あのアトラスが、次なる作品に向けてスタッフ大募集中!『ペルソナ』シリーズのキャラクターデザイン・副島成記さんインタビュー!#DESKWATCH
イラスト、漫画、アニメ、動画、音楽……さまざまなジャンルで活躍するクリエイターたちの制作机にスポットを当てる連載企画『#DESKWATCH』。珠玉のクリエイティブがどのような環境で生まれるのか、動画とインタビューでじっくり迫ります!

インタビュー/文:伊藤桃香(ヴィ) 撮影:佐藤ポン
今回は『真・女神転生』、『ペルソナ』、『世界樹の迷宮』などヒットタイトルを生み出し続けているゲーム制作会社・アトラスにお邪魔してきました。そして現在『ペルソナ』シリーズのキャラクターデザインや、新しく立ち上がった『Project Re Fantasy』のアートを担当されている副島成記さんに、インタビューを敢行! イラストやデザインに関するお話を伺ってきました。

▲ 現在開発中の新プロジェクト『Project Re Fantasy』。『真・女神転生III-NOCTURNE』『ペルソナ3〜5』のプロデュースを手がけた橋野桂さんと副島成記さんがタッグを組みます。
また、現在アトラスでは新しいスタッフを大募集中とのこと。そこでpixivからもエントリーできるプラットフォームを作っちゃいました! 興味のある方は、記事最下部の応募フォームをチェックしてみてくださいね。


▲ 今回お邪魔したのは、副島さんの作業ルームのある「P・STUDIO」のフロア。入り口では『ペルソナ4』のマスコット的キャラクター・クマの着ぐるみや自販機が出迎えてくれます!
新卒からアトラス一筋。 アトラスのキャラデザを手がけるクリエイター。
──ゲームファンなら知らない人はいないと思いますが、お約束なので……まずは、アトラスという会社について教えてください。代表的なタイトルは何でしょうか?

アトラスと言えば、やはり『真・女神転生』や『ペルソナ』の印象があるかと思います。あと『世界樹の迷宮』シリーズ、『キャサリン』という代表的なタイトルもあります。
──副島さんは、どのようにして株式会社アトラスに所属されましたか?

1995年に新卒入社して、そのまま今に至ります。ちょうどプレイステーションの『女神異聞録ペルソナ』を作っていた頃ですね。
デザイナーとして入社しましたが、当時はそれほど分業化が進んでいない時代だったので、何でもやりました。絵を描くだけでなく、ドット絵を作ったりとか。──アトラスに入ろうと思った理由は?

当時はまだそれほど規模の大きな会社ではなかったからです(笑)。大きい会社だと、あんまり自由に好きなことができないんじゃないかと思いました。逆にアトラス規模の会社なら、自分が活躍できる機会も多いかな、と。
──作業には主にどんなアプリケーションを使用していますか。

SAIとPhotoshopですね。
線を引いたり、色を塗る作業……つまりペンタブレットを使う作業はすべてSAIです。Photoshopは色調を整えたり、特殊効果をかける時に使いますあとは、CLIP STUDIOも使用することがありますね。──タブレットは、液晶タイプではなく板タイプなんですね。


▲ PCはWindows7、Intel Core i7-6700 3.4GHzに32GBのメモリ。副島さん愛用のペンタブレットは、なんと10年以上前に発売されたモデル『Intuos3』! まさに弘法筆を選ばず!?
──「これがあると作業が捗る!」というマストアイテムはありますか?

ヘッドフォンはマストですね。BOSEとAKGのものを使っています。
AKGのほうは『ペルソナ5』とコラボさせていただいたものです。


▲ 『ペルソナ5』に登場するキャラクター・佐倉双葉が愛用しているヘッドホン『AKG K845BT』を完全再現したモデル。
──ヘッドフォンがマストアイテムということは、音楽をよく聴かれるんですか?

はい、ゲームミュージック……というか、関わっている作品のBGMをよく聴きます。
聴く音楽によって絵の雰囲気もけっこう変わっちゃうので、ゲームに使用する音楽ができあがったら真っ先にデータをもらって、それを聴きながら描くようにしています。──なるほど、開発中のゲームのBGMを聴きながら、そのゲームのイラストを描くんですね。なんとも羨ましい環境ですね!
クリエイターにとって働きやすい環境を求め続けるアトラス

メリットはやっぱり「すぐ近くに人がいる」ということだと思います。
フリーランスの方だと、クライアントと話すために、電話やチャットを使うことが多いですよね。でも会社なら各ジャンルの担当スタッフがいますので、疑問があったらすぐ話しにいけますし、彼らからも話しかけられます。

▲「P・STUDIO」の共有スペースには、『ペルソナ』関連のグッズやムック、ゲーム等が所狭しと並べられています。


▲ 『Project Re Fantasy』を手がけるスタジオ・ゼロの共有スペース。いずれのフロアにもコミュニケーションを活発にするための環境が整えられているのが特徴。

▲ アトラスUSAのスタッフから『ペルソナ5』完成記念で贈られたという一点もののコントローラ。これは……欲しい!

デメリットは……終電があることですかね(笑)。就労規則もありますので、あんまり遅くまで仕事をしていると怒られます。
でも、それも考えようですよね。ひとりでやっていると、根を詰めすぎて自己管理がおろそかになったりもするので、歯止めをかけてもらえるのも良いことなのかもしれません。

コアタイムは11時〜16時です。その時間帯は社内にいてほしいな、という感じです。でも裁量労働制なので、そこまで厳しく決まってはいないですね。朝早く出勤して、夕方普通に帰ることもできますし、コアタイムぎりぎりの11時までにゆったりと出社…ということもできます。
──自由で働きやすいですね! ちなみに、副島さんの出社時間は……?

