【寺島拓篤のイラストリテラシー#4】漫画家・三輪士郎さんからの課題「オリジナルイラスト」に挑戦!
インタビュー・文:小川 陽平 撮影:山口 宏之
ペンタブレット提供:株式会社ワコム
寺島拓篤さんのイラスト上達を応援する『寺島拓篤のイラストリテラシー』も第4回。最初の目標だったpixivのプロフィールアイコン用イラストも無事完成し、今回からはいよいよオリジナルイラストの執筆に取りかかります。
その宿題用に寺島さんが描いてきたのが、以下のイラスト。大好きなとある作品をモチーフにした忍者娘さんだそうです。
その宿題用に寺島さんが描いてきたのが、以下のイラスト。大好きなとある作品をモチーフにした忍者娘さんだそうです。
こちらのラフイラストをペン入れ、着彩、そして仕上げと進め、完成を目指します。ラフから仕上げまでの一連の流れは前回までで一通り学んだので、講座はひたすら描きつつ、寺島さんが三輪さんへイラストを描くコツや上達の秘訣を質問しながら進みました。
今回は三輪さんへの質問を、一問一答形式でご紹介します!
今回は三輪さんへの質問を、一問一答形式でご紹介します!
自分の好みがあるのなら、そこをフェチレベルまで好きになりましょう
──三輪さんはどんなイラストが好きなんですか?
やっぱり格好いい系ですね。だから人物を描くときはシルエットを重視します。どんなイラスト、どんなジャンルでも、自分の萌えポイントがパッと見で伝えられるのが良いイラストだと思います。そういうイラストを描きたいっていつも思いながら描いてるんですよ。
──イラストを描くときの構図やポーズはどうやって考えるんですか?
写真や映画を見て、これはいいなってポーズを参考に場合が多いですね。とくに映画は構図のお手本のような映像が「動画で」見られます。たくさん見て引き出しを増やしましょう。
──擬人化のコツってありますか?
「題材の要素を見える形でちゃんと描くこと」ですね。元ネタの外見的特徴を反映させるのはもちろん、歴史的な経緯や生い立ち、第三者からの評価といった見えないものも考えます。例えば不遇な扱いを受けてきた機械を擬人化するときは、ちょっと人間不信で疑り深い、とかね。
──女の子を描くときに、ここは! っていう勘どころってありますか?
「自分の趣味を前面に押し出すこと」ですかね。寺島さんは活動的な娘が好みだそうですね。髪型はショートカットかポニーテールで、スパッツが似合う子と力説されていました。あとは脇もお好き、と…。(※詳しい様子はKIKIの動画でご覧いただけます)
その好きをフェチレベルまで高めることです。自分で無理なら、もうすでにそうなっている人の線を参考にするといいですね。
その好きをフェチレベルまで高めることです。自分で無理なら、もうすでにそうなっている人の線を参考にするといいですね。
▲今回のイラストでは髪型はポニーテールをチョイス。寺島さんのフェティシズムが垣間見られる(!?)貴重なイラストに!
ラフは理想の線を見つけるために範囲を絞るためのもの
──そもそもイラストってどのくらいのサイズで描けばいいんですか?
紙に描く場合には描きやすい紙の大きさでってなりますけど、デジタルだとわかりにくいですよね。最終的にモニターで見るのか、それとも紙に印刷をするのかで変わってきます。
今回はB5判サイズで400dpiぐらいで描くのがいいんじゃないでしょうか。小さく描いて大きくするのは難しいですが、その逆は簡単ですから。
今回はB5判サイズで400dpiぐらいで描くのがいいんじゃないでしょうか。小さく描いて大きくするのは難しいですが、その逆は簡単ですから。
──ラフはどのくらいの線の太さで描くのがいいんでしょうか?
大ざっぱなラフのときは、ブラシサイズは太い方が描きやすいですよ。ラフは自分の理想の線を見つけるために範囲を絞るためのものなので。
──ペン入れをしているとき、描くポイントによってペンの太さって変えるんですか?
いつも同じぐらいの太さですね。やっぱり「描きやすい太さ」っていうのがあるんで。描く題材によって変えることもしませんね。そこは慣れ優先で。
──全身のバランスをとるポイントってありますか? 寺島さんもとくに下半身がに苦手意識があるようですが……
これはもう描いては遠目で見て、また描いては確認して……の繰り返ししかないですね。デジタルの場合は拡大縮小ツールを使いこなせるようになると、作画速度があがりますよ。
──人の身体をイラストで表現するのって難しいですね!
