応募数は歴代最高の1,100件!pixiv高校生イラコン2021結果発表
2021年7月31日(土)より高校生を対象としたイラストコンテスト「pixiv高校生イラコン2021」が開催されました。4年目の開催となる今回も、豪華なイラストレーターの審査員と協賛企業陣を迎え、応募総数約1,100件のイラストが集まりました。
今年も「あまりにもハイレベルすぎて、もはや高校生の作品とは思えない……」と審査員をうならせるクォリティが高い作品が数多く寄せられました。そんな受賞作品を大発表します!
審査を担当した、豪華イラストレーター審査員の皆様はこちら

画像左から、ア・メリカさん、さいとう なおきさん、吉田誠治さん、米山舞さんの総勢4名
最優秀賞(賞金10万円)
本コンテスト応募作品から最も優れた作品に送られる賞です。例年以上にレベルの高い作品の中から、激戦を制して選ばれたpixiv高校生イラコン2021の頂点はこちらです。
審査員による講評

「踊る」というテーマを正面から描きつつ、ネズミのメイドやお屋敷という広げ方が見事です。使っている色が狭いところも印象的です。明るい明度や黄色周辺の色しか使っていませんが、的確に使い分けています。メインのキャラクターは少し赤い一方で、手前の人物は青っぽい色にして、メインの人物より目立たないようにしていますね。
光の当て方も厳選しています。例えば、光を当てる葉っぱを一枚一枚選んでいるのがよくわかります。奥の鏡台も形が出るように光を当てている。いらないところには光を当てず、そこまで描き込んでいません。描き込まなきゃいけないところに光を当てて、逃げずに描いています。

メイキング動画を見させていただいたのですが、自分でパースを引いて、1から描いているのがすごいですね。去年も審査員をやったので見ていたんですけれども、この3年間で良いものをたくさん見て、すごい速さで吸収して進化してます。いいものを見つけてきてレンダリングする能力がすごい。映像に対しての意識が高いようで、レンズやシーンとか光の入り方とか全部計算してコントロールできるようになりましたね。
細部の描き込みが去年とは全然違いますね。鼻や耳の裏のサブサーフェス(※光が半透明な物体の表面を透過し、内部で散乱して外部に放出する様子)な感じなどをよく研究しています。色々な箇所をしっかり説明しようとしているので、見る時間が長い絵になっています。

手足が短く頭身が低いデフォルメキャラクターは、かわいらしいプロポーションや動きのあるポージングがとても難しいです。庄一さんが描くキャラクターたちはどれも「瞬間」を上手に捉えていて、特に難易度が高いであろう後ろ姿(手前左のメイド)が上手く描けているなと思いました。靴の裏と曲げた膝、伸ばした右手に持っているはたきを含めて、シルエットをうまくコントロールしていて視線を流しつつ、手前のキャラクターの臨場感を効果的に描いているのが印象的でした。
可愛さとリアルさはシーソーゲームのようで、リアルに寄せすぎると可愛くなくなることもあります。デフォルメされた低い頭身のキャラクターを描くのは、想像よりもはるかに難しいスキルですが庄一さんはどんぴしゃなバランスをつくり上げてるのがスゴイです。背景に関しても完璧な配色とライティングで圧倒的な技術力・表現力を感じました。

タイトルの「家主の居ぬ間に」を見て、「家主って誰なんだろう……」って探したら、肖像画の猫を発見できて楽しかったです。絵に見とれてしまって、技術力の高さに目がいかないんですよね。「この子たちは普段どういう生活をしているんだろう」とか、絵のなかのストーリーを考えちゃいました。コンテストなのに技術力を評価することよりも、まず楽しむことに心が動かされました。それがまさしくエンターテイメントであり、素晴らしいです。
イラストレーター審査員による受賞作(Amazonギフト券20,000円分)
各イラストレーター審査員がそれぞれの目線で選ぶ優秀作品たちはこちら!
ア・メリカ賞

