イラストリテラシー出張編 三輪士郎さんのライブドローイングに寺島拓篤さんが登場! in ジャンフェスレポート

イベント取材・写真/三浦一紀
後日取材・編集/佐久間仁美

2017年12月16(土)、17日(日)に幕張メッセで開催された「ジャンプフェスタ2018(以後ジャンフェス)」。そこで、ウルトラジャンプで連載中の人気マンガ『DOGS/BULLETS&CARNAGE(以後DOGS)』の作者・三輪士郎さんがライブドローイングを行いました。
三輪さんといえば、pixivisionでも連載されていた「寺島拓篤のイラストリテラシー(以後イラストリテラシー)」で講師役としても登場していましたね。

今回のライブドローイングでは、「イラストリテラシー」にて三輪さんの教え子(?)である声優の寺島拓篤さんもゲストとして登壇。ジャンフェス会場でいったいどんな絵を描かれたのか、レポートしたいと思います!
三輪さんの愛弟子・寺島さんのサプライズ!
寺島さんは、司会のお姉さんと共にライブドローイング中の三輪さんの実況をするという役割。「イラストリテラシー」で培われた、デジタルイラストの豊富な知識を活かしたトークで会場を盛り上げていました。

まず、ドローイングの前に紹介されたのが、寺島さんご自身が「イラストリテラシー」を通じて三輪さんに習って描いてきた絵の数々。右のイラストはpixivのアカウント作成時に描いた自画像です。こちらは、写真を取り込んでトレースして描いたんだそう。そして、この日のために、サプライズで描いてきたという寺島さんのイラストがこちら!

寺島:「三輪先生と一緒にやらせていただいている中で作ったオリジナルキャラクターの女の子と、DOGSに登場する直刀とのコラボレーションイラストにしました。DOGSのコミックスの表紙をイメージして、パースを効かせて。色は2色使いました。」

2〜3日の間に空き時間を使って描き上げたというイラストは、なかなか迫力のある仕上がりに。
三輪さんによれば「寺島さんはめっちゃ飲み込みが早いんですよ。元々、結構描けるタイプだったんですけど、1回教えたことをちゃんとマスターするので、上達が速いですね」と、寺島さんのイラストの習得能力を高く評価していました。
ライブドローイングはiPad Pro+Procreateで
さて、いよいよライブドローイングがスタート。使用機材はiPad Proと『Procreate』というドローイングアプリです。三輪さん曰く「デフォルトでもブラシの数が豊富」とのこと。仕事でも使えるレベルのアプリです。

まずは太めのブラシでアタリを取っていきます。普通ならば細い線で下書きなどをしていきますが、三輪さんは太い線で描いています。
寺島:「三輪先生のすごいところは、白黒のアタリをつけているときから奥行きがあるんです。先に影を作るというか。僕をはじめ、多くの方は実線を描き上げてから影を付けるんですが、最初から影が付いているんですよね」
と、寺島さんはさっそく三輪さんの描き方の魅力について言及。会場からも「たしかに」という声が上がります。どうやら、DOGSの主人公4人の顔を描くようです。開始5分が経過した時点でアタリは終わり、輪郭を描く段階に入りました。

ここで、デジタルでイラストを描く利点についておふたりがトーク。デジタルでは直線を描くのが楽だということ。
寺島:「Procreateには補正機能があって、適当に線を引くと、自動的に直線にしてくれるんです。そのほか、カーブの線なども補正する機能があります」
定規を使わなくても直線が引けるというのは、とてもありがたい機能ですね。
開始15分で線画が終了

ちなみに三輪さんが絵を描き始めたのは小学生の頃で、絵を描く仕事をしたいと意識したのは中学生の頃なんだとか。
三輪:「現在の絵柄に落ち着いたのは、高校卒業から20歳くらいだったと思います。それまでは藤子不二雄先生が大好きで、影響を受けましたね」
しかも、学校などで絵を習ったことはなく、ほとんど独学とのこと。いろいろなマンガの絵柄を模写することで、絵を学んでいったそうです。

寺島:「三輪先生のすごいところは、気が付くといつも絵を描いているんですよ。『好きこそものの上手なれ』という感じですね。好きなことだから努力が苦しくなくて、それがいい方向に向かっていったのかなと、三輪先生を見ていて思いますね。」

開始15分後には線画は終了。トークをしながらでもこのスピードとは、恐れ入ります。
開始20分でイラスト完成! 制作工程がわかる動画もお届け

ここからは色づけ作業がスタートします。まずキャラクターを範囲選択をしてマスク。そしてレイヤーを新規作成して、背景をバケツツールで塗りつぶします。
会場では寺島さんによって、レイヤーの透明度を下げるバーについてなど、テクニックの解説が続きます。絶妙なタイミングで三輪さんの所作を説明することで、メイキング動画にありがちな「今の動作は何してたんだろう……?」という疑問も解消。普段絵を描かない人も、大いに楽しんでいる様子でした。


