フェチ談義・番外編 3人のBL漫画家が語る、三者三様の奥深い萌えポイントとは?

取材・文/近藤世菜 編集/佐久間仁美
ああ、もう、尊すぎて鼻血出そう……!
多くの女子が魅力的な男性キャラクターに感じるこの気持ち。どうしようもなく萌えてしまうポイントが誰しもひとつやふたつはあるのではないでしょうか。
そんな自分のフェティシズムについて、女子の萌えを熟知した作家さんに語ってもらう企画「フェチ談義」。今回は番外編として、BL専門コミックスレーベル『LOVExxxBOYSpixiv』で執筆中の3人の漫画家、湯煎温子先生・つむみ先生・内海ロング先生にお話を伺いました!
1人目! 湯煎温子先生(『凸凹シュガーデイズ』)
まず1人目は、身長差カップルのあま~い恋物語を描く『凸凹シュガーデイズ』の作者、湯煎温子先生です!
── 湯煎先生は、普段どんな男性キャラに惹かれますか?

── 『凸凹シュガーデイズ』の花峰涙も180cmオーバーの高身長キャラですよね。その相手である松風雄二郎を、平均身長よりちょっと小さめの設定にしたのはどうしてですか?

実は、あまり背は高くなくて筋肉質なキャラも好きなんです。肉がつまっているというか、がっしりしている感じがたまらなくて……! 「(小さい身体を補うように)一生懸命鍛えたんだろうな」って、努力の痕跡が見えるのもいいですよね。



はい。ほかにも、幼馴染っていう設定とか、ラブコメ色が強いストーリー展開とか、私の好きな要素をぎっしり詰め込んで描いています。大好きな赤面と泣き顔もたくさん描けました!
それと、雄二郎が涙にときめいて、思わず男性らしい反応をしちゃう描写は、描くのがすごく楽しかったです(笑)。

雄二郎と涙の身長差は、ギリギリ説得力が出るくらいにしようと意識しました。小さすぎず大きすぎずというか。日本人男性の平均身長が約170cmらしいので、雄二郎はそれより少し小さめの設定にしてあります。階段とか身長差を活かせる小道具を効果的に使うのもいいですよね。もっと使えばよかったです……!
── 湯煎先生ご自身が、描いていてときめいたシーンはありますか?



── 今後、湯煎先生が描いてみたいと思っているテーマや設定はありますか?

これは次回作の構想なんですが、「美形坊主」を描こうかと! 坊主キャラって大抵「地味め」の「良い奴」で、良い役ドコロだけど主役になりきれない惜しいキャラが多いじゃないですか。なので、私なりの「萌える坊主」を主役として描いてみたいなと思っています。頑張ります。
2人目! つむみ先生(『先生、どっちか選んでよ』)
2人目は、双子と教育実習生のちょっと危ない三角関係を描いた『先生、どっちか選んでよ』のつむみ先生。
● あらすじ
粗暴で口が悪いツンギレのノラネコ系兄と、チャラいけど頭はいい策士な家ネコ系弟。 タイプの違うイケメン双子にロックオンされた教育実習生の日南は、実習期間内にどちらと付き合うか選べと命じられ、熱く激しいアプローチに翻弄されることに!?
── つむみ先生は、やっぱり双子フェチなんですか?

はい、双子大好きです。だってカワイイじゃないですか……! 遠藤海成先生の『まりあ†ほりっく』の衹堂鞠也・静珠の関係(双子の兄の鞠也は女装が似合う美少年で、妹の静珠は男装して男子校に通っている)は、特にツボでした。
※ニコイチ:「ふたりでひとつ」というほど、仲が良い関係を指す
── ニコイチ萌え、すごくわかる気がします……!

とにかく、2人がイチャイチャしてるのを見るのが好きなんです。とくに、まったく気が合わなさそうな2人なのに、コンビとしての相性は抜群っていう関係性に萌えます。
キャラ単体だと、女の子にモテる設定のキャラを好きになる傾向があるかもしれないです。自分の中のおじさんが目を覚まして、この子をモノにしなければ……! って思っちゃうんですよね(笑)。
── なるほど(笑)。『先生、どっちか選んでよ』の一星と遊月も、双子であり相棒でもあるという関係性ですよね。

そうですね。一星と遊月は日南先生を取り合うライバルですが、兄弟としてお互いを必要とし合ってる関係性にしたかったんです。というより、この3人の関係は誰か1人でも欠けたら成立しないんじゃないかと思います。


── 一星と遊月は、顔は似ていても制服の着こなしや髪型、性格はまったく違いますよね。どんなふうに設定を決めていったんですか?

はじめに一星の性格を決めたんですよね。自立心が強くて、ちょっとツンツンした感じ。それと正反対にしたくて、遊月は甘えん坊な性格になりました。


うーん、男性らしいあのパーツですかね(笑)。いつも気合を入れて描いていて、重そうな感じに描けると「よっしゃ!」って思います。まあ、修正で消えちゃうんですけど(笑)。
── (笑)。つむみ先生の作品はかわいらしい絵柄なので意外な答えでした!

