マネキン、衣装、自撮り…… BL作家のホン・トクに「実物を見ながら描く」こだわりを聞いた

構成/原田イチボ@HEW
新進気鋭のBL作家であるホン・トクさんの初個展「SENSUOUS HEAVEN」が、東京・表参道にある「pixiv WAEN GALLERY」にて2月23日まで開催中。約90点のイラストに加えて、キャラクター衣装や等身大パネルなど盛りだくさんの展示です。

ギャグマンガ家志望だったはずが、まさかの形でデビュー
── まずデビューのきっかけを教えてください。

縦読みマンガのアプリの会社に持ち込みをして、そこでスカウトされてデビューしました。ギャグマンガ家志望だったんですが、編集さんに「ギャグマンガは足りているから」と言われてしまい、最初のお仕事はノベルのコミカライズでした。それから、女性向けノベルのコミカライズなど、あっちこっちの媒体でいろんな作品を描いて、今は商業作家になって5年目くらいですかね。昔は作風が全然違って、動物のギャグマンガを描いていたんですよ。それなのになぜ最初の編集さんがコミカライズの仕事を私に任せたのか、いまだに謎です(笑)。
── ギャグマンガ家志望だったとは! 「でんぢゃらすじーさん」シリーズの大ファンだと聞いて少し意外に感じていたのですが、納得がいきました(笑)。

いや~、もう大好きなんですよ……! たまに自分の作品にも片鱗が出ている気がします。
── 他に影響を受けたクリエイターはいますか?


── もともとギャグマンガを描いていたなら、ストーリーマンガを描くにあたって苦労したんじゃないでしょうか?

── 昔の作品を見ると、もうちょっとアニメ寄りの画風で、今とはまた雰囲気が違いますね。

過去の絵はキャラクターが幼い感じでしたが、BLデビューが決まったとき、頭身など体の描き方を変えました。もちろん人によって好みはありますが、自分の場合、BLだと高めの頭身のほうがしっくりきました。
マネキンに衣装を着せて、服のシワを確認する
── ホン・トクさんは、リアル寄りの肉感的な画風が魅力です。専門的に人物デッサンを学んだ経験はありますか?

勉強嫌いなので、実は全然なんですよね……。専門学校に通ってはいましたが、あくまでマンガ専門コースだったので、絵自体は完全に独学です。自分で構造を理解していないと描けないタイプなので、「実物を見ながら描く」というのは徹底しています。
ドールと等身大マネキンを持っているので、その都度ポーズなどを確認しています。服もマネキンに一式着せてみてシワなどを確認しています。靴、スーツ、中華風ファンタジー系の衣装と参考資料がたくさんあるせいで、クローゼットの中身がコスプレイヤーの方みたいなんです(笑)。

ホン・トクさん所有のドール

── 「実物を見て描くのがいい」とはよく言われますが、そこまで徹底されているとは……!

── 実物を見ながら描きたいタイプであれば、中華風ファンタジーは苦労されているのでは?

そうですね、でも会社員の経験がないので、オフィスが舞台の『オフィスの豹』も調べなきゃ描けませんでした。だから、オフィスも中華風ファンタジーも同じくらい大変です(笑)。

── 情報としての正しさと、自分の想像力とのバランスをどのように取っていますか?

── 中華風ファンタジーはもともとお好きなんですか?

天野洋一さんの『AKABOSHI―異聞水滸伝―』という作品をきっかけに、学生時代からずっと好きなジャンルです。中華風ファンタジーは武器の種類もいろいろあるし、衣装も華やか。描けるものの幅の広さに魅力を感じています。
スーツは体に合ったサイズ感が大事
── ホン・トクさんは体格差萌えだと聞きました。体格差って描くのが難しくないですか? 「身長差○センチなら、この体勢のとき相手の顔がこの位置にきて……」というイメージが全然掴めず困っています。

基本的には3Dデッサン人形に頼っています。身長・体型を設定できるから便利なんですよ。あとは身長180センチのマネキンを持っているので、それで大きさのイメージを掴んでいます。ただ『狐艶伝』の高春(こうしゅん)は身長190センチなので、最近はマネキンをさらに10センチの台に乗せて使っています。
── やっぱり実物にこだわるんですね。

オタクって、好きなキャラの身長のところで壁にマスキングテープ貼ったりするじゃないですか。それと同じです(笑)。
── ホン・トクさんは、色っぽい男性キャラを描くことに定評がありますが、男性キャラを描く上で何かコツはありますか?

