「自分が考えた最強の百合」を発表する場。「第4回百合文芸小説コンテスト」は選考会まで熱かった!

構成/原田イチボ@HEW
大賞作は、坂崎かおる『嘘つき姫』
5月20日、百合を愛する者たちが都内某所に集まりました。彼らは「第4回百合文芸小説コンテスト」の選考委員。今回から新たに河出書房新社がメンバーに加わりました。まずは自己紹介です。
内藤望(以下、内藤:):一迅社の『コミック百合姫』編集部で、『私の推しは悪役令嬢。』(漫画:青乃下/原作:いのり。)『踊り場にスカートが鳴る』(うたたね游)などを担当している内藤望です。私自身は2回目から本格的に選考に参加させていただいております。第3回の百合姫賞作品『夏とレモンとオーバーレイ』のコミカライズも担当しております。
溝口力丸(以下、溝口:):早川書房のサイエンス・フィクション専門誌『SFマガジン』編集部の溝口力丸です。『SFマガジン』2019年2月号で「百合特集」を組んだことをきっかけに「第2回百合文芸小説コンテスト」から選考委員を務めています。百合ものの担当書籍としては百合SFアンソロジー『アステリズムに花束を』、『裏世界ピクニック』(宮澤伊織)や『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』(小川一水)などがあります。
石川詩悠(以下、石川:):はじめて参加させていただく、河出書房新社編集部の石川詩悠です。「第1回百合文芸小説コンテスト」で話題になった「ソ連百合」こと『月と怪物』作者の南木義隆さんの初単行本『蝶と帝国』を担当しています。今回は「帝政ロシア百合」で、7月20日頃の発売予定です。
石川:&内藤:異論なしです。
コミック百合姫賞は、4kaえんぴつ『人権意識が高い勇者』
大賞作が決まり、ここからは各章の選考です。まずはコミック百合姫賞(賞金10万円。コミック百合姫にてコミカライズ検討)です。
SFマガジン賞は、カスガ『汝ら、すべてのゾンビたちよ』
次にSFマガジン賞(賞金5万円。SFマガジンに掲載)です。
溝口:たしかに。筒井康隆ファンに目配せした「酒でいっぱいの海」という最後のフレーズも素敵です。ただ、宇宙酒造というそれだけでSF小説が1本書ける題材に百合も加えるとなると、3万2000字では足りません。短編にするなら引き算が必要だし、もしこのままの設定で行くなら、長編や連作短編として発表したほうがいいのではないでしょうか。
河出書房新社賞は、ねぎしそ『あの日、私たちはバスに乗った』
そして、河出書房新社賞です。
書泉百合部賞は、あきやしろ『マドレーヌ、あるいは夏の終わり』
「死体埋め」が多かった?今回の総評は
受賞作が決まった後も、しばらく選考会は続きます。「第4回百合文芸小説コンテスト」では、ひとつの印象として「死体を埋める作品が多かった」という声が上がりました。
今回もたくさんのご応募、ありがとうございました!
「百合文芸小説コンテストセレクション4」発行
受賞作は今後、各雑誌へのイラスト付き掲載やアンソロジーへの収録等を予定しています。


なぜこの場所にいるのか、なぜこの二人は一緒にいるのか、可能性は無限大ですので、ぜひ想像して楽しんでいただけましたら幸いです。
2022年夏頃発行予定の「百合文芸小説コンテストセレクション4」をお楽しみに!