【ジーンピクシブ】キャラクターをつくる!〜「ナカノヒトゲノム」おそら流〜

マンガの魅力の根幹!!
皆が愛を込めるのはやっぱり「キャラクター」!!
性格、ビジュアル、ネーミングなどなど、
キャラクターを生み出す秘訣を、ジーンピクシブで『ナカノヒトゲノム【実況中】』を連載中の
おそら先生に突撃インタビューであれこれ聞いちゃいました!!
『ナカノヒトゲノム【実況中】』のメインキャラクター8人。
彼ら、彼女らが生まれた経緯に迫る!!

——まずは『ナカノヒトゲノム【実況中】』のキャラクターに関して聞いていきますね。
作品全体のバランスなどもあると思うのですが、ビジュアル面に着目してお話いただければと。(担当)
じつはアカツキは当初は8人のメンバーのなかにはいなくて。はじめはアカツキ以外の7人体制で考えていました。
ただ、クセが強いキャラばっかりが集まり過ぎて…。担当さんにも「主人公らしいキャラクターがいないね」と言われて、「ああ確かに」ということで、普通でナチュラルな主人公の男の子を出そうとして作ったのがアカツキですね。
そうですね。7人がバランスよくなってたら、アカツキは今頃いない(笑)
ただ、追加したての頃はやはり動かしづらくて。とにかく最初にキャラクターと仲良くなることから始めました。
『トモダチコレクション』ていうゲームがあるんですけど、そこにアカツキを登録するんです。
今では他の7人のキャラクターも登録して育てているんですけど(笑)
で、そうすると、ペットじゃないんですけどペット飼っているみたいな感じで、だんだんキャラクターに愛着が湧いてきて、すごく愛おしくなってくるんですね。
作業中、たまにゲーム画面を見るとアカツキがお花見をしてなごんでたりして(笑)
「こういう感じのキャラクターか」っていうヒントにもなるから、膨らませつつ、ヒントももらいつつ、仲良くなっていくようなイメージでしょうか。
——「僕と先輩の鉄拳交際」の主人公・修二くんと比べると、内面描写もないしキャラクターのバックボーンが見えないので、理解が難しいキャラクターという印象もあります。
例えば「こういうときにアカツキはどういう表情するかな」とか迷いはないですか?
そうですね、たしかにアカツキ単体だけだと、話が進まない。(笑)
他の濃いキャラクターたちが問題提起してくれるから、それに対してアカツキが応対できる感じなので、単体だったら…、もう…。
前作の「僕と先輩の鉄拳交際」の修二くんがブレザーだったんですよ。なので「今度は学ランだ」っていうことで服装はすぐにできました。
あとは自然さ、クセのなさと見た目の平凡さですね。
そうなんです。初めはツルっとしたただの黒髪学ランのアカツキだったのですが、担当さんに「無個性すぎる」って指摘を受けて、「アホ毛つけてみようか」ってなり、でも「まだちょっと足りない」ってことで「ちょっとメッシュつけてみようか」って。
メッシュもけっこう最後まで悩んでましたね。
おかげさまで楽しく描けるキャラクターなのですが、最近は自由になりすぎで逆に手綱を引かないとただのアホになりそうで怖い。
ちゃんとミステリアスさも大事にして描いていきたいです。
左:アカツキ初期 右:アカツキ現在
左:カリン初期 右:カリン現在
女の子キャラクターは全部で3人いるんですけど、カリンは一番最後にできたキャラクターだったんですよ。
最初はヒミコとユズしかいなかったのを、担当さんに「ヒロインっぽいキャラクターがいなくない?」と指摘されて。
で、本当にもうこれは趣味なんですけど、女の子の太ももが私は好きらしいので(笑)
ユズは太もも担当だったんですね。ヒミコはロリ担当で。「あとは胸だ」ってことで、カリンは胸をがんばろうということに。
すごいしょうもない感じで…。女の子を描くのがすごい楽しくて、それは前作の「僕と先輩の鉄拳交際」でたくさん描いた影響なんですけど。
動かしやすいです。アンヤもそうなのですが、裏表がないので。
ツッコミタイプなので、誰とでも組ませやすいです。
