「POP」 にリベンジするとは? Mika Pikazoが個展「REVENGE POP」を語る&個展の様子をたっぷり紹介!
イラストレーターMika Pikazoさんの個展「REVENGE POP(リベンジ・ポップ)」が、渋谷Hz(ヘルツ)にて、2022年12月29日(木)まで開催中です。残りの会期もわずかですので、ご興味のある方は、ぜひお早めに足を運びください。
個展開始後のMika Pikazoさんに、個展の見所を伺いました。インタビューと合わせて、個展の様子をたっぷり写真でご紹介します! 展示会では見られない制作過程も掲載していますので、すでに来場された方にも楽しんでいただける内容です。
建物をイラストでラッピングしたかった
── 個展開催おめでとうございます! 始まって少し経ってみていかがでしょうか?

想像以上に多くの方に来ていただけて驚いています。海外から来ました、関西から来ました、東北から来ましたと声をかけてくださる方もいて、本当に嬉しいです。渋谷という土地柄もあるのか、学校帰りに立ち寄ってくださる制服姿の学生さんも多いですね。

── ファンはもちろん、そうでない人も入ってみたくなる印象的な外装ですよね。外国人観光客らしき方が、建物をバックに写真を撮っていたのが印象的でした。

Mika Pikazoを知らない人にも、ひと目でアニメやゲームというか、オタクカルチャー的な何かをやっているというのが分かるようにしたくて、イラストで大きくラッピングしました。在廊していても、何年も前から知ってくださっている方もいれば、数日前に知った、通りがかって知ったという方もいます。SNS上でイラストを楽しむのとは違って、物理的な展示会にくるのはハードルが高いと思うのですが、来場くださる方がいるのは幸せです。


会場は渋谷PARCOの向かいの建物です
単管パイプとネオン管入りの壁がお気に入り
── 特に気に入っている展示物はありますか?


入り口正面の単管パイプを組んだものにイラストが飾られています


── 最初に目に入るものの印象は大きいですよね。

そうですね。もうひとつは、入ってすぐ左の大きい壁ですね。単管パイプが組まれたエリアやグッズ売り場と、絵が飾ってある奥の展示スペースの、雰囲気や世界観を分ける大事な役割を果たしています。壁のおかげで、展示スペースに進むまで、そこがどうなってるか分からないようになってます。しかも、中にネオン管が入っていて光っているんで、遠くから見ても「なにかやっているな」というのが分かります。純粋な意味でのイラスト展示物ではないから、削る案もあったのですが、「絶対削りたくない」と最後までごねました(笑)。


尖らせた表現だけではなく日常的なシーンも描きたかった
── 画家の岡村芳樹(おかむらよしき)さんがMikaさんのイラストの上から絵具を載せたものや、フラワーアートディレクターの花芝翫(はなしかん)さんによるアーティフィシャルフラワーとイラストを組み合わせたものなど、物理展示へのこだわりを感じました。こうしたコラボはどのような経緯で実現したのでしょうか?





ずっとやりたかったフラワーアート
── 花芝翫さんとのコラボはどうですか?

こういう風にやったら面白いものができそう、というイメージがあり、フラワーアートをやりたかったんです。プロデューサーの藤井君と探すなかで、「花芝翫さんにお願いしたいね」となりまして、お声がけしました。最初は「分かるような分からないような」とちょっと困惑されていましたね(笑)。でも、「この絵にはこのお花でどうでしょう?」とご提案いただいたとき、絵が浮かび上がってくるような、ベストなお花選びで、「これです!」とびっくりしました。こうしたコラボレーションの経験があったり、オタクカルチャーに詳しかったりしないからこそ、いろいろ考えて、こちらの制作意図まで汲み取ってくださいました。



── 花をつめたケースの色が鮮やかなネオンカラーなのが印象的でした。


はなぶしさんがいなかったらアニメには挑戦しなかった
── アニメーターやイラストレーターとして活躍されるはなぶしさんを師匠と仰ぎ、アニメーションの制作にも挑戦されていますね。もともとアニメをやりたい気持ちはあったんですか?

