悩める女オタク界隈に捧ぐ「もちぎBAR」第1夜:リバ問題

文/もちぎ
どうも、あたいもちぎ。
「北半球イチ美しい」と巷では話題のオカマよ。
もうすぐあたいの書くコミックエッセイが全国発売予定なの。すけべな失敗談とかが盛りだくさん。発売日は8月9日よ。日本各地にあたいの痴態をさらけ出す日が刻一刻と迫っているわ……。
さて、そんなあたいに今日届いた相談のお便りは
女性向けオタク界隈では、リバ(受けと攻めと呼ばれる立場が逆転する作品)が嫌厭される傾向にあります。もちぎさんは、これにについてどう思いますか?
ペンネーム・愛があるだけではダメなの(女性・32歳)
まああたい、それなりにリアルの男性経験も豊富だけど、すけべ大魔神だからBL作品もゲイビデオも好きなのよ。ゲイビデオ検定1級も持ってるわ。
で、たしかに好きな男優さんやキャラが、普段やってる方、例えばウケ(挿入される方)じゃなくて、珍しくタチ(挿入する方)とかしてたら「ふふ、頑張っちゃって……。」っていう、まるで保護者のような視点に切り替わっちゃって、純然たるすけべ視点じゃ無くなっちゃうのよね。でもまあ、あたいとしては、それはそれで好きだしいいんだけど。
つまり、基本的には供給側から通常と異なるものが提供されても「ああ、こっちもすんのね」くらいにしか思わなくて特に抵抗とか無いの。緩い固定派というのかしら。わりと気にしたことなかったのよね。
◼️ 自分なりの解釈は、誰かと違う「個人制作の仏」がいるって感覚
だけど言われてみれば、ゲイの世界でも、固定のポジションからリバ(ゲイ業界ではタチウケ両方できるって意味)に変わったり、逆のポジションに転向した男の子に「君の見た目で逆側しちゃヤダ! 夢壊さないで〜」みたいなこと言ってる人たまにいるわ。タチで男らしいオラオラした憧れの人が、受け入れる方になってたら幻滅するみたいなことも聞くし、自分の持ってるイメージと逆のことされるのに忌避感を持ってるんだと思うの。その気持ちも少しわかる。
このイメージや夢って難しい問題よね。それは結局自分の中の判断基準で導いた固定観念でしかないから、それを押し付けたら《相手の意見や意識を尊重できていない》ことに陥ってしまう。
「君はショートカットの方が似合うから、ずっと短く切りなさい」って言ってる人がダメなのはみんなもなんとなく分かるでしょう?
なんの話だっけ。ああ、リバ派の話だったわね。
まあ確かにさ、公式が示したものが恐らく正道なんだと思うよ。なんでもね。
それでもそれに対して何か欲やあるいは要望があったりするだろうし、公式だって一つの解釈にしか過ぎないと判断してる人たちもいるわけじゃない。それにBL作品じゃなければポジションなんて明示されてないから、それこそ大多数の賛同を得た解釈のポジションが正解のように市民権を得てるだけに過ぎないわけでしょう?(BL界隈での市民権ね。そもそも本来の作品がBLじゃなければ、そのメインイメージすらもただの一界隈の人気ってだけで正解とかじゃ無い)
こう考えるとそもそもキャラへの愛や希望があるから、みんなは先のストーリーや「if作品(もしもの話)」を書いたり楽しんだりしてるわけだし、 もうつまりそれ個人で仏像とかを塑像してる感じじゃないの。 みんなそれぞれが仏様(公式のキャラ)を自分たちで解釈して、自分のために降臨させてる勢いよね。みんながキャラに尊いって言うのも頷けるわ。
リバ派はとにかく「わたし的にはこっちに良さがあると思った」って感じて、公式や王道とかからは異なる仏像を作るってことよね。(この感性はどれが優れているとかって話じゃなく《違い》ってだけね)
◼️ オタク界でも、同じ宗派が拝めに来れたらいい
だからその自作の仏像は自分のお寺に設置して、同じ宗派の人だけが拝みに行けるように工夫すればいいんだと思う。そしたら公式や自分と違う解釈してたりしても、「そういう宗派か……」って認識してその寺に自分は近づかない、で終わるしね。ていうかこれはリバ派とか固定派とか逆カプとか他ジャンルとか関係なく、とにかくファン活動全部に当てはまる話かな。
あたいってばスケール広げすぎて、仏界とオタク界の境界線を交えるとこだったわ。失敬〜。
とにかく、リバ派がいても固定派がいても。ただお互いに推しを愛でて崇めてるだけの、信仰方法の違う人ってだけで、あたいは《相互不干渉》でもべつにいいんじゃないとは思うわね。
ゲイバーとかもタイプによって住み分けてたり、推しママのオトコ遍歴に、お客達は解釈や憶測であれこれとみんな言ってたりするわ。一種のアイドルみたいなもんだから。
でも相容れないお客様同士が仲良くなる必要はなく、それぞれが自分の距離感でママに接してるし、それが一番平和でみんなハッピーなんだと思う。
ちなみにあたいは万年いじられキャラのドMオカマ固定で満場一致だった。それはそれで悲しいから、解釈の余地があるのも《ネジの遊び》のようなものでいいと思うの。うん。
そんだけ〜。リバ問題はとにかく趣味の違いってだけで、解釈主の寛容さとかすけべさとかの大きさってわけじゃないし、正解があってもなくても解釈は人それぞれ。のんびり自分の好きなものを好きなように楽しんでね〜。

- もちぎ
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18歳で不本意なゲイバレをきっかけに母親と決別し、上京。東京・新宿二丁目でゲイ風俗デビューを果たし、その後もゲイバー、ゲイビデオ…さまざまなゲイ業界を練り歩いてきた。
自身の経験をもとにエッセイ・コミックを発表し、人気を博している。Twitterフォロワー数40万人以上。2019年8月9日に初の著書『ゲイ風俗のもちぎさん セクシュアリティは人生だ。』を刊行。
■ 書籍情報
『ゲイ風俗のもちぎさん セクシュアリティは人生だ。 』