【ラブホ”腐”女子会のススメ。】鶴ゆみか先生インタビュー【講談社まんがスカウトFes特集#1】

毎年恒例、講談社とpixivの漫画の祭典「講談社まんがスカウトFes」の第4回が今年も2月1日より開催中!
その開催を記念して、講談社で連載中の漫画家さん × pixivによるインタビューを全4回にわたってお届けします♪
第1回のゲストは、ヤングマガジン サードにて『もはや私は貴腐人です』を連載中の鶴ゆみか先生です! pixivに投稿した漫画がきっかけで現在の連載に至ったという鶴先生に、連載までの道のりとスカウトFesについて伺いました。
第1回のゲストは、ヤングマガジン サードにて『もはや私は貴腐人です』を連載中の鶴ゆみか先生です! pixivに投稿した漫画がきっかけで現在の連載に至ったという鶴先生に、連載までの道のりとスカウトFesについて伺いました。
息抜きのはずが連載作品に!
――もともとpixivは利用されていたんですか?
その頃やっていた連載の合間に息抜きで、好きなアイドルのライブレポート漫画を描いてアップしていました。周りの友達に見せるくらいの感じで。
で、ある時、BL好きが何人か集まって開いた「ラブホ女子会」が楽しかったのでレポ漫画をあげてみたら、すごい数のお気に入り登録やリツイートをいただきまして。
暇つぶしに描いたものだったので、閲覧数が上がってとても驚きました。
そうしたら今の担当さんから「見たよ!」と久々に連絡が来て、「このマンガをそのままヤンマガサードに載せてみませんか?」と声をかけてもらいました。
――連載になるというのは予期していなかったでしょうか?
全然してませんでした!
何万もリツイートされるなんて、有名な作家さんだけの別世界の話だと思っていました。
友達とかがしてくれたとしても、まあ多くて100リツイートくらいかな、と。
――やはり『もはや私は貴腐人です』の原型となっただけあって、「ラブホ女子会」は力を入れて描き上げたのでしょうか?
いえ、それまで息抜きで描いていたのと同じノリです!
紙にミリペンで描いたのをそのままスキャンしてアップする、という簡単な描き方でしたし、
いつも通りの趣味でやってるような感じでした。
登場人物にしても、一緒に女子会をした友達のキャラクターを誇張して描いただけです。
だから、そのまま連載になるなんて驚きでした。「えっこのままでは無理でしょ、いいのかなあ」って。

pixivなら、必ず誰かが見てくれている
――pixivスカウトFesのシステムは、鶴さんからご覧になっていかがでしょうか?
テーマを選んでタグ付けするだけでOK、という仕組みはすごくいいと思います! 地方に住んでいる方も応募できますし。
pixivにアップするだけで応募できるというところも「気持ち」のハードルが低くなるのでいいですね。完成度が低いって意味じゃなく。
―― 一般的な、編集部に電話で連絡して持ち込むというのは、持ち込む側の人の気持ちを想像すると大変だろうなと思います…。
そうですね…。戦々恐々とします…! そのスタートの段階ではじかれてる人も多いと思います。「で、できない…」って。
今は賞へのデジタル投稿などもありますけれども、それよりpixivの方がやりやすそうな気がします。
全体に公開されているわけだから一般の人も閲覧できるわけですよね。なら、いろんな人が見てくれる。
普通の賞への投稿だと、ある程度以上の賞をとらないと一般の人は見れないですし。
多くの人に見てもらえれば、出版社の人にはひっかからなくても誰か評価してくれる人がいるかもしれません。それだけでも大きなモチベーションになると思います!
――確かに以前のスカウトFes応募作を見ると、受賞には至らなかったけれど一般の方からの閲覧数・評価数が一気に伸びた、という例は多くありました。
やっぱり誰かに評価してもらえる、誰かが見てくれてる、っていうのはすごく大きいんですよね。
pixivの自分のページTOPにはうさぎのアイコンがあって、「○○さんがフォローしました」「評価がつきました」などの通知があると耳がピンと立つんです。だけど誰にも評価されてない時は耳が寝てる(笑)。
私はその立った耳を見るとすごくテンションが上がりますっ!! 私にとってうさぎの耳のモチベーションは半端ないです!

▲ピンと立ったウサギの耳(「ポップボード」機能への通知)。
家のノリを出せたら最強

――pixivではなく、担当編集と連載の打ち合わせをして…といった普通のやり方だったら、『もはや私は貴腐人です』は生まれていたでしょうか?
絶対作れなかったでしょうね。腐女子の部分は一生隠していくつもりでしたから(笑)。いつかBLを描いてみたいなという思いはあっても、ヤンマガなどの場所ではBLについて口に出すこともできないと思っていたので…。
やっぱりレポ漫画はあくまで、仲間内の趣味のものだったんです。
――ある意味、自然体の作品だったということでしょうか。
1週間悩みに悩んで細かいところにまで気を使ったネームが即ボツになって、そのあとパッと描いたものを編集さんに見せたら「これ面白いじゃん!」となることってよくあると思うんです。「今まで力入れて描いてたのは何だったんだ!?」みたいな。
私自身もそうでしたけれど、pixivっていう場所では思いのままに好きなことをかけるんじゃないでしょうか。
――なるほど! 狙っては出せない良さ、力んじゃうと出せない良さ。そういうものが出せるということでしょうか。
普通に連載を目指すときだと、「主人公は誰からも好かれるこういうタイプでー」「起承転結はああしてこうしてー」とか、「パンチラが最初の2ページのうちにあってー」とかいろいろ考えちゃうんです(笑)。
――ご自身の実体験も交え、意義深いお話をたくさん伺えました。では最後に、これからスカウトFesに応募される方へアドバイスをお願いします!
アドバイスですか……うーん、そうですね……(しばらく沈黙)……
すみません、いま肩肘張って、なんか良いこと言おうとしちゃったんですけど(笑)、
そういうふうに力が入っちゃったり、「雑誌に合わせて」とか、「こういう人を対象にしてるから」とか、変に意識しすぎたりして、自分に合わない描き方になっちゃうことっていっぱいあると思うんです。
でもあまり難しく考えず、「このテーマだったら、俺こんなのやっちゃおうかなー」みたいに、
『家のノリの最強のヤツ』が出せたらいいんじゃないでしょうか。
――鶴ゆみか先生、ありがとうございました!
ラブホ”腐”女子会のススメ。