ちょっとした時間に楽しめる「5分で読める」小説5作品 ／pixiv小説選集

「風のつよい日に家に帰ると、妻が片腕だけになっていた」という衝撃的な書き出しで始まる作品。しかし、読み進めるととすぐに、事故などが原因でそうなったわけではないことに気付きます。

奇想を出発点として、最後まで駆け抜けていくような文章が魅力的でした。

理由もなく、誰かに対して残酷な感情を抱くことはありませんか？　この作品の語り手は、突然「夫を殺したい」という思いに駆られてしまいます。優しい夫に不満はない。でも、殺したいという気持ちはある。この気持ちはどこからやってくるのか……。

日常の中に潜む不条理な狂気をリアリティたっぷりに描く掌編作品です。

5分で読めるプチミステリー。彼女によると、彼女のいとこである「ちーちゃん」は、“青”という言葉で母を連想するらしい。なぜ彼女は、そんなことを教えてくれるのでしょうか？

2000字強の中に仕掛けがぎゅっと詰まった一作です。

春。5時間目の国語の授業。クラスメイトは全員泥になった。先生はなめくじになる。その先生は「僕」に銃を渡し、「僕」は先生の命令で引き金に手をかけるーー。

ふわふわとした描写が夢のように暖かで美しい幻想譚。不思議な気持ちになりたいときにぜひ。

掃除中に見つけた古いUSBメモリには、幼い頃の娘の写真が入っていた。シャボン玉が好きだった娘の記憶が蘇り、そしてそれが、外を駆け回る孫の姿に重なる。

哀切に満ちあふれた、読むうちに心がじんわりと痛むような作品でした。