現役学生マンガ家・千種みのりさんが考える「デビューのために10代でやっておいたほうがいいこと」とは

今年7月に初イラストマンガ本『色づく季節と隣のキミと』(KADOKAWA)を刊行し、『ココロ色づく恋がしたい』を連載中のマンガ家・千種みのりさんは、現役の専門学生です。弱冠19歳でデビューを果たし、学生生活を過ごしながら、マンガ連載、ライトノベルの挿絵、Vtuberのデザインと順調に活躍の場を広げています。
あこがれの学生デビューを実現するためには、どんなことを意識して創作すればいいのでしょうか? 千種さんに作業環境からインプットの方法まで語ってもらいました。
構成/原田イチボ@HEW
本来はイラストレーター志望。意外なマンガ家デビュー
── まずデビューのきっかけを教えてください。

趣味でSNSに投稿していたマンガを見かけた編集者さんにお声がけいただいたのが始まりです。ただ、実は私はもともとマンガ家志望ではありませんでした。
── クリエイター自体へのあこがれはあったんですか?

はい。でも、あくまでイラストレーター志望だったんです。SNSに趣味で投稿してはいるものの、マンガをそこまで本格的に描いた経験はなく、むしろ自分はストーリーを考えるのが苦手なほうだと感じていました。だからお声がけを受けて迷いはしたのですが、商業でまだ何の経験もないからこそ、ここで挑戦してみてもいいんじゃないかと考えました。今もマンガに関しては勉強の日々です。
── デビューにあたって周囲に相談しましたか?

── 学生デビューで苦労したことはありますか?

メールのやり取りは慣れないので大変です。バイトの経験はあっても、ビジネスメールを書いたことは全然ないので……。来たメールをもとに見様見真似で返信しています。
── 専門学校との両立で、スケジュール的な苦労はありませんか?

専門学校でも絵の勉強をしていて、学校自体が「就職か、デビューか」みたいな感じで時間割も自由に組めるので、スケジュール的な大変さはそこまで感じていません。学校でも個人名義でも毎日何かしら絵を描いている生活ですね。ただ1日のノルマはそこまで决めず、「今日は充電が切れたから止めよう」のような気ままな制作ペースです。だから〆切直前はだいぶ苦しんでいます(笑)。
美少女キャラ単体というより、「このキャラとこのキャラ」の関係性が好き
── 千種先生の作品は、「青春」や「イチャイチャ」がキーワードになっている作品が多いですが、昔からラブコメがお好きなんですか?

── 影響を受けた作家さんはいますか?

『わたしに××しなさい!』などの作品を発表している遠山えま先生のキラキラした絵柄が好きで、一時期よく真似していました。あと『がっこうぐらし!』の作画担当の千葉サドル先生の絵も真似ていました。中学生までは、好きなマンガ家さんやイラストレーターさんの絵柄にひたすら寄せて描いていましたが、そのうち自然と今の自分の絵柄にたどり着きました。
── 千種さんの作風は、いわゆる「男性向け」ジャンルのようなフェチ感もありながら、少女マンガ的なときめき要素もあります。どこにルーツがあるんだろうと考えていました。

たしかに女性の身体へのこだわりはあります。ただ、美少女キャラ単体というより、「このキャラとこのキャラ」という組み合わせの関係性を愛でるタイプなので、そういう点では少女マンガっぽさもあるのかもしれません。
── 男女どちらの読者が多いのでしょうか?

1年ほど前、Twitterで性別をアンケートしたときは、4分の3が男性という結果でした。
── 特に読者に人気のシチュエーションはどんなものですか?

男性読者には、ただ「かわいい」「きれい」よりも、タイツとかニーハイとか少しフェチっぽいイラストのほうが刺さるみたいです(笑)。
── 千種さんのイラストは、女性キャラの柔らかそうな体つきが印象的です。どんなものを資料にしていますか?