実は全然ありませんでした。自分がデザインしたキャラクターをアニメーターさんに動かしてもらうことはあるのですが、だからこそ、自分はキャラクターデザインまで、という意識があったんです。でも、はなぶしさんに、「CLIP STUDIO PAINT でアニメ作れますよ」と言われて、実際にはなぶしさんがイラストを動かしているところを見て、じゃあやってみようかなと。だから、はなぶしさんがいなかったら、アニメはやっていなかったと思いますね。


「POP」という言葉に込めた思い
── おふたりの出会いがなかったら、展示もまったく違うものになっていたかもしれないと思うと面白いです。個展のタイトル「REVENGE POP」についても聞かせてください。ポップにリベンジする、ということで、「POP」という言葉への思い入れを感じました。

POPという言葉は、キャッチーでもあるしミーハーでもあるという捉え方をされると思うんです。自分の中ではアンディ・ウォーホルや、マイケル・ジャクソンが思い浮かぶんですが、アンディ・ウォーホルは美術界から「こんなのはアートじゃない」と激しい批判を受けました。でも批判もひっくるめて、誰にでも開かれている、誰でもそれについて発言できるのが、POPのすごいところだと思っています。全員がいいと思うものじゃなくて、好きな人と嫌いな人の両方がいて、格好いいとか悪いとか、否定も肯定も入っている。そういうありよう自体が、人間の自由な部分だなと感じていて。
何にも興味がなかったり、逆に「好き」という気持ちしかなかったりすると、何事も深掘りはできないですし、POPがあるから、そこへのカウンターとして新しいカルチャーが生まれてくると思うんです。
POPであること、POPを象徴することは、一番難しくて、究極的な表現だと思います。でも、完璧な表現じゃなかったとしても、それを目指していきたいですね。完璧じゃないからこそ、POPであると言えるのかもしれないですけども。
── 中学生のころは「Sex Pistols」や「Iggy Pop」などの音楽にのめり込んだと、会場の年表に書かれていましたね。だから、カウンターカルチャーがお好きなのだと思っていました。

自分の趣味は完全にカウンターカルチャーですね(笑)。でも、自分は「王道」がやれると根拠なく思っていて、それをやるべき人間だなという思いがあります。自分のカウンター精神は「リベンジ」という言葉に込めたつもりです。


会場にはMika Pikazoさんのこれまでの遍歴をまとめた年表も
視覚的に楽しめる空間を目指した
── 個展では描き下ろしが多いことに驚きました。




── 最後に来場される方へひとことメッセージをお願いします!

今回の展示会では平面的なイラストにとどまらず、立体的なものなど、視覚的により楽しめるものを目指しました。絵だけではなく楽しめるというのは、自分の今後の目標のひとつでもあります。SNS上でイラストを見たときにも楽しんでいただけるよう全力で描いていますが、展示会にしかないものがたくさん詰まっているので、ぜひ足を運んでもらえると嬉しいです。何度見ても楽しめるような空間になっていると思います。そして、今の展示会もそうですが、これからもいろいろな挑戦をしていきたいので、期待して見守ってもらえると嬉しいです。




グッズの販売も充実しています
12月29日まで! MikaPikazoさん個展「REVENGE POP」開催中
Mika Pikazo個展「REVENGE POP」Supported by pixiv 概要
開催日時:2022年12月10日(土)〜12月29日(木)10:00~20:00
開催場所:Hz(ヘルツ) https://hz-shibuya.com/
所在地 : 東京都渋谷区宇田川町4−3 1F(JR・東京メトロ「渋谷駅」より徒歩6分) Google マップ
定休日:なし
入場:無料
「REVENGE POP」公式サイト:https://revenge-pop.mikapikazo.info/
「REVENGE POP」公式twitter:@MikaPikazo_info
「REVENGE POP」公式BOOTH:https://revenge-pop.booth.pm/