もの静かな雰囲気で情緒ある物語性があって、とにかく大好きな作品です。見せるところ、そうでないところの描き分けも繊細で上手なんですが「画面の構成力と色選びの感覚」が特に見事でした。物語を表現するために画面をどんな要素で構成するかが、とてもよく設計されているように感じました。まるでノーマン・ロックウェルのようですね。メインに暖色(赤と黄)、アクセントに寒色(青)を使った配色はコントラスト効果で、空間の暖かさや奥行き感を強めていて、色彩をうまく利用して物語を伝えてるのもポイントが高かったです。

配色がめちゃくちゃ上手いです。静止画っぽい感じですが、色の置き方で工夫しているのでセンスがあると思いました。黒を置く場所も上手いですね。画面の目立つところに、この色を置くのは自分はなかなか勇気が出ないので凄いと思います。

色の置き方がリズミカルですね。赤の隣に黒を配置していますが、端に緑を置いて色をぶつけ合っています。色のぶつけ合いで派手さを演出していて、見ていて元気になります。

落ち着いた構図なのに、色の使い方やしっかりとした形の取り方により強いインパクトを与えています。落ち着いた絵柄なのにインパクトがあるという、特異な完成度のイラストですね。描いてあるものに存在感があり、説得力があります。左下に手紙が落ちていて、「この手紙は何なんだろう? たぶんプレゼントに添えられた手紙だろうな……」と、ストーリー性もあり見応えがある絵になっています。
さいとう なおき賞

高校生らしさと踊りを結びつけ、テーマをかなり自分寄りに引きつけることができています。ヤケッパチ感がすごくリアルですね。自分の中にないポジティブなものを無理に描かずに、書類やプリントを電車の中でばらまくという行為により、心の中の叫びを表わしています。
「自分だけじゃなくて、あなたたちもそうでしょ!」という共感を呼ぶ仕組みとして疲れた人たちを描いています。自分と世の中をつなぐ仕組みみたいなのを作るっていうのはすごくて、ちょっと鳥肌が立ちましたね。
誰も踊っていないのに、踊っているように見えるんですよね。後ろに仰け反って「疲れたな」っていう仕草をしているだけなんですけど、この一瞬だけ見ると、踊っているように見える。金曜の夜という時間設定を与えることで、踊りというテーマに変えているところも独創性があります。
周りの人達の仕草もリアルですよね。左下のサラリーマンの足を側面につけている感じとか、靴の硬さがちゃんと出ている。色も実は計算して置かれていて、人物の顔や靴にはちょっと青っぽい色を使っている。アップにしてみるとたくさん色が入ってるんですよね。

キャラクターの陰影の付け方がいいですね。全体的に天井の光源から光が当たっている設計なので、キャラクターの足元に影が普通に落ちてます。でも情報量を持たせるため、真ん中の主役のキャラクターの右側には、あえてキリッとした影を入れてますよね。こういう小さい嘘の演出がイラストに少なからず必要だと思うんですよね。ただ、その嘘に対して鑑賞者に違和感を感じさせないためのコントロールは絶対必要で、その調整が見事に達成できてます。そういう細かい演出と調整を繰り返して、画面を作りこんでるところがいいですね。
米山舞賞

よく観察しています。着物も傘も全部の方向で描けています。踊子草の由来は、この絵の通り、踊り子さんが傘をかぶって踊っているような花だからなんですが、そこから着想を得て絵にするには技術力がないと伝わりません。春の花なんですけれども色も季節を連想できますし、雰囲気もいいですね。踊り子の動きもよく見ていますね。手の返し方とか、とにかくいろんな方向を描いていますし。
「踊り」っていうと、やっぱり躍動感とかに目がいきがちなんですが、しっかり観察することを大事にしているなっていう気がしました。テーマにまとまりがあるし技術力で昇華しています。
花を回したら花びらってこう見えるよねっていうところから人間に置き換えて描いていると思いますが、なかなかここまで描けませんね。