イラストにするときには多かれ少なかれデフォルメするワケですが、ちゃんとしたデッサンができてないと、どこを注力するのか、どこを省略していいのかがわからないんですよね。
モデルさんをお願いしての練習が一番ですが、そこまでやらなくても、写真を見て描く練習はした方がいいですよ。身体の作りが理解できるようになるので。
モデルさんをお願いしての練習が一番ですが、そこまでやらなくても、写真を見て描く練習はした方がいいですよ。身体の作りが理解できるようになるので。
──身体のラインをきれいに描くために、どんなところを意識してるんですか?
うーん、筋肉の流れですね。人の腕は骨に肉が付いているんじゃなくて、骨の周りに筋肉の束が巻き付いている構造なんです。そういう構造を理解しているといないとでは、当然、描く形が変わってきますよね。
──足などの長い線を描くコツってありますか?
手のストロークを活かすことですね。きれいな線が引ける腕の動かし方、紙の向きは人それぞれ違うので、自分の描きやすいやり方を見つけましょう。
線を引いているとき、自分の関節がどのように動いているのか意識すると、描きやすいペンの動かし方が見えてきますよ。
線を引いているとき、自分の関節がどのように動いているのか意識すると、描きやすいペンの動かし方が見えてきますよ。
▲キャンバスを回転させながら、丁寧に足のラインを引いていた寺島さん。この連載を経て、お絵かきスキルがめきめきと上達されているのでは?
──爪のような小さいけれど無いとおかしい部分って、どこまで描いていいかいつも迷いますよね。寺島さんもかなりこだわって描かれていたようですが…。
一度、細部まできっちり描いてみて、うるさかったら線を少しずつ消していくっていうのがいいと思いますよ。イラストはどう省略するかが肝です。
ペン入れが完了!
三輪さんからのコメント
寺島さんの「好き」が詰まった、とても良いイラストだと思います。コンセプトが明確なのがいいですね。
横向きの構図とポニーテールが動きを感じさせるので、その動きをさらに印象づけるための効果を、仕上げの段階でいくつか使ってみたいと思います。これは次回以降で実際にやってもらう予定です。
全身を描くのは顔やバストアップに比べて数段難しいですが、描けるようになると表現の幅がぐんと広がり、イラストを描くのがさらに楽しくなります。それまで見えなかったものが見えるようになり、そして理想と現実が見えるようになるんですね。ですから「これでよし」っていうのはないんです。日々、努力です。
横向きの構図とポニーテールが動きを感じさせるので、その動きをさらに印象づけるための効果を、仕上げの段階でいくつか使ってみたいと思います。これは次回以降で実際にやってもらう予定です。
全身を描くのは顔やバストアップに比べて数段難しいですが、描けるようになると表現の幅がぐんと広がり、イラストを描くのがさらに楽しくなります。それまで見えなかったものが見えるようになり、そして理想と現実が見えるようになるんですね。ですから「これでよし」っていうのはないんです。日々、努力です。
三輪さんが思わず描いてしまった特別イラスト!?
▲寺島さんが描いたキャラクターを「迎え撃つ者」がイメージとのこと。
【寺島拓篤のイラストリテラシー】次回は特別編!
線画が完成したところで、残念ながら時間切れ。イラストをブラッシュアップする際のテクニックや躍動感を出すための効果、質感を出すためにはどのようなブラシや描き方が必要なのか。今回の講座の続きは10月更新のKIKIでお楽しみください!
pixivisionは次回、特別講師としてカゲロウプロジェクトのしづさんが登場! 公開は11月28日予定!
今回の使用ペンタブレット
- 寺島拓篤(てらしま たくま)
12月20日生まれ/石川県出身/アクセルワン所属/出演作品は、「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズ(一十木音也)、「SUPER LOVERS」(海棠蒔麻)ほか多数。2016年8月17日(水)には6thシングル「sunlight avenue」をリリース。
- 三輪士郎(みわ しろう)
- 漫画家・イラストレーター。
1999年に『BLACK MIND』で『ウルトラジャンプ』から漫画家としてデビュー。『狗-DOGS-』を経て、現在はその続編となる『DOGS/BULLETS&CARNAGE』を連載中。
また2008年より同人音楽サークル「supercell」にイラストレーターとして参加し、メジャーデビューシングル『君の知らない物語』等のジャケットデザインを担当。2016年4月期にはTVアニメ『キズナイーバー』や『ジョーカー・ゲーム』のキャラクター原案を手がけるなど、その領域をマルチに広げ、トップクリエイターとして活躍している。
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寺島さんが描かれたイラストが公開される「寺島拓篤公式pixivアカウント」が開設されました!この連載企画で執筆されたイラストはもちろん、寺島さんがプライベートで描かれたイラストが投稿されることも…?
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また、今回の執筆の模様は動画でも公開中!
「KIKI」にて、各回の様子を随時公開していきますので、こちらも忘れずにチェック!
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