これはもう紙そのもの!? ワコム最新クリエイティブタブレットを体験!朝日川日和さんメイキング&インタビュー

インタビュー・文:小川 陽平
編集・撮影:関口敬文
鮮やかな色彩と活き活きとした表情を浮かべるキャラクター。光の陰影を丁寧に描き、見た瞬間に惹きつけられるような完成度の高いイラストを描く朝日川日和さん。ライトノベルや児童書の挿し絵、トレーディングカードゲームのイラストにご当地キャラクターのデザインなどなど、幅広いジャンルで活躍されているイラストレーターさんです。
出版社やゲームメーカー、さらに地方自治体(!)といったクライアントからのリクエストに、ベストなクオリティのイラストで応える朝日川さん。そんな彼女がイラストレーターになろうと決めたのは、なんと中学3年生のとき。夢を実現させ、今では大活躍されている朝日川さんの創作の原点、さらにこれからの目標についてお伺いしました。
記事の前半では、朝日川さんが愛用されている「ペイントツールSAI」でのイラストメイキング。後半では、イラストを描く意義やこれから取り組んでいきたい試みについてのインタビュー、そして朝日川さんによるワコム最新クリエイティブタブレット「Wacom MobileStudio Pro 16」を使ったイラストメイキング動画と、ボリュームたっぷりにお届けします!

「ペイントツールSAI」での朝日川日和さんイラストメイキング!
ラフ
まずは今回の企画用にラフをいくつか描いてみました。記事公開が新年明けてからの予定なので(この記事は2016年12月に書いているのです……)、新年らしいイラストにすることは決定。でも新年だから和服というのはよく描くシチュエーションだし、せっかくだからそれ以外のものを描こうと決めました。
2017年の干支は酉なので、鳥から連想した「フクロウ使いの女の子」にしてみました。冬なので雪の要素は加えたいと思い、フクロウの形をした雪だるまも追加。仲のよさそうな雰囲気が出せているといいのですが。

ラフで描きたいものをきっちりと固めておかないと、あとで迷うことになるので、人物の設定やお話のイメージを考えておきます。カラーイラストではラフの段階から色を乗せていき、線画と色彩、両方のイメージを一緒に作り上げてしまいます。
線画

イメージが決まりラフが描けたら、線画に取りかかります。人物以外の鳥かごやフクロウは、線の修正や大きさの微調整が入る可能性があるので、人物とは別のレイヤーにしておきます。また、念のためフクロウで隠れる女の子の肩周りなどもひと通り描きます。
下塗り

ラフの時に彩色した色を参考にしながら、肌や髪などそれぞれの部位で塗り分けをしていきます。服の模様などはここで追加や削除をしますが、本塗りの段階で全体のバランスを見ながら調整することもあります。また鳥かごは、手がかかる部分と手前の木の部分をマスク処理で隠しています。

下塗りの際に、部位ごとにレイヤー分けをしていきます。調整がしやすいよう、ここで手を抜かずにきちんと分けておくと後々楽ですよ。

頬や薄い影になる部分に少し濃い肌色を差し、さらに髪の毛などの影も塗っていきます。
彩色


レイヤー分けをしてパーツごとに色を塗り終わったら、影や効果を付けていきます。同系色の濃い色で影を描いたあと、全体のまとまりや立体感を出すために、濃い青の影用のレイヤーを追加して不透明度を調整します。このときの青色は、イラストの背景や雰囲気によって紫にしたり緑にするなど適宜調整します。今回は、水色から紺あたりの色を使っていくことにしました。

メリハリと立体感が欲しいので、最後に光の当たるところをオーバーレイで明るくします。フクロウについても、人物同様の手法と手順で塗り進めていきます。



人物とフクロウはこれでひとまず終了! 次は背景です。
背景

背景は毎回悩むのですが、今回はラフで着彩した色合いが思いのほかよかったので、そのまま活かす方向で進めます。冬らしい色合いをなくさないように、植物や雪、雲を描いていきます。
また、太陽の光や吐いた息といった効果もここで加え、背景、人物、効果と全体のバランスを見ながら調整をしていきます。
仕上げ

アナログのような質感が好みなので、最後に「オーバーレイ」で紙のテクスチャーを全体にかけたあと、影を塗り込んだり、光を描き込んだり、形を変えたりと、ひたすら加筆と修正を加えていきます。絵の情報量を高めて完成度を上げるところなので、ここはひたすら根気強く作業を進めます。

SAIで納得の完成度になったら、最後は「Adobe Photoshop」上でレベル補正などの微調整を行います。今回は使いませんでしたが、背景のぼかしやレンズ効果といった効果を使うこともあります。
完成!

続いて次のページでは、朝日川さんがどのようなキッカケでイラストを描くようになったのか? また今後描いてみたいテーマなどをお伺いしました。
インタビューの終わりには、ワコム最新クリエイティブタブレット「Wacom MobileStudio Pro 16」を使って朝日川さんがお絵かきしたイラストのメイキング動画もお見せします!