── スーツを着た男性キャラも魅力的です。スーツ姿をかっこよく描くためのテクニックは何でしょうか?

── 資料として衣装をたくさん集めていますし、衣装フェチな部分があるんでしょうか?

それはもうめっちゃくちゃフェチですね……! ヒラヒラした衣装が大好きです。風になびかせたりして、いろいろなシワが描けますからね。ヒラヒラした衣装は、シワの自由度が高いんです。シワ描くのが好きなんで……。
── 服のシワに対して熱い! ほかに描いていて楽しいところはどこですか?

── 塗りのとき、ほとんどレイヤーを分けないと聞きました。

── カラーイラストの場合、大体どれくらいの日数で完成させていますか?

スランプに陥ったときも、とにかく描き続ける
── 個展のメインビジュアルは迷走したとのことですが、創作していて結構悩むタイプですか?

かなり悩みます。メインビジュアルを描いたときは、描きすぎて、もはやわけがわからなくなっていました。納得する絵が全然描けなくて……。
── スランプの脱出方法はありますか?

── おすすめの絵の練習方法はありますか?

── ホン・トクさんご自身は、今練習でしていることはありますか?

── しっかりした作風がある上で、パステルで絵を描くことにも挑戦してみたり、絵の描き方に関して変化を全く恐れませんね。

「今の自分のままでいい」とは絶対なりません。ちょっとクサい言い方になっちゃいますが、ずっと何かを求め続けているんです(笑)。自分の絵に100パーセント納得がいくことがないぶん、「もっと上手くなりたい」という気持ちがずっとあるのかもしれません。
個展の見どころは、約2メートルに及ぶキャラクターの等身大パネル
── 個展のタイトル「SENSUOUS HEAVEN」に込めた意味を教えてください。

「SENSUOUS」は官能的という意味なので、私の絵を一言で表すならそれかなぁと。あと前から「HEAVEN」というのを何かのタイトルに使ってみたかったので、ふたつの言葉を組み合わせました。
── メインビジュアルは、どのように生まれましたか?

── 展示の見どころを教えてください。

高春の等身大パネルです。等身大パネルにずっと憧れていたんですが、私のキャラは高身長なので、なかなか作るのが難しいんですよね……。それが今回実現したので、私自身、とても楽しみです。

展示担当者が大型パネルに対応してくれるメーカーを見つけ出して実現した全長2メートルにも及ぶ等身大パネル
── ホン・トク先生持ち込みのキャラクター衣装もあると聞きました。


── 初個展に続き、初画集『IDEAL』も2月10日に発売されますね。今後の目標は何ですか?

── 開催中の個展「SENSUOUS HEAVEN」&発売中の画集『IDEAL』を、ぜひチェックしてみてください!
ホン・トク初個展「SENSUOUS HEAVEN」開催中!
pixivとツインプラネットが共同運営するギャラリー「pixiv WAEN GALLERY by TWINPLANET × pixiv」にて、ホン・トクさんの初個展「SENSUOUS HEAVEN」が開催中です。
ホン・トクさんがこれまで手掛けた漫画作品のイラストを中心に約90点を展示します。キャラクターの再現衣装や、描き下ろしイラストの等身大パネルなど、作品世界を体感できる展示となっています。
開催期間:2月4日(金)~2月23日(水)
定休日:なし
入場無料
所在地:東京都渋谷区神宮前5-46-1 TWIN PLANET South BLDG. 1F
営業時間:12:00~19:00
※混雑時は整理券対応をさせていただく可能性がございます。あらかじめご了承ください。
※新型コロナウイルスへの対策について
ホン・トク個展「SENSUOUS HEAVEN」について、現時点では2月23日(水)までの開催を予定しております。今後も状況を注視しながら対応を進めてまいりますが、新型コロナウイルスの感染状況により、開催期間に変更が生じる場合がございます。販売商品や来店方法等を含め、運営状況については、随時pixiv WAEN GALLERY公式HP、公式Twitterにてお知らせさせて頂きます。何卒ご理解賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。