"絵描き"としての人生が動き出した。高校生イラストコンテスト2019最優秀賞・ろ樹さんインタビュー
pixivでは現在「pixiv高校生イラコン2020」の応募作品を受付中です! そこで昨年に最優秀賞を受賞した高校3年生・ろ樹さんにお話を伺いました。若さとパワーに溢れた等身大の言葉を通じて、イラスト制作の裏側や瑞々しい感性に迫ります。

高校生イラコンの応募のきっかけ
── 初めて作品を応募したのは前々回(2018年)の「高校生イラストコンテスト by pixiv」でしたよね。応募したきっかけはなんでしょうか?

普段からpixivを利用していて高校生イラストコンテストのことを知り、応募条件に当てはまっているし、高校にいる間に何か爪痕を残したいと思って応募しました。学校行事ではなく、自分からコンテストに応募したのは初めての経験でした。
前々回も応募して、入賞でした。今振り返って見れば、必要ないところまで描き込みすぎて、納得がいっていない部分がけっこうありました。
── 2019年も、前年の悔しさをバネに応募したのでしょうか?

いえ、参加を思い立ったのが締め切りギリギリだったので、迷っている時間もなく、とにかく描き始めました。
自分が好きなものを詰め込んだ絵を描きたかったんです。2019年は「音」がテーマだったので、水の音をモチーフにしました。水やビニール傘といった透明なものが好きで、自分の作品の強みだと思っているので、結構こだわりました。
── 「透明なもの」がお好きなんですね。

描いていて一番楽しいモチーフですね。影や反射など、質感による光の違いを表現するのが好きです。
といっても、これまでは自分がエモそうと思ったものを、ぼんやりとしたイメージして描いてました。今回の作品をアップした後、納得のいかない箇所がいろいろ目について、そこばかりが気になっていました。
でも、審査員の方が自分が直感で描いた部分が理論的に解説してくれたので、自分の強みが再認識できました。自分の作品を人に本格的に添削してもらったのは初めてで、とても嬉しかったです。
── その中でも特に印象に残った言葉はありますか?

傘についた葉っぱで空間を表現したことを褒められたの特に印象深かったです。以前から背景が人物に影響している描写を好んで描いていたので、密かなこだわりに気づいてもらえて嬉しかったです。
── 受賞がきっかけで変わったことはありましたか?

思っていた以上に反響があって、びっくりしました。でも自分のなかでは、この絵はまだまだ完成度が低いと思っています。もっと画力を伸ばして、もっと落ち着いた塗りをしたいです。
── 自分のなかでは発展途上だと感じるんですね。

プロの仕事をしてみて
── ろ樹さんは、受賞をきっかけにお仕事の依頼があったそうですね。実際にプロの仕事を受けてみて、どうでしたか?

ピクシブからのお仕事が増えたのですが、ひとくちに絵の仕事と言っても、いろんな種類のものがあり、表現の幅も広いんだと実感しました。
pixivノベル大賞受賞作品のカバーイラストを描く仕事では、自分の趣味を前面に押し出さず、作家さんの文章のテイストに合わせる必要があり、難しいからこそやりがいを感じて面白かったです。あとは、pixiv Sketch LIVEでの配信の仕事もめっちゃ楽しかったですね。配信自体が初めてでしたが、友達も見に来てくれたり、コメントももらえたりして、貴重な経験になりました。
── この1年で特に印象に残っている仕事はありますか?



今年のテーマが「祭」なので、とにかく花火を描きたかったんです。でもこの構図に至るまで、たくさんボツがあったり「前向きな感じで」みたいなイメージの指定があったりと、大変だったからこそ楽しくて思い出深い仕事になりました。毎日コツコツ2時間くらい描いて2週間かかりました。
── ろ樹さんのイラストって、毎回テーマに対してちょっとひねりがありますよね。

意外な創作の秘訣とは
── ろ樹さんの作業環境を教えて下さい。

── 絵を描く気分にならないときなどはありますか?

けっこうありますよ。というかほとんどそうです。気が向いたら絵を描いて、気が向かなかったら描かない。絵以外のこともやりたくなった時は、半年ほど絵を描かないこともありました。
普段も描く日と描かない日があり、描く日は学校の前にめっちゃ早起きして2時間くらいに描くようにしています。
── クリエイターの方は夜型が多いと思っていました。

夜だと疲れて眠たくなるし、遊びに行ったら時間もなくなって明日にしようとどんどん後回しにしてしまいます。やらなきゃいけないことは朝に、全部パッと終わらせて、残りの時間は自由に過ごすほうが自分に向いてると思いました。しっかり寝れば早起きも大丈夫ですし、朝の方がモチベーションも途切れずに描けますね。
あとは、ゲームをしながら絵を描くと、いつもより集中できて早く仕上がります。
── ゲームをしながらどうやって絵を描くんですか?

液タブの下にコントローラーを置いて、右手で絵を描いて、左手でコントローラーを持ってゲームをやります。『ペルソナ5』が好きで、オートモードを使いながら絵を描いてました。
良いゲームをやると絵を描きたくなりますね。ゲームに限らず、映画やCDのジャケットや、リアルの店舗で見かけるポスターとか、素晴らしい作品といかに出会うかは大事だし、何かに出会わないと絵が死んでしまう気がします。日常生活の中に、参考できるものがあちこちにころがってるし、センスを伸ばすために色々情報収集しています。イラスト以外のところでできるだけ多くのものに触れるのが重要だと思います。
たとえば昨年、友達に誘われてライブに行ったんですが、色とりどりのスポットライトで演出された空間に感動しました。それ以来、色を塗るときにはスポットライトのようなビビッドカラーにハマりました。
── 塗り方が結構変わるんですね。

その時のモチベーションによって、毎年色が変わります。2017はオレンジで、2018は青。2019はパステルで、2020はめっちゃうるさい色ですね(笑)。

── これからこういうお仕事をしたいという目標はありますか?

もちろん色んなことに挑戦して学びたいですが、案件の大きさではなく、背景や光などの自分の表現を生かせる仕事がしたいです。
── 今年のコンテストに向けて、参加者へのアドバイスを一言いただけますか?

私の場合、締め切りの日の夕方ギリギリまで描いていたので、締め切りは大事です。いい作品を目指しましょう!
pixiv高校生イラコン2020