やはり締め切り間際などは根詰めてしまうときもありますが……(笑)基本はルールに従って働いています
──目や手足を休めるために意識していることはありますか?

椅子選びは大事だと思いますね。うちの会社はけっこう作業環境にこだわっているので、開発チームも非開発チームも、みんな良い椅子に座っています。
ただ、イラストレーターと違って、デザイナーはそこまでひたすら描き続けるわけではないんです。資料を見たり、考え事をしたり、誰かと打ち合わせをすることも頻繁にあるので。だからそこまで体への負担は大きくないと思います。
デザインに課せられる制約とは? 集団作業だからこその楽しみと苦労

キャラクターの設定画を起こす仕事がキャラクターデザインなわけですけれども、あんまり下手だと伝わらないので、ある程度絵が描けることは前提条件だと思います。
ただ、これは会社に入って痛感したことなんですが、「絵が描けてもデザインができるわけじゃない」んです。例えば社内コンペがあったとき、不遜な言い方になってしまいますが、画力があまり達者でない人のデザインが採用されることもあります。演出の絵コンテも、丁寧に描き込まれたものより、棒人間で描かれたもののほうが優れていたりとか。
絵を描く能力がないとデザインはしづらいとは思いますが、「画力」と「目的に適ったデザインができる能力」は別物なんだと思います。アトラスに入社してからそれに気付いて、それからはちゃんとデザインができるように意識を改めました。
──デザインの引き出しを増やすために、何か勉強されたりは?



▲ 今では確固たる個性を身につけた副島さんも、入社直後はダメ出しの嵐だったそうです……。

漠然としたキャラのイメージを、形にしていくのが1番楽しいですね。
キャラは僕だけではなく、チームみんなで作るものですが、絵がぽんと出来上がると「あ、こういうキャラだったのか」と共有できるといいますか。
テキストだけでは伝わりづらかった部分をイメージとして共有して、より深くキャラを作り上げていく……その過程が1番面白いと思います。
──逆に、大変なことは何でしょうか?


▲ 様々なスタッフとの協同作業の末に生み出されるキャラクターたち。さりげないデザインひとつにも、スタッフの思いが込められています。
──『ペルソナ』シリーズに登場するペルソナは、非常に奇抜かつスタイリッシュなデザインですよね。ああいったデザインを生み出す際のポイントはあるのでしょうか。

1番に考えるのは、お客様の目に触れたときにどういう印象を持たれるか、という点です。
格好良いと思われたいのか、驚いてもらいたいのか……受け手に対してどうアプローチしたいのかを重要視します。その目的にそって素材を料理していく感じです。
ただ、あんまりわかりやすいデザインだとつまらないので、どこかしら謎……というか、気にかかるような要素を付け足しています。お客様に「この要素がある理由は何だろう?」と興味を持ってもらって、原典にまで手をのばしてもらえたらいいなと。やはり元ネタがあるものを描いている以上、ただ単に格好良いだけのクリーチャーで終わるのではなく、原典にも目を向けてほしいですしね。


1番手っ取り早い勉強方法は、やっぱり「仕事にすること」だと思います。趣味でやっていると、どうしても好きなものに偏ってしまいがちですしね。
会社に入ると、自分の得意分野のものを描ける機会のほうが少なくて、分野外のものをたくさん描くことになります。
入社当時は僕もそれなりに自信を持っていたんですが、分野外のものはなかなか上手く描けなくて……。そんなとき、今でもハッキリ覚えているんですが、先輩に「副島くん、何でも描けそうなフリしてるけど、何も描けないよね」と言われたことがあるんです(笑)。
だから「いつか仕事にしたい」と机上で練習するよりも、早く現場に飛び込んでチャレンジするのが1番じゃないでしょうか。
そういうわけでぜひ、弊社に来ていただければと思います!
▲ 副島さんに描いていただいたクイックドローはペルソナ5のキャラクター「新島真」。凛とした表情でとても素敵です……!
アトラスがスタッフ大募集! pixivからエントリー受付中です!


▲ 新規IPの創造のために新設された、スタジオ・ゼロ。既存IPの力強い継続とあわせてさらなる成長を目指すアトラスは積極的な人材募集活動中です。
──新卒限定でしょうか?


特徴があるとすれば、昔からアトラスという会社はスタッフが全員野球というか、皆でひとつの作品を作り上げていく風潮があります。その作品作りに興味が湧きま したら、ぜひとも応募をいただけますと幸いです。
──ありがとうございました!
※本企画の募集は2017年6月14日をもって終了いたしました。
沢山のご応募をありがとうございました。
現在の中途採用募集につきましては以下URLからご確認ください。
https://www.atlus.co.jp/recruit/
「いつか」ではなく「今」 夢を掴むにはチャレンジあるのみ
とても穏やかで、柔らかくインタビューに答えてくださった副島さん。クリエイターになるために練習するよりも、まずクリエイターになって(半ば強制的に)スキルアップするほうが手っ取り早い、という逆転の発想を教えていただきました。
そんな副島さんの所属するアトラスが、現在新規スタッフ募集中というのは、なにかのご縁かもしれません。夢をより早く実現させたい方は、ぜひこの機会に挑戦してみてくださいね!
さて、この連載では、クリエイターたちの素顔や個性を垣間見ることのできる“デスク”にスポットを当て、彼らがどのように素敵な作品を生み出していくのか取材します。引き続き、次回もお楽しみに!