ちなみに、この日のイラストのレイヤーは5枚とのこと。仕事ではもっとレイヤーを使うそうですが、ライブドローイングということで少なめです。

そろそろフィニッシュ。最後はブラシツールを使い煙を書き込みなどを行い、サインを入れて完成です! およそ20分のライブドローイングでしたが、ここまで描けるというのはさすがプロの所業ですね。
寺島:「最後の煙とか、目にハイライトが入っていたりとか、ちょっとした一手間がたまらないです!」
ということで、ライブドローイングは無事に終了! 大勢の観客が見守る中、素晴らしいイラストを描かれた三輪さん、お疲れ様でした。

Procreateの録画機能を使って録画されたドローイングの動画はこちら!
▲こちらの映像は、三輪さんのTwitterにもアップされていますので、こちらも合わせてチェックしてみてくださいね!
後日、おふたりにイベントの感想をお聞きしました!
漫画と全く違うドローイングは「お祭り芸」
── イベントはいかがでしたか?
三輪:「絵を描くのに集中すると黙ってしまうので、寺島さんの実況があってすごくやりやすかったです。僕がどんな動作をしているのかを把握して説明してくれました。」
寺島:「そのために呼ばれているので!(笑)」
── 4人を20分で描くのは大変だったのではないでしょうか?
三輪:「それほどでもないですよ。時間制限がある場合は、絵描き仕事で慣れているのと、実は必殺技のような構図があるので。ひとりのキャラクターの全身を描くと、ポーズで悩んでしまうんですね。顔を並べた方が悩まないんです。」
── なるほど……! ライブ中に、こだわったポイントを教えてください。
三輪:「黙々と描いている状態でも、見ている人が飽きないように見せたところですね。絵そのものよりも、手順を見せるようにしました。普段は絵を描かないギャラリーの人でも、なんとなくニュアンスが伝わるように注意しましたね。」
── 確かに、黙々と描き込むのではなく、全体の印象がガラッと変わるダイナミックな動きが多かった気がします。
三輪:「会場の反応が良く、(ブースを担当していた)ウルトラジャンプの編集部が、またやりたいって言ってました(笑)。というのも、漫画の原稿を描くのとライブドローイングは全く別物なので、ジャンフェスなどのイベントでやる人は珍しいのかもしれませんね。どちらかというとドローイングは『お祭り芸』に近いかな。」
iPadで絵を描くようになってから、ライブドローイングの依頼も増えて人前で描くことに抵抗はなくった、と語る三輪さん。実はpixiv Zingaroで開催された「三輪士郎作品展」でも、会場のホワイトボードにおもむろに絵を描き出し、突然始まったライブドローイングにスタッフもお客さんもびっくりしたんだとか。
▲三輪士郎作品展の看板用に描き下ろしたイラスト。
── 会場で一気に描きあがる様子が、寺島さんの解説によって深く楽しめた気がします! ちなみに寺島さんは、先生が20分で描くって知っていたんですか?
寺島:「いえ、何を描くのかはわからない状態でしたが、見たまま喋ろうと思って。僕もある意味、ライブ感で臨みましたね(笑)。事前に洗い出したのは、三輪先生の絵の魅力とか、自分なりに思ってるいいところとかすごいところですね。ライブで描いている時にも絶対出てくると思ったので『たくさん会場にいらっしゃっている三輪先生のファンと一緒に、共感できたらいいな』と思って話しました。三輪さんが描いているのはここだよ、っていう言葉にできない思いを、みなさんに言葉で伝えようと思いました。」
三輪:「ご理解が深くてありがたいです……。」
── 次回ライブドローイングをやるとしたら、どんな風にしたいとかありますか?
三輪:「今度は20分以上欲しいですね。」
寺島:「やっぱり単独イベントですね(笑)!」
── イベント中、DOGSの再開について言及されていましたが、詳細を教えてください。

三輪:「年明け、なるべく早い段階で再開したいなと思っております。(DOGSの本編は)終盤の締めに差し掛かるところだったんですが『RWBY』の連載で一時止まってしまって。これから読む人に向けて再導入部を入れて、ラストに向かって行こうと思います。」
── さぁ伏線回収、というクライマックス直前で見所が溢れるDOGSの続きが気になりますね! それでは最後に、pixivユーザーに向けてコメントをお願いします。
寺島:「声優なので絵描きの立場で話すのは難しいんですけども……。絵を描く楽しさはわかってるつもりでしたが、三輪さんから絵を描くのをもっと楽しくする方法や『気持ち』みたいなものを学ばせてもらって、さらには近くでその仕事ぶりを見させてもらってこれからももっともっと楽しく、うまく絵が描けたらいいなと思っております。みなさんも見る方としても描く方としても、絵が好きな人として仲良くお付き合いいただければと思うので、pixivをこれからもたくさん見てください!」
三輪:「僕は独学だったので、人に教えるってことをなかなかしてきませんでした。今回の企画(=イラストリテラシー)を通じておしゃべりしながら、エンタメというか芸事に近い意識で、相手を楽しませながら一緒に描くのを楽しんでいこうよ、という姿勢になれたのは収穫だったなと思います。」
── ありがとうございました!
三輪先生の『DOGS/BULLETS&CARNAGE』の連載再開が待ち遠しいですね! では「イラストリテラシー 出張編」はこの辺で。寺島さんが、次にどんなイラストに挑戦するのかをお楽しみに。