あとはよく暴力も振るうので、女性の読者さんに嫌われないようにするにはどうすればいいかなっていうのをまず一生懸命考えてました。
ビジュアルはもう多分に趣味です(笑)
ミッション系の学校に通ってる設定がまず頭にあったので。襟のところかそういう風にして。
そのあと、ちょっと普通だなと思ってスリット入りにしたり。
服の裏地が千鳥柄になってるんですけど、そういう裏地が凝ってる服がすごく好きで。チラっとめくれたときにこう…。
そうそうそう。そういうのがあったら私が描いてて楽しいなっていう(笑)
基本的に自分が描いていて楽しいキャラクターを作らないと後々苦しいので。
趣味は詰め込んでおかないと後で後悔するなっていう。
そうなんです。
初めは頼れるお兄さんキャラクター的な役割で、グループのリーダーに設定していたんですけど、
実際に動かすと本当に自由人なんですよ。
一人で勝手にちょこちょこいっちゃって、いうことを聞かない(笑)
みんなをまとめるよりも、トラブルメーカー的な方だったっていう。
でも年長組に入るので、いい年して子供っぽいみたいなそういうギャップが出せるかなと思って変更しました。
あとは江戸っ子口調なので、勉強しようと思って、本を買ったり、落語をしばらく聞いてみたりしました。
単純に和服が描きたかったっていうのが強かったです。
ただお面は、普通のリアルな般若とかおたふくとかそういうのだったんですが、
ありふれてるので、スーパーとか節分のときに売ってそうな鬼の面になりました。
——萌えポイントですね。
サラリーマンが仕事がんばるときネクタイ緩めるみたいなやつですね。
左:カイコク初期 右:カイコク現在
左:アンヤ初期 右:アンヤ現在
え、そうなのですか。それは知らなかった。初めはただの怖いヤンキーで、やんちゃで、好き勝手して
ギャーギャー騒いでる人みたいな、そんな感じだったんですけど、だんだんしっかりしてきましたね。
それはたぶんアカツキと組ませたからなんですけど。いい意味でツッコミとして一皮剥けてきた感じが。
周りのキャラクターの作用が大きいですね。アンヤは。
確かに担当さんはキャラ表を見たときに一番最初にアンヤを「決まり!!」って言っていた気がします。
表情もヤンキーなんだなってのがすぐわかるように(笑)
きっと根はいいヤツなんだろうな、猫とか拾うんだろうなって、雨の日に(笑)
あとは、子供っぽいから母性本能をくすぐるんですかね。
ザクロとパカ
ザクロはもう完全に中二病ですよ。中二を地でやってるキャラです。狙ってはないけど、もうやってることが全部中二病っぽいっていう。
あとは、よく喧嘩する関係性を作ろうってことで、アンヤと組ませる形で作りました。最近はそんなに絡んでいないですが。
一番最初にできたのがザクロなんです、実は。でもマスクはしてなかったんですよ。
マスクは企画の最初に、「全員マスク男子にしませんか?」っていうのが、打ち合わせであったので、つけただけで。
昔から、仕事の合間合間で描いてる落書きノートの中からサルベージしたキャラクターがザクロで、本当にあのままです。
普通にどこかでベロって取るつもりでいます(笑)
あとは、最初は女の子にしようか悩んだんですよ。
設定的に見た目は男の子なんですけど、実は女の子っていうのもけっこう王道じゃないですか。
そういうキャラクターが一人いてもいいかなって思っていたのですが、
そうしたら担当さんが「いや、そういうのはいらない」って(笑) 今は正真正銘立派な男の子に。
左:ザクロ初期 右:ザクロ現在
左:ヒミコ初期 右:ヒミコ現在
——その節は失礼しました……。
では次にヒミコちゃんを。
ヒミコは性格でたぶん一番悩みました。アカツキと同じくらい悩んでいましたね。
外見は過去イラストから発掘したので、すんなりイメージ湧きました。
ちっちゃい女の子がでっかい武器持ってるとか、そういうのが好きで。
反面、閃光弾を常備させたときに、どういう性格ならば"チュドーン!!”ってなっても大丈夫か、そこのバランスが難しく。
