単行本を出してもとくに変わりはありません! オタク女子が共感する『腐女子のつづ井さん』の魅力とは
文:近藤世菜
腐女子——。それは、男性同士が"キャッキャウフフ"している様子に尊さを感じる女性たちのこと(※1)。
最近、さまざまなメディアに登場するようになった腐女子という言葉ですが、その呼称だけがひとり歩きして、その実態はなかなか知られていないような気がします。
そんななか、腐女子のリアルな日常の悲喜こもごもを描いたエッセイ漫画『腐女子のつづ井さん』が「ピクシブエッセイ」で人気を博しているとの情報が!
作者は自身を"一介の腐女子"と称するつづ井さん。そんな彼女の日常をすこし覗いてみましょう……!
最近、さまざまなメディアに登場するようになった腐女子という言葉ですが、その呼称だけがひとり歩きして、その実態はなかなか知られていないような気がします。
そんななか、腐女子のリアルな日常の悲喜こもごもを描いたエッセイ漫画『腐女子のつづ井さん』が「ピクシブエッセイ」で人気を博しているとの情報が!
作者は自身を"一介の腐女子"と称するつづ井さん。そんな彼女の日常をすこし覗いてみましょう……!
※1 「腐女子」という言葉にはさまざまな定義がありますが、この記事では前述の意味で使用します。
つづ井さんが描く腐女子の悲喜こもごも
『腐女子のつづ井さん』には、作者であり主人公であるつづ井さんが、友人たちとともに、男性同士の恋愛に思いを馳せたり、自分の趣味をめいっぱい楽しむためにクリエイティビティを爆発させたりする様子が描かれています。
好きなキャラの身長と同じ高さの位置にマスキングテープを貼って、そのキャラの身長や、キャラ同士の身長差を実感したり(注:早朝4時に)
好きなキャラの身長と同じ高さの位置にマスキングテープを貼って、そのキャラの身長や、キャラ同士の身長差を実感したり(注:早朝4時に)
▲ つづ井『腐女子のつづ井さん』(ピクシブエッセイ)第1話より
ひとり暮らしの男性は、シングルサイズではなくセミダブルのベッドを選ぶこともあるという情報に惑わされ、セミダブルのベッドを購入したり(注:女性のひとり暮らし)
▲ つづ井『腐女子のつづ井さん』(ピクシブエッセイ)第5話より
そして時に、推しキャラへの想いから飛躍して、宇宙の神秘に感謝したり……。
▲ つづ井『腐女子のつづ井さん』(コミックエッセイ劇場)第1話より
『腐女子のつづ井さん』には、腐女子が感じるこの上ない幸せ、そして飽くなき探究心、好きなものを貫き通す芯の強さが存分に表現されています。
それにしても、この絶妙なシュールさ……! そして、思わずクスッとしてしまう言葉選びや、続きものというわけではないのに「早く次の話を読ませてくれ!」と思わせる中毒性……。
はたしてつづ井さんとは何者なのか? 気になりすぎて、夜通し作品を読みふけっていたところ、実際にご本人にお話を伺う機会をいただくことができたんです!
それにしても、この絶妙なシュールさ……! そして、思わずクスッとしてしまう言葉選びや、続きものというわけではないのに「早く次の話を読ませてくれ!」と思わせる中毒性……。
はたしてつづ井さんとは何者なのか? 気になりすぎて、夜通し作品を読みふけっていたところ、実際にご本人にお話を伺う機会をいただくことができたんです!
エッセイ漫画の原点は子どものころの絵日記
インタビューはメッセンジャーアプリ「LINE」を使って敢行。つづ井さんが制作したLINEスタンプを交えてお話を伺いました!
── 今回は、LINEインタビューということで、ご自身が制作されたスタンプも存分にお使いくださいね!
▲ 左がつづ井さんのコメント(以下すべて同様)
── さっそくですが、『腐女子のつづ井さん』を描き始めたきっかけは何だったんですか?
小学生のころから描いていた絵日記の延長なんです。絵を描くのが昔から好きで……。日記にたくさん挿絵がついてる感じで描いていました。
この間実家に帰ったら、私が描きためた絵日記を母がメモ帳として流用してて、度肝抜かれました。
この間実家に帰ったら、私が描きためた絵日記を母がメモ帳として流用してて、度肝抜かれました。
── どんな内容を描かれてたんですか?
その日あったことをつらつらと……。まあ、なんもおもしろくなかったです。
── いまは、どうやってネタ作りをしているんですか?
実際にあったできごとを描いてます! だから、楽しいことが起こらないとなにも描けないんです……(汗)
── なんか、つづ井さんの毎日はネタの宝庫な気がしてました……!
友人たち(※2)と会って話していると何かしら楽しいことが起こるんですが、忙しくて会えないとほんとに描くことなくて……(泣)
※2 つづ井さんの漫画には、Mちゃん、オカザキさん、ゾフ田といった実際の腐女子仲間が登場します。
── なるほど……。ちょっと気になってたんですが、つづ井さんはもともと漫画家志望だったんですか?
