pixiv発の作品が連載&コミックス化! 『北斎先生!!』城戸みつる先生インタビュー

第1回講談社まんがスカウトFes一次選考通過後、受賞は逃したもののなぜか連載決定&一番乗りでコミックス化!!
“萌え”に開眼した稀代の浮世絵師「葛飾北斎」がテーマのコメディ『北斎先生!!』の作者城戸みつる先生に、コミックス化の経緯・pixivとのかかわりをお聞きしました。
Q1.自己紹介と経歴のご説明をお願いします。
どーも、城戸みつるです。「城戸」は「きど」と読みます。漫画歴はもう10年以上になりますかね。いろんな雑誌の漫画賞に投稿するも、なかなか評価をしてもらえず、途方に暮れていたところをARIA誌に拾ってもらい、今に至ります。
Q2.pixivを知った、投稿されるようになったきっかけを教えてください。
ネットで漫画を公開しようかなとなんとなく思いまして、ブログ作るのも面倒そうだしpixivなら気軽にできるかな、という感じで投稿することにしました。
Q3.初めてpixivに投稿されたときの反響はいかがでしたか?
反響は特になかったような…。じわじわと点をいただいていくようになった感があります。ありがたいですね。初投稿の作品が「北斎先生!!」なんですけど、サムネからして恐ろしく地味ですね。食いつきが悪いのも当たり前だよ。
Q4.講談社まんがスカウトFesに応募しようと思ったきっかけ、また「北斎先生!!」を描くようになったきっかけをお聞かせください。
「北斎先生!!」は私が葛飾北斎を好きだったので、キャラを作って漫画で描いてみようと思ったんですね。それで、pixivに投稿したらその時ちょうどスカウトFesが開催されていたので、応募しました。応募した理由は、仕事が欲しかったからです。はい。

※作品製作時に城戸みつる先生が参考にした資料
Q5.連載が決まり、担当編集がついたことで何か変化はありましたか?
ネームに修正案をいただけるのがありがたいです。おかげさまで私も鍛えられて、「北斎先生!!」が回を増すごとに面白くなっているような気がします。過信でしょうか? あと、担当さんのおかげで登場キャラの庄兵衛が、かっこよくなりました。
<担当編集が選ぶ「北斎先生名言集BEST5」>
第5話より。さすがの絵描き魂。一生ついていきます。
第8話より。萌えは恥じるものではない!
第9話より。嫁は何人でもOK!
同じく第9話より。先生…!ありがとうございます!!
Q6.現在作品をpixivに投稿されていますが、ユーザーに特に見て欲しい作品3つとその理由をお聞かせください。
投稿したのは、告知と「北斎先生!!」以外はショートギャグ4作品だけなので…。時間が有り余ってどうしようもない時とかに気まぐれで読んでもらえれば幸いです。
Q7.pixivを活用することで起きた変化や、印象的な出来事があれば教えてください。
えーと、そもそも私pixivをいまだにうまく活用出来ていませんね。投稿してそのままが基本なので、知らず知らずのうちに大変なマナー違反をしているのではないかと、少々不安です。コメントなどはありがたいです。励みになります。
Q8.好きなジャンルはございますか。それらの魅力や好きの理由を教えてください。
漫画でいうなら、明るい話や元気の出る話が好きです。「ワンピース」みたいないかにも少年漫画という感じのやつです。理由は読んでて元気が出るからです。当たり前ですね。軽い気持ちで読み始められて、読後にいい気分になる。そんな漫画を私も描きたいものです。
Q10.pixivでほかのユーザーさんの作品を見るとき、どんな作品が目にとまりますか?また、どんな点に注目してご覧になられていますか?
細かい描写の絵を描ける方は、素直に尊敬します。私は全然描けませんので。よくこんな所まで描けるなーとか描いてる時どんな気持ちなんだろーとか、ぼんやり思っています。あと和風な絵にちょっと目を惹かれますね。
Q11.ご自身の作品の制作環境、制作手順についてお聞かせください。
作画はアナログです。ミリペンを使っています。漫画作品の場合、基本的に下書きは無しです。彩色は今までコピックを使っていましたが、最近コミスタに変更しました。漫画の台詞は最初からコミスタで入れています。
作画の際に手につけているサポーター的なものです。手が痛いわけではなく、手を傷めないようにつけています。
1コマ目。吹き出しと手前の人物を描きます。
描き文字と背景。背景も手前から描きます。
1p分、線画ができました。ところどころしくじっていますね。
ベタと服の模様等を描き、1コマ目を仕上げました。
こんな感じで1本目を描きます。
吹き出し内に台詞を入れた後、間違えた部分や描き文字の周りに修正を入れます。(台詞は見せられません)
全てのコマに台詞と修正を入れれば、あっという間(3時間)に完成です。
Q12.先生にとってpixivの魅力はどんなところにあるとお考えですか?
手軽にいろんなイラストが見られることでしょうね。普通の意見ですいません…。でも皆さんレベル高いですよね。正直、近代絵画のどんな画集よりもpixiv年鑑の方が読み応えがあるし、絵の質自体がはるかに高いと思います。
Q13. 単行本発売が決定したときの感想や、セールスポイントについてお聞かせください。
自身の作品の単行本化は人生初ですので、嬉しかったと同時に、安心しました。セールスポイントはなんでしょうか。表紙の色ですかね。まさかのピンク色ですからね。あと、おまけ漫画も結構頑張りましたので、おヒマでしたら是非読んでみてください。ちなみに、当然ですが単行本に収録されているのはARIA誌掲載分であり、私がpixivに投稿したものとは異なりますので、ご注意を。

≪編集担当者からのコメント≫
講談社×pixivまんがスカウトFesの選考中、
まず“おじいさんが白目で叫んでいる”表紙に「なんじゃコリャ」と目が止まり、
葛飾北斎が萌えに目覚めるという内容でまた「なんじゃコリャ」となったことを覚えています。
読んでみると、そんな設定もなんだか納得してしまう有無を言わせぬ勢いに「タダ者じゃない…」と思いました。
惜しくも『北斎先生!!』は受賞にはならなかったのですが、
たくさんの応募作の中で、断トツで忘れられない作品NO.1だったので、
その後、連載&コミックス化を実現することができ、とても嬉しく思っています。
北斎旋風よ、巻き起これ!!
Q14.最後にpixivでプロの漫画家を目指す皆さんにメッセージをお願いします。
同人誌作家か商業誌作家かで異なるでしょうが、商業誌で描きたいならpixivで度々開催されている漫画賞に応募してみてはいかがでしょうか。私は受賞していないにも関わらず見出して頂き、単行本化にまで至りました。恐れずチャレンジするのが大事でしょうね。「絵が下手だからネタで勝負」とか「ネタは作れないから絵で頑張る」とかじゃなくて、絵もネタもどっちも頑張りましょう。私なんて未熟者もいいところですので、目指すなら私なんかよりももっと立派な漫画家を目指してくださいな。

第12話より。性癖に常識はない…確かに!