会社員兼業でも絵を発表し続ける「作業をシステム化するコツ」とは?イラストレーター・じゅん インタビュー

構成/原田イチボ@HEW
イラストレーター・じゅんさんの初個展「SWORD'S & FOOD'S」が、2021年9月24日(金)~10月13日(水)に、東京・表参道にある「pixiv WAEN GALLERY」にて開催。人気シリーズの『タベガール』『武姫Weapons』を中心に、版権作品を含め約300点という大ボリュームでイラストが展示されています。
じゅんさんは、株式会社CyDesignation所属のイラストレーターとしてキャラクターデザインやイラスト製作を担当する一方で、個人名義でも作品を発表しています。多忙なスケジュールの中でも創作を続け、コンスタントに絵を発表し続けるコツを聞きました。
しっかりしたコンセプトがあれば、オリジナル作品でも反応がもらえる
── じゅんさんの経歴を教えてください。

── ゲーム業界への思い入れが強いんですか?

── 熱いコメントありがとうございます! 「イラストレーターじゅん」としての個人名義の活動はどのように始まったんでしょうか?

── 「フォロワーが増えた」というのは、『タベガール』や『武姫Weapons』がきっかけですか?


── じゅんさんの手を飛び出して、「何か食べている女の子のイラストを投稿するときは、『タベガール』のハッシュタグをつける」というムーブメントが起きましたよね。

すこし恥ずかしいですね(笑)。食べている女の子というジャンル自体は大昔から存在しますが、そこに『タベガール』というキャッチーな名前をつけたことが大きかったかもしれません。僕は『ドラゴンズクラウン』などヴァニラウェアが開発するゲームが好きなんですが、ヴァニラウェアのゲームって食事のシーンが印象的なんですよ。そこから「この感じをイラストに昇華できないかな?」と刺激を受けた部分もあります。僕が100%オリジナルなわけではなく、いろんな作品からインスピレーションを受けて生まれたジャンルだと思っています。
ストーリーを想像して、一番盛り上がるワンシーンをイラストにする
── 『タベガール』や『武姫Weapons』のように、ひとつのテーマを定めて描き続けるときに意識していることはありますか?

── では、ひとつひとつの絵に裏設定みたいなものが想像するんでしょうか?

── だからこそ、見ている側もいろいろ想像がふくらむイラストに仕上がっているんですね。

── あと『タベガール』でお聞きしたかったんですが、どういうポイントを意識すれば、こんなにおいしそうな食べ物が描けるのでしょうか? 一生懸命に描けば描くほど、まずそうな見た目になります……。

── なるほど。描き込もうとするあまり、ブツブツやギザギザが強調されて、柔らかさから遠ざかっていたのかもしれません。
「とにかく頑張ろう」みたいな漠然とした状態は危険
── じゅんさんは、会社の仕事もしながら、個人名義の仕事もして、1日どれだけイラストを描いているんでしょうか?

── 日々たくさんの仕事をこなす中で、思うように描けないタイミングはありませんか?

── じゅんさんは、もともと切り替えが上手な性格だったんですか?

── スイッチングが大事だと理屈ではわかっていても、実践するのに苦労している人は多そうです。

── なるほど。ただ「頑張る」ではなく、スケジュールを仕組み化していくイメージですね。

── 会社員をしながら個人名義でもコンスタントに作品を発表し続ける背景には、ロジカルな工夫があるんですね。

── 論理に裏打ちされた根性論というか。

デッサンの知識があるから、魅力的な「あえて」が選べる
── じゅんさんは学生時代からデッサンを本格的に勉強して、一時は画塾でバイトしていたそうですね。美術的な知識があるからこそ、「イラストとして見栄えをよくするためのウソ」とのバランスに悩むことはありませんか?

── ということは、どうせ崩すからといって最初からデッサンなどを勉強しないのは違う?