踊り子のパースが本当にすごいです。おそらく今回のなかで一番難しいパース感を再現しているイラストだと思います。直線を使っていないのに広角レンズ風のパースになっています。よく調べているなと思います。指の描き方とかプロでもなかなか描けないレベルです。

奥の女の人の描いていない足まで見えるようですね。こういう風になっているんだなっていうのが見えちゃうから凄いですよね。普通は気づかない。
作風など、これまで評価されてきた作品とは全然違う視点ですが、自分にとって価値のあるものを自信を持って描いていることが伝わってきます。
吉田誠治賞

いろんな要素を複雑に詰め込んで、奥の方には建物までしっかり描いていて、とにかく描き込みがすごいです。 固くならないように微妙にパース感をいじってちょっと歪めていますが、不自然さを感じさせない程度の歪ませ方で画面がすごくダイナミックに見えるようになっています。手前にいろいろ物を配置するやり方も上手いですし、見所がたくさんあって賑やかで楽しいイラストだと思います。
イラストは何らかの感情を伝えるのが大事ですが、この絵は賑やかで楽しいポジティブな感情がよく伝わってきます。細かいところまでブレずに伝えるには高い技術が必要なので、それができているのがすごいなと思いました。いろんな要素があるのに全体として楽しいっていうテンションで統一できているというのは大事ですね。

