男同士のアツい絆。ブロマンス特集／pixiv小説選集

男子高校生・椎崎真紘の通う高校には、調理実習があるたびに家庭科室に訪れて生徒と一緒に食事をとる、石垣先生というモジャモジャ姿の社会科教師がいる。ある日、帰り道に寄ったスーパーで石垣先生を見かけた真紘は、何も買わずにスーパーを出ようとする先生を見かけ、思わず声をかけてしまう。「一人だと何も食べる気がしない」という先生を家族が営む定食屋に連れて帰った真紘だったが、何やら家族は石垣先生が抱える事情を知っているようで……。

優しさと思いやりに溢れた登場人物たちのやりとりが心に沁みます。作中に登場する色取り取りな家庭料理が美味しそうで、大切な人と食卓を囲む楽しさが伝わるお話にほっこりすること間違いなしです！

会社をリストラされ荒んだ日常を送っていたヒロタカのもとに彗星のごとく現れたのは、仄かに発光する不思議な男性だった。宇宙人を自称する彼に「彦星」と名づけ一緒に暮らすことにしたヒロタカは、地球初心者の彦星に振り回される日々を送ることになり……。壮大な宇宙の中で出会った、一人の地球人と一人の宇宙人が繰り広げる穏やかな異文化交流ブロマンス。

様々な奇跡と愛情が詰まったキラキラしたお話で、綺麗な夜空を見た時のようなトキメキを感じました。異なる文化や背景をもつ二人が、互いに尊重し寄り添いながら過ごしている風景を見守りたくなります……！

くらい海に面した港町に越してきて2ヶ月。部屋中に散らばっている原稿用紙の海の中で、凪のまま真っ新な紙の前で考え事をしていた「私」の元に訪れたのは、引っ越しと同時期に着任した新しい担当編集者もとい「取り立て屋」であった。敏腕な「取り立て屋」に原稿を急かされる日々を送っていたある日、「私」は「取り立て屋」が抱える秘密に気が付いてしまい……。

作家と担当編集者ならではの軽快な言葉の応酬のなかに滲む独特な雰囲気に引き込まれます。「秘密」を共有する二人が作中でどのように心を通わせていくのかにも注目です！

片道一時間の通学をやめ、念願の一人暮らしを始めた大学生の颯斗。大学まで徒歩15分、10畳のワンルームは家賃も広さもそこそこで、新しく始まる生活に心を弾ませる颯斗だったが、閉めたはずの扉から入ってきた幽霊のせいで生活は一変する。「一夏」と名乗るその幽霊に翻弄される日々を送ることになった颯斗は……。

大学生の颯斗が「幽霊」という異質な存在である一夏に対して怯えたり、一緒にはしゃいだりする中で少しずつ心を開いていく様子が微笑ましいです！ピュアな青春ブロマンスを楽しめる一作です。

中学の同級生・仲郷の結婚式に呼ばれた朱野は、高校生の頃までつるんでいた仲間たちと一緒に結婚式に出席する。そこで、中学時代に「仲郷と朱野が付き合っているのでは」と噂されていたことを知った朱野は、かつて抱いていた恋心を思い出してしまう。結婚式で再会したあと連絡を取るようになった二人は頻繁に会うようになるが……。

再会して気付く、欠けてしまっていた存在。恋のようで恋ではないけれど、互いを求めあってしまう気持ちから逃げられない二人のやりとりがもどかしくも尊いです。大人同士の複雑な友達以上恋愛未満な関係性が魅力的です！