グラビア写真などを用意した上で、いろんなイラストレーターさんのイラストから「デフォルメの仕方」を参考にして、三次元を二次元に上手く落とし込むやり方を探っていくイメージです。普段から「とにかく資料をよく見て描く」ということは意識しています。資料をチェックしていると、自分の記憶と現実が全然違っていたことによく気づきます。だから、自分の頭の中だけをもとに絵を描かないように気をつけています。
インプットをする上で影響を受けた講師の言葉
── イラストマンガで描いているようなキュンとくるシチュエーションは、どのように思いつくのでしょうか?

布団に入っているときに思いつくことが多いです。でもどうしてもアイデアが出てこないときもあって、そういう場合は、いろんな作家さんのマンガやイラストから刺激を受けてひねり出しています。
── 自分の手が止まったときは、インプットに立ち返るんですね。インプットで心がけていることはありますか?

ゲームでもマンガでもイラストでも「これ好きだな」と感じただけで終わらせず、何がどう気に入ったのか分析するようにしています。よく観察するだけでなく、自分で描いてみることもあります。やっぱり実際に手を動かすと、「ここはこうなっているんだ」と、細かい部分で発見がありますから。
特に衣装などのデザインは、インプットをたくさんしないと限界があると感じています。気になったキャラクターを模写して、そのデザインを自分の中に蓄積するのが、個人的に一番簡単で楽しいインプットの方法だと思います。
── インプットのやり方は、「興味がないジャンルも含めて幅広く触れる」派と「自分の好きなジャンルを狭く深く掘る」派のふたつに大きく分かれるかと思います。千種さんはどちらですか?

それで言うと、好きなものを深堀り派ですね。アニメやマンガからのインプットがほとんどですが、三次元のものにも意識して触れるようにはしています。というのも専門学校の先生が「アニメはすでに『絵』として完成されたものだ。だから現実のものを参考にして、それをいくつか組み合わせることで自分なりの絵を生み出すほうが、オリジナリティやリアリティが増す」と話していたからです。
実際の教室をすぐ確認できる環境は、実はかなり便利?
── 千種さんのように若くしてデビューすることにあこがれている読者も多そうです。千種さんが思う「10代でやっておいたほうがいいこと」は何ですか?

それと私自身のデビューのきっかけがSNSだったので、SNSで作品を発表して損はないと思います。「まだ他人に見せるレベルじゃない」と気が引けるかもしれませんが、自分ではまだまだと思っていても、今の絵を気に入ってくれる人がいるかもしれません。だから、どんどん作品を投稿していけばいいんじゃないでしょうか。

あと実際の教室の風景などをすぐ確認できる環境は、今から思うとかなり便利でした。中学や高校を卒業してしまうと、「学校のあれってどうなっていたっけ?」と思っても実物をなかなかチェックできないので……。
── 卒業しちゃうと、学校のプールとか一切見る機会がないですもんね。

── イラストを描くとき、特に意識しているポイントはどこですか?

瞳ですね。個人的な意見として、こういうアニメチックなイラストは、顔周り、なかでも瞳が一番目を引くパーツだと思っています。だからキラキラ感を上手く出せるように気をつけています。とはいっても、瞳の描き方はルーティーンとして手に染み付いているので、実際イラストを制作するとき、そこまで描くのに時間がかかるパーツというわけでもないんですけどね。「描き慣れてはいるけど、絶対に失敗したらいけない部分」という認識です。


今回の記事で描き下ろしていただいた作品の制作過程。線画や下塗りの時から瞳の印象がハッキリとしている(完成作品は記事末でご紹介しますのでお楽しみに!)
「この俳優さんの履いているズボンの皺がめっちゃいい!」
── ずっとオリジナルで創作をしていましたか?

