フェチ談義 vol.1 ギルティ背負ってる系の黒髪男子に目が離せない、イラストレーター・さらちよみ

取材・文/近藤世菜 編集/佐久間仁美
「ギルティ」背負ってる系の黒髪男子に惹かれてしまう……!
── さらちよみさんは、いろいろなタイプのイケメンキャラを描いていらっしゃいますが、ご自身は男性キャラのどんなところに惹かれますか?

今まで一番ハマったのが『NARUTO』のイタチなんですけど、彼のように誰かを守るために悪に染まっちゃうキャラが好きなんですよ。ほかには『コードギアス』のルルーシュとか。とにかく「ギルティ」を背負ってる感じに惹かれるんです。
── 「ギルティ」……! 見た目より内面というか、バックグラウンドが重要なんですね。

▲ 『NARUTO』のイタチ。さらちさんが描くと、闇落ち感がタップリの雰囲気に。

たしかに、外見よりは中身に萌える方ですね。善人っていうわけじゃないんだけど、やってることに筋は通ってるというか。そういう芯の強いキャラが好きなんです。外見で共通してるのは「黒髪」ってところくらいかな……。
── 女子って中高生のころ、アイドルかバンドマンか二次元のどれかにハマることが多いと思うんですけど、さらちさんはどれでしたか?

私は二次元ですね。『幻想水滸伝Ⅱ』にドハマリしていて……あっ! そういえば、そのとき好きだったキャラも「ギルティ」背負ってる系でした……!! ジョウイっていうんですけど。主人公や幼馴染を守るために敵側につくっていうキャラでした。
やばい、子供の頃からぜんぜん好みが変わってない(笑)。きっと生き急いでるキャラが好きなんでしょうね。あ、でも、ジョウイは黒髪じゃなくて金髪でした。
── 大人になるうちに黒髪好きにシフトしていったのかもしれませんね。ちなみに三次元の男性にも「ギルティ」を求めますか?

女子向けイラストを描いたきっかけは、大好きなハウルのファンアート
── さらちさんがお仕事で女子向けイラストを描きはじめたのは、何がきっかけだったんですか?

『ハウルの動く城』のハウルのファンアートを描いたところ、それがきっかけで色々な企業の方にお声がけいただき、商業デビューしました。
── ハウル、好きだったんですね!

ちょっとおかしいくらいハマっちゃってましたね(笑)。ハウル見たさに3回も映画館に通ったんですよ。今は応援上映とかで10回、20回って観るのが普通かもしれないですけど、ひとりのキャラのためにジブリ映画を3回観るって、私にしてはけっこうすごいことでした。

映画の後半でハウルの髪が金色から黒に変わるんですけど、それがもうめちゃくちゃかわいくて。黒髪が好きになったのは完全にハウルの影響ですね。今話していて気付いたんですけど、私もしかしたら髪色だけでなく髪そのものも好きかもしれません。お仕事の依頼をいただくとき、髪型の指定がない方がイメージがふくらんで描きやすいんです。
── ちなみにどんな髪型が好きなんですか?

自分が描いたものだと、アシンメトリーの髪型が多いですね。それとマッシュボブ。これは多少自分の好みもありますが、女子が好きそうな髪型を意識しています。

『四季彼氏』(C)KADOKAWA CORPORATION 2014 イラスト:さらちよみ
キャラクターデザインの仕事は、プロとしてフェチを押さえながら
── これまでご自身が描いたイラストのなかでとくにお気に入りのものはどれですか?

思いきり楽しく描けたのは『アルカナ・ファミリア』ですね。

ⒸHuneX/COMFORT

あと、スチームパンクとか、ダークで薄暗い雰囲気に惹かれるんですよ。だから黒ベタとかザラッとした質感のテクスチャを使って色を塗るのが好きなんです。ハードな絵になるのでなかなか女性向けでは描けないのが残念ですが。
── 乙女ゲームの原画イラストを担当されることも多いさらちさんですが、どういったところを意識して描かれているんですか?