それは全然違います。もちろん美術的な理論抜きでいきなり魅力的な絵を描ける方がいるのも事実ですが、僕のようにいったん正確な型を知ることが性に合っている人も大勢いると思います。3Dデザイナー時代にすごく勉強になったのが、3Dってまず正確なモデリングが存在した上で、「これにポーズを取らせて良い絵にするにはどうすればいいんだろう?」を考えるんです。見栄えを良くするためには、正確なモデリングの足を伸ばしたり、手を大きくしたりする必要があります。あの作業には、絵の精髄が全部詰まっていたように感じます。
最初から崩れているのと、正解を知った上で崩すのは大違いです。「現実だと足がもっと小さく見えるんだろうけど、ここはあえて大きく描こう」とか、もちろんやり方は人それぞれですが、知識があるからこそ、魅力的な「あえて」が選べる場面もあると思います。
バズらなくても、絵に魅力がないわけではない
── じゅんさんはアースカラーなど落ち着いた色味を使うことが多いですよね。それでもイラストが地味にならないように、どんなことに注意していますか?

「色味がダサい」って昔めちゃくちゃ注意されたんですよ(笑)。だから彩度の高い色をたくさん使おうとした時期もあったんですが、僕の絵柄と壊滅的に合わなかったんですよね……。「俺のセンスはこっちじゃない」と受け入れて(笑)、暗い色の中で試行錯誤するようにしたら、イラストにまとまりが生まれました。
具体的には、ブラック、ホワイト、グレーの配置に気を使うようになってから変わったと思います。ここで言うブラック、ホワイト、グレーというのは、色そのものではなく、明度の話です。白黒にしたとき、それでも魅力的に見えるならば、明度の配置がいいということです。一部がスカスカに見えたり、逆に重苦しく見えてしまうのだったら、明度の配置から考え直したほうがいいと思います。
── 作業で時間がかかる工程はどこですか?

── Instagramでは、作業工程を動画で公開していますよね。描き進めた段階でもイチからやり直すところに驚きました。「これじゃない」という判断はどのように下していますか?

── SNSで作品を発表し続ける上で大切な心構えを教えてください。

無心になることですね。どうしても他人の評価が気になってしまう場所ではありますが、絵を描いてきた経験はそれぞれ違うし、その時々の流行のテイストというものもあります。僕も昔、ドラクエのファンアートを描いていたときは反応がよかったのに、オリジナル作品をアップした途端に反応がなくなってしまいまして。けっこうショックな出来事ではありましたが、それとこれとは別というか、SNSはそういう場所だから悩んだって仕方ないんですよね。
バズる快感は強い原動力になりますが、バズらなかったからといって、あなたの絵に魅力がないわけじゃありません。だから結局は苦しみながらも描き続けるしかないんでしょうね。どんなに上手い人だって、それぞれの悩みがありますし、苦しまないクリエイターはいません。……まぁそう言われて「なるほど。じゃあ安心だ」とすぐ落ち着けるなら苦労はしませんが(笑)、やっぱり苦しみ続けることでしか道は見えてこないんだと思います。
「イラストレーターじゅん」が誕生するまでをさらけ出した
── 初個展「SWORD'S & FOOD'S」のキービジュアルについて教えてください。

── 個展の見どころを教えてください。

── イラストレーターとして、今後の展望を教えてください。

── どうもありがとうございました!
じゅん初個展「SWORD'S & FOOD'S」開催中!
pixivとツインプラネットが共同運営するギャラリー「pixiv WAEN GALLERY by TWINPLANET × pixiv」にて、じゅんさんの初個展「SWORD'S & FOOD'S」開催中です。
『タベガール』『武姫Weapons』などの人気シリーズはもちろん、オリジナル作品、版権作品ふくめて300点以上の大ボリュームで展開します。じゅんさんのイラストレーションのこれまでの軌跡を追うことができる展示となっています。
開催期間:9月24日(金)~10月13日(水)
定休日:なし
入場無料
所在地:東京都渋谷区神宮前5-46-1 TWIN PLANET South BLDG. 1F
営業時間:12:00~19:00
※混雑時は整理券対応をさせていただく可能性がございます。あらかじめご了承ください。
※新型コロナウイルスへの対策について
じゅん個展「SWORD'S&FOOD'S」について、現時点では10月13日(水)までの開催を予定しております。今後も状況を注視しながら対応を進めてまいりますが、新型コロナウイルスの感染拡大により、開催期間に変更が生じる場合がございます。販売商品や来店方法等を含め、今後の運営状況については、随時pixiv WAEN GALLERY公式HP、公式Twitterにてお知らせさせて頂きます。何卒ご理解賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。