SNSを始めたばかりの頃はファンアートが多かったんですが、気づいたらオリジナルを描くようになっていました。でも中学生のときからオリジナルキャラクターを考えること自体は好きでした。
私は専門学校の受験だったので、周りのみんなほど受験勉強が必要じゃなくて、高校3年生の頃は少し暇だったんです。そのとき落書きしたキャラをブラッシュアップしたものが、『色づく季節と隣のキミと』や『ココロ色づく恋がしたい』に登場するキャラクターたちです。最初は単なる落書きでも、いろいろ設定を考えるうちに愛着が湧いてきました。
── 魅力的なキャラクターを作るために意識していることはありますか?

見た目も内面も、まずは「自分自身が好きだと思えること」を大事にして描いています。だから、ついツリ目とかパッツン前髪とか私が好きな要素ばっかり増えちゃうんですけどね(笑)。ストーリーとの関係があるのでマンガを描くときはまた別ですが、気ままにキャラクターを考えるときは、まずビジュアルから決めることが多いです。先にビジュアルを作ってから、「この子はどういう性格をしているのかな?」を考える順番です。
── イラストレーターやマンガ家の方々は、同じものを見ていても少し違った部分に注目されることが多い印象です。千種さんもそのようなエピソードはありますか?

ノートPC「MSI Summit E13 Flip Evo」を使ってみた感想

── 作業環境を教えてください。

ノートパソコンに板タブで、ソフトは「CLIP STUDIO PAINT PRO」を使っています。アナログからデジタルに移行したのは小学4年生のときで、パソコン付属の簡単なお絵かきソフトで絵を描くようになりました。あとは中学2年生くらいに友人の母親が同人活動をしていたんですよ。その方に「こういうソフトがあるんだよ」と「CLIP STUDIO」の存在を教えてもらって、その後、自分の誕生日に家族に買ってもらいました。
── パソコンやタブレットを選ぶ上で気にするポイントはどこですか?

私はすごく機械音痴なので、ネットのクチコミや店員さんの意見を参考にして何とか選んでいる感じです。ただ、失敗した経験もあります。評判がいいペンタブレットを買ってみたら、私が求める描き心地とはちょっと違って、結局また別のものを買い直しました。それからネットで情報収集するにしても、ペンタブは実際試すようにしています。10人中8人が「いい」と感じたものが自分にとってもいいとは限らないので。まぁペンタブ以外にも言えることかもしれませんが……。
── エムエスアイコンピュータージャパン株式会社から発売されるノートPC「MSI Summit E13 Flip Evo」の提供を受けたそうですが、使い心地はいかがですか?

タブレットみたいに薄くて軽いのに、動作がとても速いところに驚きました。高校生まで使っていた古いパソコンはお絵描き中にフリーズしてしまうことがありましたが、これは「CLIP STUDIO PAINT PRO」をインストールしても容量にまだまだ余裕があります。
描いて消してを繰り返してもスムーズに動いてくれるので、楽しく絵を描くことができました。


千種さんの目の描写は、細かなレイヤーを分けず一気に描き込むスタイル。引きと寄りをこまめに切り替えてもサクサク動いてたのが印象的でした。

── たしかに。液タブ感覚でイラストが制作できる上に、普通のパソコンとしても使えるのがうれしいポイントですね。

はい。あと付属のペンが軽くて持ちやすいので、長時間の作業でも手が疲れにくいです。

4096段階の筆圧感度と、傾き検知に対応したMPP2.0対応のMSI Pen。USB-Cで充電することができ、最大65時間の使用が可能。
── 現在、学校の授業は基本的にリモートですか? それとも学校に行く日もあるんでしょうか?

たまに学校に行く日もあります。このパソコンはA4サイズくらいなので持ち運びにもよさそうですよね。今はどうしても外出しづらいですが、気分転換に外で作業するのに向いていると思います。たとえ持ち運びをしなくても、スペースを取らず机にすっきり収まってくれるのがうれしいです。
── イラスト制作以外だと、普段どんなふうにパソコンを使っていますか?