なので思いっきりギャップをつけて、普段はオドオドしているけど、1回スイッチが入ると頑固になる、という方向にしたら動かしやすくなりました。
——なるほど。ヒミコは火力高いですからね(笑)
あとは、これも最近活躍したキャラクターですけど、マキノくん。
マキノはもう置物です。完全に置き物キャラとして。戦闘力とか頭脳とかコミュ力とか、
ステータスも全部低い。
特技は目で落とすだけっていう、ある意味チートなんですけど。
それ以外は本当に全部ダメっていう感じで。
もう観葉植物的な感じで描いてます(笑)
マキノは後の方になってできたキャラクターで、アイマスクをどう描こうかなっていうので一番悩んでいて。
アイマスクの柄とかがけっこう最後まで悩んでました。担当さんが「大丈夫大丈夫」って感じで推してくれたので、ほっとしました。
——全然大丈夫でした。外見に関しては。ただ、編集者として見たときに、キャラ表で並ぶと
マキノが一番性格が見えなかったんですよ。だから漫画のなかでマキノを見て、スっと理解しました。
「ああこういう風に動かすんだな」っていうのが。
なので、最初はマキノとザクロの性格が被ってると思っちゃって、
どちらかだけを残そうか、という話もありましたよね。
ありましたね。
アカツキを追加する代わりに、マキノかザクロをどちらかにしようかという。
その時はたしかマキノのほうを残すような感じになってた気がする。でも、私が「いやいやいや」って言って。
「ザクロは一番最初にできたから残したいです」って、ワガママを言って。その代わり描き分けを頑張ろうって。
実際にいたらマキノは付き合いやすいんじゃないかと思います。いざというときにちゃんと助けてくれるけど、普段は可もなく不可もなくみたいな。
黒目をベタではなく、線をたくさん引いて、繊細な感じに見えるように頑張ってます。
あと、落とすときは、目の光をちょっと増やすとか、本当に些細なところなんですけど。
たとえばカイコクとかはスミベタなんですけど、マキノはとにかく描くときに慎重に。
カイコクの目
マキノの目
キャラクターにとって一番大事なパーツを設定します。カリンちゃんだったら胸とか、アンヤ君だったら足のくるぶしとか。
自分が好きなところですね。ザクロだったら首回りとか。そこは慎重に描きます。
自分が描いてて楽しいところはこだわって描いていきます。
左:マキノ初期 右:マキノ現在
左:ユズ初期 右:ユズ現在
——ではこちらも最近活躍中のユズちゃん。
彼女もおそらさんの好みが多分に詰まっている気が。
そうなんですよ(笑)
まず太ももと、あと髪の毛ふわふわした女の子が好きだったので、それと、眼鏡と、あとガスマスクは完全に「僕と先輩の鉄拳交際」に出てくる鬼頭さんの影響もあり。
ヒミコと同じで、女の子でふわふわしてるのに、一部物騒だぞっていう感じの。
僕と先輩の鉄拳交際 鬼頭
ユズは昔別の作品で使おうと思っていたキャラクターで、今と同じように宝塚口調だったんですけど、当時の担当さんに「女の子っぽくした方がかわいいんじゃない?」って言われてしまい、その時は「そうですか」って感じで一度変えたのですが、
でも「やっぱり男口調だろ、ボクっ娘だろう」って戻しちゃいました。
——ちょっと痛そうですよね。
では最後のキャラクターです。
展開的にあんまり言えないと思うのですが、パカについて少し。外見的なところから。
パカは、とりあえずミステリアスなキャラクターっていうのを強く意識しました。
ゲームを回すマスターになるので。
見た目はなにか馬っぽい被り物をさせたかったのですが、馬はよく見るので、私がアルパカが好きだったのもあり、アルパカにしちゃいました。
あと、アルパカのフィギュアを持っているので、描くときに参考にしやすいと思って。
そうですね、たしか担当さんの意見をけっこうもらいました。
ギャップ的な怖い感じを出そうって。明らかに怖いっていうのじゃなくて。
でも紳士的な振るまいっていうイメージは最初からあったので、慇懃無礼な感じに(笑)
——アルパカマスクの下の素顔は……?
言えないと思うんですけど、考えてはいるんですよね?
