【ジーンピクシブ】武器・世界観をつくる〜「煉獄のトリスアギオン」瑞智士記流〜

バトル漫画には欠かせないのが武器やカッコいい世界観!
しかし描くのも作るのも難しい、しかもオリジナルのものだとなおさら…
そこで、ジーンピクシブで好評連載中の『煉獄のトリスアギオン(原作:瑞智士記、漫画:しばの番茶)』の原作を担当している瑞智士記先生に、武器や世界観の作り方をお伺いしました!

古より、歴史の裏で続いてきた人類と天使“虚骸(ニヒル)”との闘い。
家族を失ったレヴィは、発明王にして大魔術師のエジソンに弟子入りし、
虚骸と戦う魔装機師(アルチザン)になることを決意する。それから5年——。
16歳になったレヴィは、退魔機関トリスアギオンのある英国・倫敦(ロンドン)の地を目指す。
19世紀末のイギリスを舞台に、虚実のキャラクターたちが活躍する次世代ダークファンタジー!!
○作家さんからご挨拶
○武器をつくる
まずは「製作者がトーマス・エジソンである」という地点から出発しました。
エジソンといえば、何といっても発明王。そんな彼が開発したのですから、武器としてカッコいいのはもちろんのこと、機械装置としての重厚感や、工芸品としての美しさも追求できればいいな、と思いました。余談ですが、銃器や機械式時計のムーブメント、車のエンジンが好きなので、原作者の趣味も少なからず反映されています。

また、主人公レヴィの「魔装機剣ディエス・イレ」には変形機構が組み込まれているのですが、それは変形シーンを見せることで、上記の要素を効果的に表現することができるのではないか、と考えたからです。ある意味、ロボット・アニメにおける主役機のような存在ですね。
そうした設定をしばの番茶先生にお渡ししたところ、私のイメージを凌駕するデザインをご提案いただきました。ラフを初めて拝見したときは、猛烈にテンションが上がりました。
○世界観をつくる
『名探偵ホームズ』シリーズや森薫先生の『エマ』、大友克洋監督の『スチームボーイ』……等々、自分が大好きな作品の影響もあって、ヴィクトリア朝時代の大英帝国には思い入れがありました。いつかは自分も、この舞台設定で新作を発表できたら……という思いは、常に抱いていました。もっとも、真面目に調べれば調べるほど、実際の大英帝国は、「綺麗」よりも「汚い」のほうが多いくらいで……ある意味、幻想を打ち砕かれましたが、良い勉強になりました。ちなみに、当時のロンドン市街を撮影した写真で、路上に見える黒点は、高確率で馬糞だということです(苦笑)。
世界観を作る上で、いちばんの牽引役となってくれたのは、またしても発明王(にして大魔術師)エジソンでした。
「魔物が人類を脅かしている19世紀末」→「討伐するためには、北米に拠点を置くエジソンが開発した武器が必要」→「悲惨な過去を持つ主人公は、力を求めて北米に渡り、エジソンの弟子となる」→「修行を終えた主人公は、師匠から賜った武器を手に戦う」→「主人公が所属する退魔機関のエリート達は皆、エジソン製の武器を装備している」……といった感じで、『煉獄のトリスアギオン』の世界はエジソンから誕生したといっても過言ではありません。


〇“名称”をつくる
『煉獄のトリスアギオン』に限らず、私の作品に登場する専門用語の多くは、神話や伝説、古典作品、哲学書……などを参考にしています。自分でオリジナルの固有名詞を作ってしまうのも有りですが、一歩間違えると、すぐに忘れ去られてしまう結果になりかねません。偉大な先人たちが創造した固有名詞は、時間による濾過を経ただけあって、独特の重みがあるのです。物語を作る上では、事前に多くの資料を集めることで、自分なりの「索引」を構築しておくのがオススメです。
例えば「魔装機剣ディエス・イレ」の場合、聖歌の『Dies Irae』が元ネタで、「審判の日」あるいは「怒りの日」を意味するラテン語です。これは武器名であると同時に、レヴィの必殺技名でもあります。両親を虚骸に殺されたレヴィが、自らの手で審判を下す……といった意味がこめられていますが、決して「天誅!」と叫びながら攻撃するようなイメージではなく、実は悲愴感とでも呼ぶべき感情を胸裏に秘めています。

○最後に


○編集さんから
瑞智先生の方から今後の見どころまで宣伝して頂いてしまったのですが^^;
『煉獄のトリスアギオン』(通称『煉トリ』)は、瑞智士記先生としばの番茶先生のお二人によって、とてもワクワクする作品になっております!! キャラクターも意外な人物がモチーフになっていたり、19世紀末のイギリス・ヴィクトリア朝をベースにしつつ、+αのダークファンタジー要素が融合しているので、色々調べてみて頂くのも面白いかもです。
今後は主人公のライバルキャラなども登場しますし、熱い展開も待っているはず…!ですので、どうぞお楽しみに!!6/27発売のコミックス1巻も、どうぞよろしくお願いします!