それが私、機械に弱くて設定とかが全然できないので、パソコンは基本的に絵を描く以外で使っていないんですよ……。もともと持っているパソコンはネットワークに繋いでいません。なので、資料探しも全部スマホでやっています。「ちょっと写真が小さいな」と感じる場面も正直あるんですけどね……。
── そういうときは、ぜひ「MSI Summit E13 Flip Evo」を活用していただいて……(笑)。

はい(笑)。


PCとして使いたい時は、スタンダードなノートPCモードでレポートや資料探しなどで集中力もアップ。また低ノイズウェブカメラを備えており、オンライン会議や作業配信にも快適です。
── ご自身が使ってみて、「MSI Summit E13 Flip Evo」はどんな人に向いていると思いますか?

「CLIP STUDIO PAINT PRO」を使うような本格的な作業を出先でもやりたいですね。あと、「MSI Summit E13 Flip Evo」はタブレット感覚で気軽に使える一方で、パソコン向けの本格的なお絵描きソフトも入れられます。「これまでタブレットでお絵描きしていたけど、だんだん機能などが物足りなく感じてきた」という方は、次の選択肢にいいんじゃないでしょうか。
── 最後に、千種さんのクリエイターとしての今後の展望を教えてください。

もともとイラストレーター志望ですし、マンガのお仕事に加えて、イラストのお仕事もどんどん担当していきたいです。昔からアニメやライトノベルが大好きですし、キャラクター原案や挿絵など、そういった形でいろいろな作品に関わっていけたらうれしいですね。これからも頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします!
── 本日はありがとうございました!
完成イラスト&動画はこちら!

※1:5GHz帯に対応。6GHz帯の使用に関しては、各種法令をご確認の上製品をご利用ください。
※2:Thunderbolt、USB PD、Alt Mode非対応
プレゼントキャンペーンを実施中!
この度レビューしていただいた「Summit E13 Flip EVO」および「Summit E16 Flip」シリーズをご購入いただいた方に、千種みのり様の使われているものと同じ「CLIP STUDIO PAINT」をプレゼントするキャンペーンを実施しております。応募詳細はこちらをご覧ください。
千種みのりさんが使ったパソコンの詳細はこちら
■スペック
製品シリーズ名 Summit E13 Flip Evo A11
型番 Summit-E13FlipEvo-A11MT-015JP
JAN 4526541190773
OS Windows 10 Pro
ディスプレイ 13.4インチ、WUXGA(1,920×1,200)、グレア、sRGB相当、タッチ機能対応
CPU インテル Core i7-1185G7(3.0GHz / Turbo 4.8GHz / 4コア8スレッド)
GPU インテル Iris Xe グラフィックス
チップセット CPU内蔵
メモリ規格/容量 32GB LPDDR4X オンボードメモリ
メモリ空きスロット ―
SSD 512GB(M.2 NVMe)
SSD専用空きスロット ―
HDD ―
有線LAN ―
無線LAN IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.2 ※1
キーボード シングルカラーバックライト内蔵テンキーレス日本語キーボード
スピーカー ステレオ2スピーカー
Webカメラ 92万画素(顔認証機能対応、マイク内蔵)
メモリーカードリーダー microSDカードリーダー(microSDXC対応)
I/Oポート Thunderbolt Type-C(USB4、USB PD対応)×2、USB3.2 Gen2 Type-C ×1 ※2、USBUSB3.2 Gen1 Type-A ×1
ヘッドホン出力 (Hi-Res対応)/ マイク入力 コンボジャック× 1
本体カラー インクブラック
バッテリー リチウムイオン、70Whr、4セル、4,395mAh
バッテリー駆動時間 最大18時間(JEITA 2.0)
本体サイズ(WxDxH/mm) 300.2×222.25×14.9mm
本体質量 1.35Kg
■保証期間及び修理対応可能期間
製品本体国内保証:お買上げ日より2年間
修理:製品発売日から起算して3年間
ACアダプタ及びバッテリー:お買上げ日より1年間の国内保証
グローバルワランティー:お買上げ日より1年間
■付属品
・専用ACアダプター付属
・専用スリーブケース
・MSI Pen