩紋を作っていた職人さんや工芸員さんも、彩紋彫刻機で試行錯誤をしながら、彩紋を作りためていたそうです。一緒にするのは、おこがましいかもしれませんが……(苦笑)。
実際の紙幣の彩紋を作っていた職人さんや工芸員さんも、彩紋彫刻機で試行錯誤をしながら、彩紋を作りためていたそうです。一緒にするのは、おこがましいかもしれませんが……(苦笑)。


- olo
- 架空紙幣作家(fictional banknote creator)。架空新聞や映像制作など幅広く作品を制作している。直近の代表作は『テレビパン』、 『11月23日に生まれて』、 『ネックビルダーCM』(撮影・編集等)など。