仕事では、自分のフェチも押さえつつ、どうやったら女の子たちがこのキャラを好きになってくれるかなって、いつも意識して描いています。パッと見て「好き!」って言ってくれるようなデザインを目指しています。
それと、シルエットもこだわっています。

身体を「S」字型のシルエットにすると、色気のある感じになる気がします。顔が右側で、身体が左。明確な理由があるわけじゃないんですけど、このシルエットが美しいなって感じるんですよね。
でも一番大切なのは、外見と中身のバランスだと思います。

ⒸHuneX/COMFORT
▲ さらちさんが原画を担当した『ポゼッションマゼンタ』の蘇明杰。たしかに立ち姿はS字で、色気がにじみ出ています。
── キャラクターの中身の面でなにかこだわっている部分はありますか?

何人かの男の子を描くときは、それぞれの役割がバランスよくなるようにしています。『アルカナ・ファミリア』のジョーリィのように、道徳に反する行動をするキャラがひとりいると楽しいですね。最近、『バンドやろうぜ!』のOSIRISというグループのキャラクターデザインを担当したんですけど、4人それぞれ個性がはっきりしていて、すごく描きやすかったです。

彼も女の子が好きそうな雰囲気を意識して描きました。儚げで中性的な感じ。髪型をぱっつん寄りにしたんですけど、同じような髪型のキャラってほかにもいるから何か特徴をつけたくて。それで首にほくろをつけたんですけど、これがものすごく好評で嬉しいです。

©BANYARO PROJECT
▲ 『バンドやろうぜ!』OSIRIS。左から2番めが高良京。多くの女性ファンのフェチズムを刺激してしまった、罪作りな首のほくろ……この存在こそがギルティ!?
── たしかに首のほくろって色気があるし、そういうキャラってめずらしいですよね。ほかに、たとえば顔立ちでこだわっているところはありますか?

唇はけっこう描き込んでますね。
『アルカナファミリア』を描いているときに気付いたんですけど、口元ってキスを連想させる重要なパーツなんですよ。
アヒル口にすると色気が増して、ちょっとセクシーになりません?

自分の趣味を自由に詰め込めるなら「スチームパンク×機械の身体」
── もし、自分の趣味を存分に詰め込めるとするなら、どんなキャラクターを描きますか?

まずは世界観から作り込んでいきたいですね。やっぱりスチームパンクがいいかな。中二病っぽいんですけど、身体が半分機械っていうキャラクターは描いてみたいです。もう暗い何かがありそうですよね。
── 確かに「ギルティ」背負ってる感じしますね(笑)。最後に、直近の活動について教えてください!

リズムゲーム『バンドやろうぜ!』でOSIRISのキャラクターデザインを担当しています。この4人には、フェチズムがたっぷりつまっていて、描いているときもすごく楽しかったです。音楽も「THE・V系」って感じの曲で、ハマる人は絶対ハマるはず。ぜひ一度プレイしてみてください!
── ありがとうございました!
さらちよみさんのフェチズムは……「ギルティ黒髪萌え」!
ほかには一体どんなフェチズムがあるのか。また次回の「フェチ談義」をお楽しみに!
さらちよみさんのpixivFANBOX『DRAWER』がオープン!
様々なクリエイターが参加するファンクラブサービス「pixivFANBOX」にて、さらちよみさんの『DRAWER』がオープンしました。
気になるお届け内容は、さらちさん曰く「イラスト、メイキング、落書き、裏話、雑談など何でもアリ。せっかくなので何かシリーズ連載したいです。リクエストなども可能です。twitterよりもコアな話題やイラストをゆるゆるとアップしていきたいと思います。」とのこと。こちらも合わせてチェックしてみてくださいね!

- さらちよみ
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イラストレーター。
『アルカナ・ファミリア』『POSSESSION MAGENTA』『バンドやろうぜ!』『マジカルデイズ』のキャラクターデザインや、電撃文庫の挿絵を担当。漫画では『STEINS;GATE』のコミカライズや『マーメイド・ボーイズ』を連載。