すごい情報量を一枚にうまくまとめていて、細かいところまでずっと見入ってしまいました。 建物に壁がないのはドールハウス的な事なんですね。だから座っている女の子も人形っぽくデフォルメされてる。本当に見ていて楽しい一枚ですね。
いろんなサイズ感の人形が交じっていて、そのデフォルメをひとつの世界観にまとめているのもポイント高いです。いろんな頭身を描くとまとめるのが難しいんですが、うまくまとめてますよね。とても難しい事を器用にこなしててスゴイです。
企業審査員による受賞作
エレコム賞
エレコム担当者:静と動の対比をさせたことで躍動感ある「踊」を表現できている点のオリジナリティに感動しました。
またトリミングも大胆に行ったこと、動の人たちの顔を伏せた点もすばらしいと思いました。
映画のワンシーンのようなストーリーを感じるイラストでとても素敵です。これからも応援しております、頑張ってください!
【賞品】
・完全ワイヤレスBluetoothヘッドホン
・モバイルバッテリー(10000mAh/USB Power Delivery準拠)
・“off toco”2STYLEカメラバックパック
・超強力クリーニングクロス
Orbital2賞
Orbital2担当者:可愛いキャラクターに、迫力のある動きがとても素敵です。
密度が詰まったイラストながら、フレームの外の広遠な世界を空想させる
巧みなラインとシェイプ使いから、高校生らしからぬ熟達さが伺えます。
イラストとして文句なしの出来栄えですが、
テーマに対する「遊び心」を更に盛り込むと、見る人を引き込む、人を魅了する作品になるかもしれません。
これからも素敵な作品を描き続けて下さい。
【賞品】
Orbital2
KADOKAWA キトラ賞
KADOKAWA キトラ担当者:「偶像」としての少女を球体関節人形で表現し、それを抱く少女の内面を表した姿はややこわばった表情をしていて、そこにアイドルの素を見たようなリアルさを感じました。
「IDOLL」というタイトルも示唆に富み、普段踊っているアイドルの内面を描くというアプローチは、「踊」というお題をユニークにアレンジしていると思います。
メッセージ性が強く、設定が面白いだけでなく、作画技術も申し分なく、見ごたえのある作品に感動しました。
【賞品】
・画集3冊(『VISIONS 2021 ILLUSTRATORS BOOK』(監修:pixiv)/
『KEMONO FABRIC TOKYO モグモ Artworks』/『あいきょう 荻pote作品集』)
・イラスト関連書籍2冊(toshi著『神技作画』/虎硬著『イラストでお金を生み出す秘訣』)
CLIP STUDIO PAINT賞
CLIP STUDIO PAINT担当者:視線が奥へ奥へと吸い込まれていくような構図づくりの巧さが光り、そのまま作者さんの夢の世界に引きずり込まれ、幻想的な夢を追体験させてくれるような1枚です。人間ではありえない視点からみる神秘的な舞台が細密に描かれ、その場の湿度や匂いすら感じられるようで、時間を忘れて見ていられそうです。
【賞品】
CLIP STUDIO PAINT EX 2デバイスプラン 2年版 1本
※Windows / macOS / iPad / iPhone / Galaxy / Android / Chromebook のいずれかから2台の端末を選択してご利用いただけます。
コピック賞
コピック担当者:空、波、街の様子といった背景すべてを見渡したような気持ちになれる構図と、色使いが印象的な作品です。
イメージしたシーンをしっかり表現しようという熱意を感じました。
ひとめ見て3人の女の子のそれぞれの性格がわかるような描き分けもされていて素晴らしいです。
【賞品】
・コピックスケッチ ベーシック72色セット
・コピックスケッチブックL
CHUNITHM賞
CHUNITHM担当者:キャラクター性、アイデア、シーンの3つの観点からイラストを見させていただき、とてもバランスが良いなと感じたため選定させていただきました。
アイデアとして誘蛾灯から落ちる蛾の主観という一般的には負のイメージであるものを
キャラクターデザインとシーン/構図により昇華した部分がとても上手です。
テーマを昇華させるアイデアとそれを支える地力がしっかりしている部分に惹かれます。
テーマからシーンを描き、それを構図へと落とし込む中で絵を支える地力として、人体の描き方や肌の塗り方も破綻がないこと。
蛾という昆虫を女性のキャラクターとして嫌味なく奇麗にデザインしきったところは評価に値します。
絵づくりの部分でも撮影効果が墜落の瞬間を表現するために適度に使われている事や
ティール&オレンジを利用した色彩構成によりキャラクターに視線を集めやすいものになっている所なども良いと思いました。
【賞品】
・CHUNITHM ALL JUSTICE COLLECTION ep. I
・CHUNITHM ALL JUSTICE COLLECTION ep. II
・チュウニズム ビジュアルコレクション
モンスターストライク賞
蛸の巨大さ、手前に伸びている腕、その上を走る人間のスケール感でシーンと空気感までもが見事に表現されています。
手前に伸ばした腕がしっかり導線になり画面中央のタコへ視線が誘導され物語が展開して見えるのはお見事。
踊り食いで本来食べられる側のタコがただの巨大ダコではなく捕食と被食の関係が逆転しているのも面白いです。
【賞品】
「Pioneer ワイヤレスヘッドホン モンスターストライク ガブリエル SE-MS7BT」
ワコム賞
ワコム担当者:とてもストーリー性のある作品だと思いました。
髪の毛の揺れから踊っているような動きを感じつつも、光の加減や絵全体のタッチから時間が止まっているようにも感じます。
キャラクターの表情も魅力的で、この少女に何があったのか前後のストーリーが気になりますね!これからも物語を感じさせる素敵な作品を生み出してほしいです。
【賞品】
Wacom One 液晶ペンタブレット 13
「pixiv高校生イラコン2021」とは
pixivに登録する高校生であれば誰でも参加できる、国内最大規模のデジタルイラストコンテストです。毎年著名なクリエイター、企画趣旨に賛同した協賛企業が審査員に参加し、応募イラストをプロの視点で審査します。受賞者には賞金や各協賛企業からの特別賞品が授与されるほか、ピクシブが主催する企画への参加や、ビジュアル制作などのチャンスが積極的に与えられ、10月30日に授賞式&講評会が行われました。