3Dモデルは「描ける」時代に。次世代イラストレーターの仕事に迫る! こばやしさんインタビュー

イラストレーター・こばやしさんは、モデリング知識ゼロから作り上げたそうです。こんな複雑な造形のキャラクターを、いったいどうやって作ったのか……。

本記事では、制作の裏話やキャラクターの誕生秘話もご紹介! 貴重なデザインラフや動画は必見です。また、3Dモデル制作の仕事もこなすこばやしさんに、仕事の様子や心構えを伺いました。
「個性」を表現した3Dキャラクター
── 「VRoid Hub 輝けうちのこ!キャンペーン」で最優秀賞受賞おめでとうございます! 雰囲気がとても印象的なキャラクターですね。どんなイメージでデザインしたんですか。



ノワールは「睡眠」がテーマですが、「食欲」など、実は他にも七体ほどキャラクターデザインがあります。7つの大罪になぞらえています。


── キャラクター同士の関係性や物語など、想像が膨らむデザインですね! 3Dにするにあたって、ノワールちゃんの制作では何が一番苦労しましたか?

髪の毛で作った花飾りや蝶々などです。髪の毛で髪以外のものを作るのは、本来の使い方ではないのでとても苦労しました。
でも3Dモデル制作ソフトのVRoid Studioは、モデリングの知識がなくても作れるのでとても助かりました。使い方は手探り状態でしたが、「ノワール」は自分がどこまで作れるのか、知ることができたモデルだと思います。
▲3Dモデル制作ソフト「VRoid Studio」での様子。ガイドライン上に「髪の毛」を描き、「太さ」や「ひねり」のパラメータを調整しながら角を作っている
0.01単位で微調整を繰り返した花飾り

頭についてるお花は、本来髪の毛のパーツなので、描いただけでは立体感が出ないんです。毛束を花びらのかたちに描いて、ひねりのパラメーターを調整し立体感を出しています。花びらを一枚ずつ描いて、うまく重なるように0.01単位でひねりを調整して……

▲VRoid Studioの開発者でも想定外の方法で作られた花の髪飾り


どの角度からでもスキのないモデルづくり
── 平面のイラストとは違って立体のデザインはより難しそうですが、角度は意識して作ったんですか?

横から見たときにのぺっとしちゃうことがあるので、どこの角度から見てもキレイになることを意識して作りました。特にキャラクターをアップにしたときの見え方はすごく気にしてます。キャラクターが動画に登場したとき、グッとアップされた表情が魅力的だったりするので、特に顔周りは細部まで丁寧に作りました。


作品制作の起点となったお洋服作り





3Dの知識がゼロでも作れた自分のアバター


▲丁寧に細かく分けられたノワールちゃんのレイヤー
イラスト制作と変わらない3Dの制作環境


3Dモデル制作のお仕事について


── 一体作るのにどれくらい時間がかかるんですか?



以前、三面図のデザインを3Dモデルにしてほしいという依頼を受けました。そのときは深く考えずに引き受けたんですが、実際やってみたらすごく難しかったんです。
デザイン上ではこういうシルエットだけど、作ってみるとイメージ通りいかなかったり、予想外のことが多くて結局納期も延びてしまいました。依頼を引き受ける以上、相手のイメージに可能な限り近づける必要があります。実現可能かどうかの判断力や、実現できるスキルを身につけることが大事だなと実感させられた仕事でした。
── 最後に、読者の方へメッセージをお願いします!

私が言いたいことは一つだけです! とにかくVRoid Studioを触ってみてください! ぜひ「うちの子(オリジナルのキャラクター)」を作ってください! 動画配信したり、仮想空間に潜ったり、お洋服作って着せ替えしてみてください。
お洋服のきせかえは、自分の作ったキャラクターがもっと魅力的になる一つの手段だと思います。楽しむ人が増えて、これからどんどん盛り上がっていってほしいなと思います。こばやしさん、ありがとうございました!