「創作と生活のバランスをとるには?」自己肯定感が下がるような楽しみ方はしない/カレー沢薫の創作相談

文/カレー沢 薫
創作したい衝動に負けて生活を疎かにしないためには
さらに、それにすら集中できず「息抜き」と称して「ブラウザ版X」を開き始めれば◎です。
今、本物の不適合者こと私に対して怒りが湧いていると思いますが、その燃えているものこそがあなたの内に秘めたる「社会性」そして「常識」なのです。
ちなみに私はちゃんと社会から駆逐されたので安心してください。悪は地獄の業火に焼かれ、厚生年金や社会保険が灰になりました。
未来はわからないが、今はバランスがとれている
世間が、いい年をして二次元キャラにハマって脳内の妄想を白紙に念写しようとしている中年を冷ややかな目で見るようなら、世間の方が間違っています。
自己肯定感が下がるような趣味の楽しみ方はしない
私もかつて、勉強や仕事などやるべきことをやらず、推しの斜め45度バストアップ絵などを描くことにのめり込んでいました。しかし、絵を描くことが仕事になりずっと絵を描いていても誰も怒らなくなった今は、何故か絵を描くことから逃げ、Xやウマ娘をやっているのです。
やるべきことをやらず、やりたいことをやる、というのは背徳の味であり、気持ちいいのですが、この快感はシャブと同じです。
しかし、シュミとシャブには大きな違いがあります。
今カタカナにすれば字面も似ていると言いたかったのですが、そんなに似ていませんでした。
「仕事終わりのシャブは最高だし健康にもいい」などということは絶対ないのですが、趣味の場合それが成り立つのです。
やるべきことをやったという達成感、これからの時間は好きなことをできるという解放感、さらに自己嫌悪などの禁断症状は発生しませんし、むしろ「仕事と趣味を両立できている俺」に酔うことができます。
よって、もし仕事や家事の途中で創作に手が伸びそうになったら、こいつを終わらせてからの方がトべるのに、ここでつまみ食いしてバッドに入るなんて「もったいない」と思ってください。
私は今日もつまみ食いが実食に発展し、夜には「誰も俺を愛さない」みたいなことを言っていると思います。
人生100年、これからもいろんなコンテンツにハマったり離れたりすると思いますが、自分というコンテンツからは一生離れられないので「自己肯定感が下がるような趣味の楽しみ方はしない」ことを心がけてください。