いやまったく! 漫画は完全に趣味で、別の職につくために勉強してました。今も普通に社会人やってます。
── つづ井さんはエッセイ以外の漫画も描かれてますが、今後描きたいものって何かあるんですか?
創作の短編漫画もいくつか描けたらなと思ってます!
── つづ井さんのBL作品、期待しています! 先日、初めてコミックスを出されましたが、感想を教えてください。
正直ぜんぜん実感がなくて、本屋で見かけるたびにドキドキしています。
▲ つづ井『腐女子のつづ井さん』第1巻(KADOKAWA、2016年)
── ご自身で周りの方に宣伝することはないんですか?
実は、私が『腐女子のつづ井さん』を描いていることは基本的に極秘事項なんです。もちろん、登場する友人には許可をとってますし、一部の人にはバレてしまってますが……。あ、家族にはまったくもって言っていません。
── そうなんですね……! そういえば、pixivで公開された漫画のなかで一般の友人を部屋に呼ぶ前の偽装工作の様子が描かれていますね。
腐女子であることはおろか、オタクであることも隠して生きています。
── うまく隠せてますか?
いや、どうしても出ちゃいそうになります。「この人、もしやオタクか……?」と思ったら、どこまでさらけ出していいか探り入れるんですけど、そういうときは出てますよね。
── オタクを隠していて困ることってありますか?
カラオケです。アニソン以外に歌える曲が、もうほとんどないもので。いつも焦ってます。
推しキャラが"キャッキャウフフ"してたらそれだけでHAPPY
── ここから、ちょっと腐女子っぽい話をしたいのですが……
── 小学校高学年でBLに目覚めたという話がありましたが、腐女子になったきっかけって覚えてますか?
第1話でも書いたんですが……ぜんぜん覚えてないんです。息を吸うように漫画が好きで、息を吐くようにBLが好きでした。
── すごい、名言だ……! 普段のオタク活動はどんな感じなんですか?
日中は仕事をしているので、帰宅してから録画したアニメを見て、漫画を読んで、時間があったら絵を描いて……。あ、なんもおもしろくない……! すみません……。
── そんな! インタビューなので、ウケは狙わなくてもいいんですよ。そういえば、好きなキャラクターの身長の高さの位置にマスキングテープ貼って楽しむっていうネタがありましたが、最近お気に入りの遊び(?)ってなにかありますか?
プロフィール帳みたいなやつをキャラになりきって書こう!と思い立ったのですが、人格が分裂しそうなのとあとで泣きそうなのでやめました。
── ちょっとやってみたい気がします……! あの、つづ井さんにはとくに萌えるシチュエーションとかってあるんですか?
今までで一番上手にスタンプを使えました。
── さすが……! 3日はちょっと聞いてられないので、短く言うのは難しいですかね……?
うーん、私はキャラ重視なので、推しキャラたちが"キャッキャウフフ"してればすべて萌えます。好きになるキャラも、ビジュアル重視ではなくて、内面を見て好きになる方です!
── どういう理由で好きになるんですか?
理由!? え、考えたこともなかった……。ちょっと、言語にするのは難しいです……。
── 本当に便利……! 最後に、9月に発売されるコミックス第2巻の見どころを教えてください。
第2巻では、なんと私が就職します。それ以外はとくにこれまでと変わりがない腐女子の生活です。
── 就職してからの変化に注目ということですね!
それがなんと就職したのにとくに何も変わりがありません!
── ということは、つづ井さんの魅力はこれからも変わらないということですね。次巻もますます楽しみになります。ありがとうございました!
就職しても、コミックスを出しても「とくに変わりありません」
実際に自分に起こったことをそのままネタにしているというつづ井さん。ありのままを描いているからこそ、多くの腐女子やオタク女子の共感を集めているのでしょう。
そして、就職しても、コミックスを出版しても「とくに変わりがない」というように、つづ井さん自身が"一介の腐女子"、つまり読者と同じ立場でい続けていることが『腐女子のつづ井さんの』大きな魅力なのだと思います。
もちろん、腐女子なら共感ポイントやあるあるネタが随所に見つかるはずですが、たとえ腐女子でなくとも、絶妙なシュールさや言葉選び、ひたむきだけどちょっと常識とズレてるつづ井さんたちの姿に、思わずクスッと笑ってしまうこと間違いなしです!
そして、就職しても、コミックスを出版しても「とくに変わりがない」というように、つづ井さん自身が"一介の腐女子"、つまり読者と同じ立場でい続けていることが『腐女子のつづ井さんの』大きな魅力なのだと思います。
もちろん、腐女子なら共感ポイントやあるあるネタが随所に見つかるはずですが、たとえ腐女子でなくとも、絶妙なシュールさや言葉選び、ひたむきだけどちょっと常識とズレてるつづ井さんたちの姿に、思わずクスッと笑ってしまうこと間違いなしです!
『腐女子のつづ井さん』はピクシブエッセイで連載中!
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