はい。(笑)
ただ、ちゃんと被りものですよっていうことだけ言っておきます。
左:パカ初期 右:パカ現在
——これで全員分お聞きしたのですが、一言でまとめるとキャラクターメイキングにおいて大事なのは「愛」だと思いました。
まずは愛することから始まるっていう。
そうですね。マンガを作るときに、私の場合はストーリーから作るっていうことがあんまりなくて。
最初にキャラクターがいて、そのキャラクターたちがわちゃわちゃしているのを観察しているのが好きだったので。
だから、キャラクターが作中で死ぬ場面も、すごく苦手で。たぶん割り切らないといけないとは思うんですけど、そういうのがなかなかできないっていうくらい、漫画そのものが描けないんですよ。
なので人気投票とか苦手なんです。
自分のキャラクターをすべからく好きなので順位をつけられると、下の方のキャラクターに感情移入してしまって。
出番を増やしたくなるとか。そういうのがやっぱりあります。
——なるほど。それはすごい感情移入ですね。
あとさらにお聞きしたいのですが、キャラクターの名前はどうやって付けてるんですか。
今回の下の名前に関しては、インスピレーションでつけてます。
顔とか見て「この子はこれだ」っていうのをピュって。
あ〜悩んでましたね。最初は「入出」ではなくて全然違う苗字だったのですが、
少し前に開始された他のマンガでまったく同じ苗字が出てきたので「被ってる!! 危ない危ない」っていうことで変えたんですよね。
——ほかのキャラクターも。個性ともうまくマッチングしてるじゃないですか。
例えばカリンは苗字が更屋敷で、なおかつホラー実況者とか。関連付けられて覚えられるのでいいですよね。
おそらさんのネーミングセンスは、素晴らしい感性だと思っています。
語感とかのニュアンスとかってセンスが多分に出るので。どういった言葉、単語を選ぶかっていうのは大事なポイントで、あんまり理屈じゃない。
名前つけるのが好きで、たまひよの名付け辞典とか持ってるんですけど(笑)そこにあるんですよ。
この名字にあった名前とかの例が。そういうの読むのが好きなんですよね。あんまり参考にしたことはないんですけど。ただ読むのが好きなだけで。
あと漢字とかも。今回は名前がカタカナなんですけど、漢字の名前も頭の中では考えていて。
完全に自己満足です。
——では、ちょっと方向を変えて、ここまではメイキングに関していろいろお聞きしましたが、
今まで触れたコンテンツで、自分が好きだったキャラクターとか愛したキャラクターを教えてください。
『無限のリヴァイアス』っていうアニメですね。
『無限のリヴァイアス』はキャラクターが50人近くいるのですが、少年少女たちの閉鎖空間からの脱出物語なんです。
はじめはキャラクター同士が楽しげに掛け合うところから始まるのですが、その後は人間模様がどんどんぐちゃぐちゃになっていく。そこが好きで。
キャラクターだけでも50人くらいいるのに、それぞれのキャラクターの立たせ方が上手で大好きだったんですよ。
たぶん閉鎖空間好きになったのは、それの影響です。
要は大人がいない世界っていうのが、現実ではないじゃないですか。
冒険心をくすぐるんですよ。
そのときは学生だったんですけど、学生のときにそれを見て、衝撃だったんですよ。
アニメっていうのは楽しいだけじゃないんだなっていう。
へこんだりしながら見てました。
漫画は「魔法陣グルグル」です。
すごく好きで。一番最初に買った単行本がグルグルだったんですよ。
最初はアニメののこぎり山のところから入って、2本のごぼうの…っていうそこが確か衝撃的だったんですよ。
「なんだこの面白いアニメは」って。原作に入って。原作もかわいいおもしろい!って。
中でも、ククリちゃんがすっごいかわいくって。デフォルメの仕方とかはたぶんグルグルに影響を受けていると思います。
——これまで聞いてて思うのは、テクニックとかももちろんあるのですが、やっぱりすべての根底は「愛」です。
そう感じました。
ラオウみたいですが、愛ゆえにすべて生まれているように思います。
愛と、自分が楽しんでやるっていうことしかないです。
自分が楽しめないものは、やっぱり続けられないですから。
いろんな「楽しさ」を詰め込むと、キャラクターが動き出すのではないでしょうか。
担当編集より
聞けば聞くほど溢れてくる、おそら先生のキャラへの愛とこだわりに感服しました…!!
キャラクターを『トモダチコレクション』に登録するという興味深いお話もありましたが、
まずはキャラクターよく知り、好きになることがよいキャラクター作りへの近道なのかもしれません。
8人のメインキャラクター(+パカ)たちがこれからも『ナカノヒトゲノム【実況中】』を引っ張っていってくれることでしょう!!
『ナカノヒトゲノム【実況中】』待望の第1巻は6月27日(土)発売となります。
ぜひ初期の頃のアカツキたちと今のアカツキたちを見比べていただき、
今後の彼らの成長も楽しみにしていただければと思います!!
「僕と先輩の鉄拳交際」の主人公・修二
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