応募総数1,600作品以上!第3回百合文芸小説コンテスト、結果発表

2020年11月17日(火)~2021年1月31日(日)まで開催していた、コミック百合姫×SFマガジン×ガガガ文庫×書泉百合部×pixiv「第3回百合文芸小説コンテスト」の受賞作品がついに決定!
女性同士の恋愛や友愛をテーマにした小説を募集した本コンテストでは、1,600以上の応募作品が集まりました。
厳正な審査の結果、受賞となりましたのは以下の作品です。
みなさま、たくさんのご応募ありがとうございました!
大賞
百合姫賞
選評:売れない声優YouTuberである主人公「ゆにまる。」。そんな彼女に「遺書を葬式で読んで欲しい」と依頼してきた「紺野さやか」という女性、
二人のキャラクターがしっかり立っていて魅力的に描かれている。
終盤はやや急ぎ足になってしまっていたが、二人の関係性がどうなるのか非常に気になる作品。
SFマガジン賞
ガガガ文庫賞
選評:スケバンを語る語彙が秀逸!ライブ感あります。学園ものでありながら登場人物の家庭の描写もいきいきとしていて、青春映画の良作の手触りです。
こちらの第一話を含む「絶対安全不良少女」シリーズとしての受賞です。
書泉百合部賞
選評:初めて人を好きになった時の独りよがりな感情を短編でここまで想像させる人物描写が凄いです。超エモーショナルな読後感の青春百合でした。筆力を感じるので、別作品も読んでみたくなりました。
pixiv賞
選評:これぞ学生百合の王道! 先輩・後輩サイド両方を書くとともに回想シーンも挟む事で先輩と後輩お互いの出会いから別れ、今この時の二人の感情がとても伝わってきました。これには私も百合見守りオジサンになって思わずニッコリです。この二人のその後も読んでみたくなるとても良い作品でした。
選評:患者(の人格)を「きみ」と呼ぶ文はゲームブック形式なのかと思わせる導入で"脳内で展開される会話劇"という難解さを上手く噛み砕いており、良質なSFでした。最後まで患者の性別が不明のため百合は薄めですが、主人公が脳内の声との遣り取りのなかで心を癒していく過程に友愛を感じました。
選評:自分への好意によって巨大化が止まらない幼なじみと理想の世界へ旅立っていく。SF的でちょっとびっくりな展開ながらも話のテンポがよく描写に勢いもあり、爽快な疾走感がありました。
選評:旧校舎の女子トイレでレジャーシートを敷き、昼食をとる筑葉。そんな彼女と偶然出会い交流を深めていく近見。理不尽な暴力の描写を鮮明に描くことで、止めに入れなかった近見、最後に引き金を引く決断をしてしまった筑葉、両者の行動に説得力を持たせていました。この作品の良さを凝縮して一言で表したようなタイトルも素敵だと思います。
選評:姉がかわいがる猫を探しまわる主人公の上に空から沢山の猫が降ってきて...。姉妹百合とSF(すこしふしぎ)を非常に上手くまとめたとても良い構成で、読んでいて楽しい作品でした。
選評:自分に自信のない主人公が、カリスマ美容師との出会いで心も見た目も変わっていく。キャラクター描写がしっかりしているので、奇をてらわない題材ながらとてもキュンときました。二人の関係はこれから百合になるかもしれない……そんなピュアな作品です。
選評:姉を求めていたはずなのに、妹を語る異常者が次々に現れ最終的には妹で宇宙があふれてしまう!頭が混乱しそうな冒頭から雪だるまのように話が転がっていくとてもスリリングな展開で、最後のオチもしっかり決まっていました。
選評:両親に捨てられアルバイトを掛け持ちし生活するというハードな境遇の主人公が、光る竹を発見。中からは美少女という幸運なのかさらなる悲劇なのか分からない展開に笑ってしまいます。一見、SF・コメディ要素が強いですが、一人で生きていくことにしがみついていた主人公の変化を描くヒューマンドラマ百合でもあります。
こちらの第一話を含む「かぐやとエリ」シリーズとしての受賞です。
選評:「他者から愛されること」と「自分を愛すること」を主眼に置きつつ、最後主人公が自分の罪に対して責任を負う事で物語を完結させたことがとても誠実だと思いました。海外もののハードボイルドのような重厚な描写にも引き込まれました。
選評:アイドルヲタが高じて推しの事務所に入ったファンと推しの話。熱い展開と完成度の高さで一気に読めます!気持ち悪い感じの「好き!!!!」という描写の圧が強くて面白いです。
こちらの第一話を含む「女ヲタがガチ恋で何が悪い」シリーズとしての受賞です。

種垣まほろは霊を喰う
by 片里
選評:やっかいな生霊に取り憑かれた主人公と、除霊はできないけれど霊を食べ消すことはできると言う心霊処理人。とにかくキャラクターにインパクトがあり、設定もユニーク。ぐんぐん読み進めていけました。まだまだすくい切れていない要素がたくさんありそうなので、シリーズ長編で読みたいと思ってしまう一作でした。
選評:行動したが救えなかった、行動してもらえたことで救われたと考える2人のすれ違いから始まり、最後はまた不穏な関係性の始まりを予感させる百合小説です。暗い話ですが少女の感情は表面化していないので、この先、好転も暗転も選択できそうな上手い終わらせ方です。続編を期待したくなる一作でした。
選評:美容院の店長と共に暮らすお手伝いロボットが、パーツ目当に誘拐されてしまうという一見物騒な展開ですが、語り口は穏やかで非常に読みやすい文章で描かれています。ロボットと人間の差異というテーマを初手で提示して、回収まで行き着く手際も鮮やかでした。途中まで百合感は薄めですが、最後の最後にぐっときます。
「百合文芸小説コンテストセレクション3」発行予定
この度はたくさんの作品をご応募いただき、ありがとうございました。
そして受賞者のみなさま、おめでとうございます。
受賞作は今後、コミック百合姫へのイラスト付き掲載やコミカライズ等を予定しています。
また、短編部門で受賞された作品は冊子「百合文芸小説コンテストセレクション3」に収録予定。

冊子の表紙イラストレーターは赤倉さん。今回、ご自身初の百合イラストを描かれた赤倉さんより、コメントもいただきました!

容姿やシチュエーション、色彩などとにかく自分の「大好き」を詰め込みました。
二人がどういう関係でこれはどういったシーンなのか、きっと人によって解釈が違うので、是非色んな視点でご覧いただけると嬉しいです。
ちなみに私は文で何かを表現することは苦手で……。繊細な心情変化、読めば読むほど解像度が上がる景色、情報量をまとめて読者に伝える技術など、小説を描かれる皆様のことは常日頃から尊敬しています。
皆様それぞれの思いや表現、知識でもって描かれた百合の世界、拝読するのが非常に楽しみです!
冊子は夏ごろ完成予定です。
お楽しみに!