心も体も満たされる。グルメ特集/pixiv小説選集

pixivには日々たくさんの小説が投稿されており、pixiv小説編集部ではまだあまり読まれていない良作にスポットライトを当てる活動を行っています。
今回は食欲の秋にむけて、食がテーマになっているお話を集めました。
読むと思わずお腹が鳴ってしまうおいしそうな描写から、心が締め付けられるような食事のシーンまで……。
食欲と読書欲が満たされる、美味しい物語をご堪能ください!
デビュー7年目の売れない漫画家・佐久間園美は今夜も新連載の企画にボツを告げられる。外は雪が降りしきり、古いアパートには隙間風が入り込む。おまけにおせっかいな親戚からは見合いの話を蒸し返され「賞味期限が切れかかってる!」と言われてしまう。冷蔵庫にも、ろくな食材はなく、母親が送ってくれた救援物資も期限の切れた袋麺とトマトジュースなどが残るのみ。そんな目の前の「現実」にじわじわと絞めつけられ、気力をなくしていく園美だが──。
思い通りに行かないことも多いし、上手く生きることは難しい。人生に答えはないからこそ悩んでしまう。それでも、ご飯だけは美味しく食べよう!と前向きな気持ちになれるお話です。
亜子は絵ばかり書いているような子供だった。そんな亜子が楽しそうにしている姿が好きで昔からよく世話を焼いていた涼太は、大学生になった今も一人暮らしを始めた彼女のために毎日料理を作りに行く。トマトスープにホットサンド、卵粥。幼馴染二人の美味しくて甘酸っぱい恋物語。
君のためだから頑張れる、君と食べるから美味しくなる。そんな幼馴染の不器用な恋愛模様に心がくすぐられます。

幸福のショートケーキ
by 蝶子
「ショートケーキ。」
明日退院する妻に何が食べたいか尋ねると、意外な答えが返ってきた。ゲイである自分を受け入れて結婚した幼馴染の妻は一週間前、自殺を図っていた。男はかつての恋人を忘れられないまま、妻のためにケーキを焼く。
ふたりの幸福の形とは──。
苺と生クリームたっぷりのショートケーキを食べる時の罪悪感は、大事な人に本音を隠す後ろめたさに似ている気がします。大人たちの甘くない一夜を描く、ドラマティックな一作です。
こちらは、第一話「幸福のショートケーキ」を含む短編集となっています。
某地方都市で暮らす女子高校生・御角倫(みかどりん)。彼女の家にはとんでもない秘密があった! 週に一度、織田信長を筆頭にさまざまな戦国武将が訪れるのだ。織田信長にソースカツ丼、明智光秀に肉じゃが、伊達政宗にハンバーグ!名だたる武将たちが、倫が振る舞う美味しい現代飯の虜になっていく。武将たちと繰り広げる、倫の日常『飯』物語。
戦国武将たちの食べっぷりに食欲がそそられる、現代ファンタジーです。個性豊かな武将たちとのやりとりにも注目です。
バーレン・ヒルの街に居を構える食堂「マグワーズ・ダイナー」。荒廃した街で食堂を営むヨモギの元には、日々、様々な事情を抱えた客がやってくる。仇討ちのため旅する男、奴隷商人から逃げる子供、華やかな娼婦たち……。特製料理と客との出会いを描いた異世界ファンタジー。
巨大アリの卵やノコギリソウ、ドングリの実などあまり馴染みない食材の料理がヨモギの手に掛かるととても美味しそうに思えてきます。そんなご馳走を楽しむバーレン・ヒルの住人と、食堂で一緒に同じ時間を過ごしているような気分を味わえる作品です。
毬花と麦子は世界の料理を食べ歩く趣味仲間で、ハズレの店の時にも麻美先輩のバーで残念会をするまでがルーチンだった。ある日麦子からの久々の誘いで二人は最近オープンしたモロッコ料理屋店に訪れることに。ところが待ち合わせの場所に訪れた麦子は見違えるほど痩せていて……。
美味しい食事とその喜びを分かち合える友達。どちらも人生にとってかけがえの無い存在であること、そして何より「食べることは生きること」なのだと教えてくれる作品です。
「pixivノベル大賞~2021 Autumn~」開催中!
今回の「pixivノベル大賞」のテーマは「選んだタグから膨らむストーリー」。
応募したいジャンルと、ジャンルごとに設定された課題タグの中から好きなものを選び、ストーリーを膨らませて30,000文字以内の小説を投稿してください!
優秀作には描き下ろし表紙付きでpixivノベルに掲載される他、特別審査員の先生方より講評が贈られます。
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