長いこと絵を描き続けてきたので、どちらかというと可愛い系の絵柄で固定されちゃってるんですけど、実はおじさんとかマッチョとかも好きなんですよ。3次元だと、海外の筋肉質な俳優さんとか大好物なので(笑)。いつかサブキャラでマッチョおじさんを描いてみたい……! それに、かわいい系の絵柄でも、せっかくBLを描くんだから男性らしさを出したいって気持ちもありますね。
── つむみ先生の絵柄でマッチョおじさん……! 楽しみです(笑)。ほかに今後描いてみたいテーマや設定はありますか?

異世界ラブコメを描いてみたいです。くだらないギャグをたっぷり詰め込みたいです(笑)。しかも、主人公が双子だったらさらにおいしい……! 「異世界双子もの」、挑戦してみたいですね!
3人目! 内海ロング先生(『手のひらに幸運の恋人』)
そして3人目は、さえない男と美しい妖精の切ない恋模様を描く『手のひらに幸運の恋人』の作者、内海ロング先生です。
● あらすじ
おれが作ったドールハウスにぴったりの妖精!? 会社でさえない男扱いの春男は、幼馴染みの同僚・山内からも邪険にあしらわれる日々。帰宅後、いつものように趣味のドールハウス作りに勤しんでいると、アンティーク小瓶から小人が飛び出してきて……!?
── 『手のひらに幸運の恋人』には、種族の違う2人のちょっと切ない恋模様が描かれていますが、内海先生は切ないシチュエーションに萌えるほうなんですか?

難しいんですが、「切なさ」はその後に来る幸せな展開への布石として大切って感じですかね。私、創作はハッピーエンドじゃないと嫌なんですよ。ただ、そのハッピーエンドをより際立たせるために必要なのが、すれ違いとか挫折とか、切ないシチュエーションなんだと思います。紆余曲折あっても、最後はちゃんと報われてほしいんです。
── 『手のひらに幸運の恋人』のなかでも、切ないシチュエーションは効果的に使われていますよね。

やっぱり妖精と人間っていう種族を越えた恋愛は、どうしても切ない気持ちにさせられますね。妖精・コウが春男に昔のことを話しながら公園を歩くシーンはとくに切ない……。春男がコウへの気持ちをはっきりと自覚するきっかけになるシーンなので気合を入れて描きました!


── たしかに、すごくキュンとするシーンでした。

── 背中で語るの、いいですよね! ちなみに、内海先生は普段はどんなキャラクターに惹かれやすいんですか?



── そういうキャラが1番共感しやすかったりしますよね。ほかに、なにかフェチシズムを感じるポイントはありますか?

「下剋上」のような関係が好きですね。年下とか後輩のほうが積極的だとすごく萌えます! たとえば、ずっと教育してきた後輩が、いつの間にか自分よりずっと包容力のある男になっていた……みたいな。先輩のほうは、プライドがあって悔しいけど自分が育て上げたうれしさもあるから複雑な気持ちっていう、微妙な関係性のバランスが好きなんですよね。
『手のひらに幸運の恋人』も実はコウのほうが年上だったりするので、ある意味、春男の「下剋上」にあたるかもしれません(笑)。
── 今後、内海先生が描いてみたいと思っているテーマや設定はありますか?

朝の支度のシーンだけを詰め込んで、1冊の単行本にしたいですね! 朝って幸せいっぱいな時間な気がして大好きなんです。しかも朝の支度の様子って、2人の関係性がすごくよく出ると思うんですよね。実は、同人誌で1度出したことがあるんですけど、ぜひまた描いてみたいです!
フェチシズムは三者三様! みんな違って、みんな最高!
湯煎先生の「高身長好き」や「身長差萌え」、つむみ先生の「ニコイチフェチ」や「関係性萌え」、内海先生の「サブキャラ好き」や「下剋上萌え」などなど。三者三様、いろいろなタイプのフェチ談義が聞けました!
そして、今回お話を聞いた3人の漫画家さんの作品が、ぞれぞれコミックスになって発売されます! 連載時にはカットされたシーンが再録されたり、アプリでは修正されていた部分もばっちり見えちゃったりする……かも? さらに、描き下ろしの追加シーンも盛りだくさんです!
最後に湯煎先生、つむみ先生、内海先生から、pixivision読者に向けたメッセージをどうぞ!

『凸凹シュガーデイズ』は私のデビューコミックスです! 好きな要素をめいっぱい詰め込んだ作品なので、これを読めば湯煎の作風に合うか合わないかわかるはず(笑)。でもできれば、たくさんの人に楽しんで読んでほしいと思います!

実は私、萌えシーンを描くのってちょっと恥ずかしいんですよ。どうしてもギャグにもっていきたくなってしまって。『先生、どっちか選んでよ』では、恥ずかしい気持ちを抑えながら最大限の萌えを詰め込めみました! ぜひ読んでください!

ファンタジーな内容なので、もしかしたらとっつきにくい人もいるかもしれません。でもそのハードルを超えていただければ、間違いなくほっこり癒やされる作品だと自負しています! ぜひ、春男の成長を楽しんでほしいです!
『凸凹シュガーデイズ』
● あらすじ
ちっちゃくて可愛いこの子を俺が守りたい──! 出会ったそのとき強くそう願った相手・花峰涙はすくすく育って、一方の俺、松風雄二郎はというと正直伸び悩み気味。180オーバーの幼なじみに発生するドキドキの正体を、既に知っているような気がするけれど……?