「40代で同人イベントはやめるべき?」むしろ若者の自信と希望になる/カレー沢薫の創作相談

初めてのイベント参加。「おばさん」だと引かれないか心配。
主役はあくまでDB(ドスケベブック)
それ以前に、私は今まで参加したイベントの「参加者の年代」を全く覚えていません。もしかしたら自分以外全員JKだったのかもしれませんが、何せ覚えていないし、それに気づいてもないので、恥ずかしいとか、黒歴史になるとかもなく、今でも良い思い出です。
なぜ他の参加者の年代を覚えてないかというと、その時の私の感覚が「ひゃ〜ここは女ばっかだな!」とやっと股間をパンパンしなくても男女の区別がつくようになった悟空レベルだったのと、そもそも「見てない」からです。
私の視界には「推しのDB(ドスケベブック)」しか入っていませんでした。
BBAというだけで学級会の主役にはなれない
しかし、二次創作界は一限から五限まで「学級会」の日も珍しくなく、作品ではなく書いてる奴が槍玉に上がってることも珍しくありませんし、イベント参加者がボコられてることもあります。
「自分がその立場になるのでは」という危惧は、二次創作をやる人やイベントに参加する人なら大なり小なり持っていると思います。
特にイベント初心者、さらに年齢的に目立ってしまうかもしれないという状況なら尚更不安は大きいと思います。
しかし、炎上界もそう甘くもなく、ただ周囲よりBBAというだけで、学級会の主役になれると思ったら大間違いであり、教室をジャックしたいと思ったら、周囲のDBが霞むレベルの非常識をかまさなければ無理です。
表紙からして「服を着ていない」「顔よりもケツをこちらに向けている」でお馴染みの非常識極まりないDBを凌駕する大胆な非常識というのは、「非常識なことをしてしまうかも」と心配するような小心者には無理です。
「全裸で外に出てはいけない」という法律を知らなければ悪気なく出てしまうように、事前に会場ルールやイベントのマナーについて勉強しておくことは必須ですが、どれも常識があれば守れる程度のことであり、社会人、子育てを経験されたあなたが守れないとは思えません。
年齢は違っても共通の話題はある
同志たちと話が合わないのでは、という危惧も、確かに一般の10代20代とは何を話して良いかさっぱりわかりませんし「最近の子はテレビよりYouTube見てんでしょ?」以降二の句が告げなくなったり、若者のノリに合わせようとしたりして、スベりにスベる姿しか想像できません。
しかし、その場で会う若人とは「推しジャンルの話」というこれ以上ない共通の話題があるではないですか。むしろこの話題を差し置き何を話すのか、という話です。
イベントの本分というのはあくまで本の頒布なので、イベント参加を断念するほど周囲から浮くことが心配なら、最初からそこだけ目的にして参加した方が気楽なのではないでしょうか。
「年を取っても活動していい」と励みになる
どちらにしても年齢を理由にこれで最後かもしれない祭参加を諦める、この歳でみっともないのでは、という気持ちで参加してほしくはないと思います。
むしろ「寝」の状態になってもコンサートに行っていいんだという自信と希望になるのではないでしょうか。
もしあなたのことをおばさんというだけの理由で引く人間がいるなら、それはまだ自分もいつかBBAになり最終的に「寝」になる、ということを理解してない子供なので、大人が子供のいうことを間に受けたり落ち込んだりしても仕方がありません。
逆に理解している人からすれば「年を取ろうが家庭を持とうが活動を続けていいのだ」という励みになると思います。
自分では自覚がないかと思いますが、就職を機に離れた世界に子育てを経て返り咲き、さらに齢40を過ぎて、二次創作やイベント参加という新しいことにも挑戦というのは「子育てを経て大学に入り直して海外留学」に匹敵するぐらい人生これからやで感のある良い話なので、堂々と参加してください。
むしろビクビクしてるから異物感が出るのです。堂々としていれば、それはいつか当たり前となり、高齢者の参加も当たり前、そして最終的に「寝」の状態でDB買い回りも当たり前の世の中につながっていくと思います。
その第一歩と思ってぜひ堂々と、そして楽しんできてください。
